競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【新潟記念】イメージが膨らむのはやはり軽ハンデの3歳馬
2020/9/1(火)
ハンデ戦である。カデナの58キロは小倉大賞典を57キロで勝っているから仕方ないものか。やはり53キロの3歳馬、ワーケアにどうしても目が行く。3歳は3キロのハンデを貰うので56キロの計算とはなるのだが、53キロで若武者、イメージがどうしても膨らむ。
この10年で3歳馬の出走は4回。一昨年のブラストワンピースの様に1番人気となるほどの出走馬はそういない。あの時はダービーまで負け知らず。そのダービーが惜しい5着だったし、ハンデも54キロと軽くはなかった。
今年の3歳馬はルメールがずーっと乗って来たワーケア。ここを糧として飛躍の秋となるのか注目ではある。穴ならサトノガーネット。前走もかなりの脚をみせて復調気配。
【キーンランドカップの回顧】
20年8/30(日)2回札幌6日目11R 第15回 キーンランドカップ(G3、芝1200m)
- エイティーンガール
- (牝4、栗東・飯田祐厩舎)
- 父:ヨハネスブルグ
- 母:センターグランタス
- 母父:アグネスタキオン
キーンランドカップ(G3)の結果・払戻金はコチラ⇒
「雨が降る」との予報でも、自分がいる処の天気がピーカンだと、なかなかイメージがあまり沸かない。衛生画像でも雲がそう見えないから、言うほど雨は降るまい、と勝手に解釈した。
朝、JRAの開催情報で馬場を見ると愕然とする。芝:重、ダート:不良とある。そして雨はいっこうに降りやまず、上がるどころかメインの頃はTV画面でやや視界も悪く見えた。
1週前に次週の重賞展望を書く時に過去を調べる。何か内枠、それも1番はなお少ない勝ち馬番だな~とは感じていた。いくら仮柵を外へ出して来ても、ダメージが蓄積して傷む内目より外が走りやすいのだろうとは判る。だが、15回の今回はますますそれが顕著な結果に。外から5頭の馬が電光掲示板を占めた。残念ながら1番人気ダイアトニックは、1番を引いた時点で危ない人気馬になってしまった様だ。
当然にこの馬を中心に画面を見つめる。スタートはそう悪くはなかったが、いちばん前には行けない速さ。このクラスになるとそう遅い馬はいない。すぐに外に大きな壁が出来る。外へ出そうにも、次から次へと馬が前へ前へといるから出せもしない。むしろ出遅れでもしたら対応できたのかもだが。
前走で走った馬よりも走っていなかった馬。それがエイティーンガール。レースをスタートからゴールまで何度も観るが、一度もステッキを使っていない。先に抜け出たライトオンキューを交わして行く時も、坂井瑠星騎手は手綱を押すだけ。それでいて馬はグングンと伸びて行っている。3角ドンジリの位置どりである。しかし4角手前からの伸びは際立っていた。
一番外へと出したライトオンキュー。その真後ろにディメシオン、その後ろへと進出。馬群の中にいたダイアトニックと並んだが、すぐに抜き去り直線へ。あと1ハロンではまだライトオンキューには2馬身ぐらいあったのだが、ゴールでは1馬身半も前。ゴールではまだ余力があるぐらいであった。
待望の重賞勝利のエイティーンガール。全てが噛み合って最高の結果となった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。