一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
今年も応援ありがとうございました
2023/12/26(火)
先週は2頭の5着が最高着順。シェリングフォード(15人気)は調教の感じがよく、人気以上に頑張ってくれるとは思っていました。まだ上積みがありそうで、あの内容なら次走はもうひとつ上を目指せます。ポリトナリティー(11人気)は競馬で乗るのは初めてでしたが、好枠から思い描いていたとおりの競馬ができました。揃ったメンバーに入って権利が取れたのは収穫で、距離も1200mくらいが合っています。
最終日の木曜は中山で3鞍に騎乗します。1Rのコスモビオラは気の悪いところがあってなかなか力を出せなかったのですが、前走はブリンカーも効いたようで集中して走れていました。間隔を詰めて使えるのもプラスに出そうで、時計を詰められそうなイメージがあります。
3Rのヴォーグアルタイルの初戦は、今回に繋がりそうなレースができました。そんな中でも道中戸惑って、ハミを取ったり取らなかったりスムーズではないところもあったので、同じコースで続戦できるのがプラスに出そう。凄くいい馬なので、改めて頑張ってくれるはず。6R(2歳新馬)のグエンフィヴァルはずっと調教に乗せていただいています。当初は気難しいところがあってコントロールも大変だったのですが、田中剛先生と二人三脚でゲートや追い切りもレースに備えて、よくぞここまでという態勢が整いました。ともあれ気性的に危うい面もあるので、競馬に行って戸惑わないかどうかはゲートが開いてみないと分かりません。ファンの皆さんはパドックや返し馬で気配をよく見てもらえたらと思います。
最終レース後に引退式がある田中勝春さんに加え、この木曜で柴山雄一騎手も最後の騎乗になります。柴山騎手は自分と同期で、競馬学校の二次試験で元気が良くてフレンドリーだった記憶が今でも残ってるんです。残念ながら彼は不合格になり地方笠松でデビューしたのですが、改めて中央のジョッキーに合格した時はお互いを覚えていて昔話で盛り上がったものです。一緒に競馬に乗れて幸せでしたし、精神的な面でも支えてもらいました。引退後は古賀慎明厩舎で調教助手になるとのことですが、機会があるなら仕上げた馬に一所懸命乗りたいですね。
自分はというとまだまだ現役で頑張ります。今年は成績に浮き沈みがあって苦しい時もありましたが、やっと年末にかけて調教で教えてきたことや、権利を取ってきた馬たちの走りが実になってきました。これを試練だと捉え、乗り越えて新年の結果に繋げていきたい。改めての抱負は1月4日に更新予定のコラムで書かせてもらおうと思います。本年も応援ありがとうございました。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。