ケンタッキーダービーを観て、朝から大きな声が出た。本当にこれほどに悔しい負けはないだろう。そしてNHKマイルC、ここでも敗者は辛いものと。勝負だから勝ちと負けしかない。この負けを次の糧にするしかない。

今週もマイルの戦いが続く。古馬牝馬のヴィクトリアマイル。いいメンバーである。GⅠ制覇が待ち遠しいマスクトディーヴァ。海外遠征帰りのGⅠ馬、ナミュール。同厩舎のスターニングローズも秋華賞勝ちのGⅠ馬でそろそろ巻き返しの頃合いだ。他にも紫苑S馬のモリアーナ。マイル重賞で善戦、激走が続くウンブライルと目移りする馬ばかり。

ナミュールは帰国検疫のかげんで入厩10日での出走。加えての東京遠征である。パドックをじっくりと観たい。マスクトディーヴァの東京新聞杯時はゲート突進のアクシデントがあって度外視。馬体も充実している。そろそろ戴冠の頃。いやいや武豊Jも虎視眈々。2009年ウオッカ以来の勝利を狙っている!

【NHKマイルCの回顧】

24年5月5日(日)東京11R NHKマイルC(G1) 芝1600m)
  • ジャンタルマンタル
  • (牡3、栗東・高野厩舎)
  • 父:Palace Malice
  • 母:インディアマントゥアナ
  • 母父:Wilburn
  • 通算成績:6戦4勝


これほどに勝者とそうでない者の差を冷酷に見せつけたレースはない。2歳王者のジャンタルマンタルは何事もなかったかの様に力を出し切った。だが、2歳女王はよくぞあそこまで盛り返したと言われても虚しく感じる結 末だった。《負けて強し》のフレーズでさえも彼女には慰めにもならない。そんなアスコリピチェーノの2着敗退だった。

上位に来た馬が全て前がかりで競馬をした様に、確たる先行馬の居ない顔ぶれ。ボンドガールの武豊Jが先手を主張しに行ったのも判る。そしてキャプテンシーが途中から交わして前。マスクオールウィンが続いて、その後ろにジャンタルマンタルが、アスコリピチェーノが居た。

前半1000Mの58・3は良馬場では遅い方だ。流れを読むと前が有利は当然の利。ジャンタルマンタルは好発でいつも以上に前めに。すぐ後ろにアスコリピチェーノも収まる。流れは直線のあと400まで殆ど動きはなし。内を閉めて前の馬とのスペースを造らない様に乗るのも当然。だから、ルメールはアスコリピチェーノをあと1ハロンから内へと誘った。

その時に前のマスクオールウィンが凭れたのか内へと寄った。キャプテンシーと内のボンドガールとアスコリピチェーノの3頭が非常に狭くなり危ないシーンも。アスコリピチェーノは躓きもしたが、よくぞ踏ん張った。

ジャンタルマンタルはそんな喧騒をよそに先に真っすぐゴールへ。川田Jはかなり激しくステッキを入れた。勝利を確実なものにするステッキなのだろう。マイルなら絶対なる走りをする馬と。今後もこの路線で頂点を極めていくのだろう。

だがアスコリピチェーノもあのアクシデントがあっても怯まない強い精神力である。この馬も負けず劣らずの資質なのは明確。この2頭はこのさき何度も同じ舞台で戦っていくのだろう。今回が始まりの章であったと。