
2016年の阪神JSでJRA史上初の同一重賞7年連連対記録などJUMPレースの顔として活躍する高田潤騎手。 そして、ファンサービスの積極性は競馬界一とも噂される熱き男の生の声をお届けします!
モントライゼ引退。救われた同期の一言
2025/10/10(金)
高田潤です!!
先週の東京で行われましたジャンプオープン戦におきまして、騎乗させていただいたモントライゼ号が浅屈腱不全断裂の診断を受け、引退となってしまいました。
レースではいつも通り行きっぷりが良く抑えきれない感じではありましたが、モントライゼ自体の飛越は非常に良く、また溜めもきいていて勝負所までは抜群の手応えがありました。
勢いよく直線を向いて手前を変えたときに違和感を覚え、手応えほど伸びずにアレっ⁈という感覚があり、そこからは少し流し気味に追っていたのですが、ゴールに近づくにつれて段々ストライドが小さくなっていき、やっぱおかしいと思いゴール板の手前から止めにかかり入線後すぐに下馬しましたが、その時には右前肢を痛がっている状態でした。
結果的にはもう少し早く止めてあげれば良かったと思いますが、レース中に止めるか止めないかの判断は非常に難しく、止めたけど異常が無かった場合には平地レースの場合は平地調教の再審査を受けなければならず、障害レースの場合はもう一度障害試験をやり直さなければなりません。どちらにせよ馬にとって非常に負担が大きくなってしまうことになります。
ですので、レース中に馬を止める場合は、様子をみながら慎重に見極めなければなりません。
ましてや今回のモントライゼのように人気を背負っている場合はより気も使います。
しかしながら、自分の判断でその馬の馬生をも変わってしまいますので、今回におきましてはモントライゼ、そして関係者の皆様、応援して下さった皆様には本当に申し訳ない気持ちです…
最後まで踏ん張って走ってくれたモントライゼには本当に感謝しかありません。
2歳時には重賞(京王杯2歳ステークス)も勝利していて人気もあり、ジャンプ界でもこれからまだまだ活躍したであろうモントライゼがこういうカタチで引退を迎えてしまい、本当に申し訳ないです。
僕自身も非常にショックは大きく、今週同期のヒデ(武英調教師)と話したときにモントライゼが不全断裂の診断だったという話もしたんですが、
「残念やけどそれは仕方がないよ、故障させようと思って乗ってるジョッキーなんか誰もおらん。潤も全力でモントライゼと向き合ってきた訳やろ?大事なのは馬にリスペクトと感謝の気持ちを持って乗ることじゃないの?潤はそう思っていつも乗ってるやろ?そういう気持ちがあれば大丈夫や!」とヒデ。
普段はくだらない話ばかりするんですが、ふと何気なく言われたこの言葉に少し救われた気がしました。
何があっても競馬は毎週続いていきますので、また気を引き締めて、しっかりレースに集中して騎乗していきたいと思います。
プロフィール

高田 潤 - Jun Takada
1980年11月3日生まれ、大阪府出身。
1999年に松田博資厩舎所属から騎手デビュー。デビュー当初から、平地・障害の垣根を越えた活躍を続けると、2006年にはドリームパスポートで神戸新聞杯を制覇。これが平地重賞初勝利となった。
一方、2008年にはキングジョイとのコンビで中山大障害を制し、キャリア初のJG1勝ち。2013年には待望の障害リーディングに輝いた。
また、2009年には師匠である松田博資師の元を離れ、フリーに転向。2012年にも生涯の伴侶を得るなど、公私ともに充実期を迎え、障害競走の次代を担う存在として更なる活躍が期待される。






