競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【エリザベス女王杯】気になる充実の秋を迎えている感の3歳馬
2020/11/10(火)
昨年の女王、ラッキーライラックが登場。今年は鞍上にルメールを迎える。大阪杯で勝利したMデムーロには、お手馬のラヴズオンリーユーがいる。昨年のここで3着から巻き返しを図る。ラッキーライラックの水曜の稽古にルメールが乗る様だ。そこでの動きとコメントを確認したい。
そしてラッキーライラックに札幌記念で先着のノームコア。エリザベス女王杯には、一昨年にコンマ7秒差の5着。決して不得意な距離ではなかろう。
そしてやはり気になるのが3歳馬。ウインマイティー、ウインマリリン、ソフトフルートにミスニューヨーク、リアアメリアと5頭がいる。
そのなかではソフトフルートか。前走が出遅れからメンバー最速の脚で突っ込んで来た。充実の秋を迎えている感で注目だ。
【アルゼンチン共和国杯の回顧】
20年11/8(日)5回東京2日目11R 第58回 アルゼンチン共和国杯(G2、芝2500m)
- オーソリティ
- (牡3、美浦・木村厩舎)
- 父:オルフェーヴル
- 母:ロザリンド
- 母父:シンボリクリスエス
アルゼンチン共和国杯(G2)の結果・払戻金はコチラ⇒
G1の谷間週ではあるが、G2でそれなりに面白い顔ぶれ。ハンデ戦ながら上は58キロで下が53キロと、極端に軽い馬がいない。18頭のフルゲートは5年ぶり。東西の9頭が集った。
1番人気は、そのトップハンデのユーキャンスマイル。菊花賞3着以後は天皇賞に3度、ジャパンカップにも挑んで電光掲示板を外さない。春にはG2の阪神大賞典を勝ち、あとはG1の勝利だけ。春の天皇賞以来も恰好はつけてくれるだろうの期待。2番人気は、オープン入りしてからも粘っこい競馬が続くサンレイポケット。ハンデも55キロと手頃。
そして3番人気は、前売りでは1番人気の時もあった3歳馬オーソリティ。青葉賞を勝った後に骨折が判明。クラシックへの挑戦は逃したが復活への一戦となった。新聞紙上の馬柱を観ると、前走で勝利している馬はただ1頭。そのオーソリティだけ。それも春以来の戦いだけに波乱は必至か。
ミュゼエイリアンの逃げで始まった。オセアグレイトが2番手だが、外からオーソリティが 続く。2角を過ぎたあたりではかなりの縦長な隊列。ミュゼエイリアンの逃げは1000m通過が59.8とまずまず。だがそこからはそう速いラップは刻まずの平均ペース。続くオセアグレイト、オーソリティもそう離れず追走。さすがに4角を廻る時には、後続馬もかなり接近してきた。
直線には少し内を開けて入ってきた集団。前を行くオセアグレイトの外へヒョイと出したオーソリティ。あと400を待たずに追い出し先頭に立って行ったオーソリティ。そのリードを保ったままゴールへと入った。
ユーキャンスマイルは馬群の内目から前が開いた横一線の時に反応できず伸びあぐねた。さらに内目を狙ったサンレイポケットの伸びももうひとつ。外からのラストドラフト、サンアップルトンの伸び鋭くも、オーソリティの安全圏には届かず。終始、馬場のいいグリーンベルトを走らせたルメールの好騎乗だ。
それにしてもの3歳世代、完全に世代交代の波が押し寄せているのを感じた。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。