競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【日経新春杯・解説】今年も関東馬攻勢、グローリーヴェイズが初重賞勝利!
2019/1/15(火)
19年1/13(日)1回京都4日目11R 第66回 日経新春杯(G2)(芝外2400m)
- グローリーヴェイズ
- (牡4、美浦・尾関厩舎)
- 父:ディープインパクト
- 母:メジロツボネ
- 母父:スウェプトオーヴァーボード
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三日間競馬のど真ん中。関東から2頭の西下だがその2頭が上位人気の支持。迎えうつ関西馬は、重賞勝ち馬がガンコにメイショウテッコンなど4頭だが、近走内容からちと小粒の日経新春杯。あっさりと直線抜け出したのは1番人気のグローリーヴェイズ。関西馬かと見間違うほど主戦場を関西に求めてきた菊花賞5着馬。3勝目を重賞制覇と、今年の好発進となった。まだまだ続く関東馬攻勢。今年も悩ましい年になり得るのだろう…か。
スタートで、やっぱりメイショウテッコンがゆったりの出具合。アイトーンが予想どおりに先手を取って行く。サラス、ロードヴァンガードと先行グループを形成して行くが、そうスローな流れではない。坂の昇りで少しペースダウンをしたアイトーンだが、そこで後ろから動いたのがメイショウテッコン。一気に前へと進出し、坂の下りでは先頭に立っていく。そこで3,4馬身と離したが、直線入り口に入って脚色が衰える。ゴール前の2Fが13.1と想像以上に時計がかかったのが、それを如実に表している。
脚色の悪くなったメイショウテッコンの外を、スルリと通過して行ったのがグローリーヴェイズ。勝負どころの3角ではインの後ろめでじっと脚を貯めていた。そのままインで4コーナーも辛抱、自然に前との差がなくなった直線入り口で、難なく前へと進出。あっという間に好位グループに接近。
あと300で、メイショウテッコンのすぐ後ろまで接近。そこでMデムーロの渾身のステッキが入る。あと200でメイショウテッコンを抜いたがまだ安心できる脚色ではなく、ステッキを持ち替えてさらに追う。まるで水車の様なステッキの使い方で促す鞍上の気迫に応えて、グローリーヴェイズも伸びて行く。
一旦は1馬身半ぐらい出ただろうグローリーヴェイズだが、まだ安心できる脚色にならない。シュペルミエール、さらに外からいい脚で来たルックトゥワイスの脚色が一番良かったが、半馬身差まで迫ったところがゴールだった。最後の3F12.2~13.1~12.4とかなり切れ味を損なう馬場コンディションでもあった様だ。
今回でまだ7戦のグローリーヴェイズ。デビューは中山で鞍上はMデムーロ。そして3戦目のきさらぎ賞でやはりMデムーロで2着。昨夏の新潟で2勝目を挙げた時も、やはりミルコ。菊花賞ではエタリオウに乗ったミルコに代わって福永騎手でグローリーヴェイズは5着と大健闘、力のあるところをみせた。そして年を明けての今回、主戦ジョッキーを迎えたグローリーヴェイズが初の重賞を手に入れたのであった。
母メジロツボネは、祖母メジロルバートからあの牝馬3冠馬のメジロラモーヌへと繋がる血筋である。牝馬にしてはグラマラスな馬体のメジロラモーヌ。強さは半端なかった。そんな昔を思い出せる競馬の脈々と続く歴史に感慨を覚えるものだった。いや、本当に競馬っていいものですね……。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。