競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【京都記念】開幕週の阪神開催で仕切り直し
2021/2/9(火)
あれ以来の阪神開催である。あの頃からは馬場も様変わりして、今は時計勝負。直線の坂はあるけれども前へ行っている馬が断然有利、まして開幕週。ざっと見渡すとダンビュライトが逃げるのだろう。
G1馬は2頭。ワグネリアンにラヴズオンリーユー。鞍上が共に替わる。ワグネリアンには武豊騎手で、先週の木曜に稽古に跨った。ラヴズオンリーユーには川田騎手で、2週連続で乗っている。
ワグネリアンは、宝塚記念13着の後にノドの手術をした様だ。ラヴズオンリーユーの有馬記念は、馬場も合わなかったか。共に3歳時から勝ち星を加えていない。共に仕切り直しの一戦。結果を残したいはずだ。
他ではモズベッロ。今年一度使って、上積みは十分。
21年2/7(日)1回中京12日目11R 第61回 きさらぎ賞(G3、芝2000m)
- ラーゴム
- (牡3、栗東・斉藤崇厩舎)
- 父:オルフェーヴル
- 母:シュガーショック
- 母父:Candy Ride
きさらぎ賞(G3)の結果・払戻金はコチラ⇒
《適度で節度あること(スウェーデン語)》ラーゴムの馬名意味である。確かに競馬っぷりは絶好の位置の3番手のイン。前半はややリキむ処もあったが、我慢させての道中。直線もそのまま伸びての勝利。派手さこそないがキッチリと能力を出し切って勝った、そんな印象であった。
逆に2着のヨーホーレイクは、今回もスタートで少し流れて外のダノンジェネラルと接触。位置取りは後ろから、コーナーは内を廻るも向こう正面に入ってからは外を選択。直線入口まで辛抱して、進路を馬場の真ん中へと出してくる。
直線半ばで二度ほど外へ流れた。そこから気持ちが前へ向いて伸びたものの、クビ差負け。道中の外や直線の進路は描いていたものだと思えるが、最後に若さの分での負けではなかったか。あれでクビ差なのだからと思える内容だった。
そして1番人気のランドオブリバティ、スタートで少し窮屈な面はあったが、今日はじっくりと乗ろうがありあり。前の2頭から3馬身以上も離されていただけに勝ち負けには加わった感はないが、とりあえず前走のアクシデントを払拭しての今後だけに、仕方ない内容ではなかったか。
キャリア1戦のダノンジェネラルはスタートから道中、そして直線に入ってとかなり厳しい競馬を強いられた。今日は参考外としておこう。
馬場がかなり悪くて、今日は力を出せなかった馬もいるだろう。今回の結果が全てではないとは思える。まだまだ強い馬が待っているクラシック路線なのである。
どうもJRAの馬名の意味での《ラーゴム》がもうひとつ判りにくい。ネットで調べてみた。《多すぎず、少なすぎず、ちょうどよくと言った意味合い。ラーゴムが生活に根付いているスウェーデンの人たちは、日本とよく似た文化である》とあった。
なるほどと思える馬名である。派手さはないがキッチリと仕事をこなす、そんな多くの日本人が持つ特性をそのまま表したようなラーゴムのレースぶり。常に手抜きをしない仕事ぶりであった。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。