競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【チャンピオンズカップ】軸は堅いが相手は混戦模様
2020/12/1(火)
昨年は3歳だけに55キロでの出走、今年は57キロだがパワーは昨年以上。臨戦態勢も昨年の日本テレビ盃からの2カ月少しより間隔も短く、動けやすい。そもそもレース巧者で、すっと好位付けが出来るのがいい。
唯一の敗戦のサウジアラビアでのサウジカップでは、出遅れに挟まれてと敗因がハッキリしている。まずは安定した取り口から取りこぼしもそうないと思える。相手探しの一戦でよかろうと思える。
3年前の勝ち馬、ゴールドドリームの昨年はクリソベリルのクビ差2着と健在ぶりを見せたが、はたして今年はどんなものだろうか。先の南部杯ではちと勢いが無くなってきた感がある。元気のいいのは3歳馬、カフェファラオ。やはり少しでも距離が短い方がいいか。クリンチャーとサンライズノヴァもここに来て機運が上昇して来ている。南部杯勝ちのアルクトスとか伏兵も健在。
軸は堅いが相手は混戦模様である。
20年11/29(日)5回東京9日目12R 第40回 ジャパンカップ(G1、芝2400m)
- アーモンドアイ
- (牝5、美浦・国枝厩舎)
- 父:ロードカナロア
- 母:フサイチパンドラ
- 母父:サンデーサイレンス
ジャパンカップ(G1)の結果・払戻金はコチラ⇒
夢のようなレースが終わった。最初で最後の顔合わせ、国内最強馬のアーモンドアイ。無敗で駆け抜けて来た牡牝の3歳3冠馬コントレイルとデアリングタクトと、過去にもない豪華版のジャパンカップ。
キセキの大逃げで緊張感あるレース展開となったが、真っ先にゴールへ入ったのはいつもどおりのアーモンドアイ。2着にコントレイル、3着もデアリングタクトと現在の力どおりの着順。力の継承をした結果だった。
キセキが大きく離しての逃げ。1000m通過タイムが57.9。これは過去10年で一番速い通過ラップ。2年前にアーモンドアイが2.20.6のレコードで勝った時の2着キセキがやはり逃げたが、59.4と平均的な逃げ。途中からスイッチが入ってしまった。アーモンドアイはスタートを決めて、キセキの直ぐ後ろと続いたが、最初のカーブでは好位の4、5番手。外からグローリーヴェイズが来たら、その後ろで脚を貯める。
最初のカーブと次のカーブも内目を廻る。ここまでは緑の絨毯のような芝色。向こう正面に入ると、全馬が内目を開けて走る。アーモンドアイは枯れてない処を選択して走っている感じだ。少し後ろの外目をデアリングタクトとそしてコントレイルが続く。キセキの逃げは、4コーナーでもまだ50mは離れていた。2番手にグローリーヴェイズがあがり、その真後ろがアーモンドアイ。
直線へ入ってきたキセキは馬場の3分目。グローリーヴェイズはそこから3、4頭分外へ進路を取る。さらに外へと出したアーモンドアイ。内でキセキは脚が止まり、前にいたグローリーヴェイズも内へとササりだす。
あと300を機に追い出すルメール。アーモンドアイもゴール前では外へと流れた。最後の2ハロンの13.2~12.3が死闘ぶりを物語る。デアリングタクトが苦しくなり内へササリながらも3着へ盛り返す。一旦、離されたコントレイルにクビ差と力は証明。
アーモンドアイは最強の威厳を残してターフを去って行く。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。