競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【安田記念】外国馬の参戦がカギ
2024/5/27(月)
今週から2歳戦がスタート、またまたダービー馬を探す長い旅が始まろうとしている。競馬はエンドレスゲームで何時終わるのだろう?と自分に問いている。安田記念である。
今年は外国馬も参戦。何と言ってもロマンチックウォリアーだろう。香港競馬では日本馬に大きく立ちはだかっている馬だ。マイルも問題ないのなら強敵である。ヴォイッジバブルもけっこうな戦歴の馬。共に大型馬、パドックでしっかりと見届けたい。
迎え撃つ日本勢。モレイラ騎乗のソウルラッシュ。前走、マイラーズCを2年ぶりに勝利。そこから安田記念へのパターンは今回で3年連続。過去2度の安田記念ではまだ結果を出せていない。今度こそか。そしてセリフォス。3歳時にチャレンジし4着。昨年は2着、今年は黄金コンビの鞍上だ。ルメールのパラレルヴィジョンも気になる。
【日本ダービーの回顧】
24年5月26日(日)東京11R 日本ダービー(G1) 芝2400m)
- ダノンデサイル
- (牡3、栗東・安田翔厩舎)
- 父:エピファネイア
- 母:トップデサイル
- 母父:Congrats
- 通算成績:5戦3勝
昨年の6月3日からスタートした2歳戦、その360日後の世代最高峰の東京優駿、ダービー。7906頭の頂点に輝いたのはダノンデサイルだった。皐月賞をゲート入り直前の輪乗りで無念の取り消しだった。発走時間がかなり延びたのを覚えている。
その皐月賞をコスモキュランダとの追い合いで制したジャスティンミラノが当然に1番人気で挑んだダービー。父キズナは2013年のダービー馬、当時の半馬身差2着がエピファネイア。父子3代の制覇に待ったをかけたのがそのライバルの産駒とは、競馬は因縁の繰り返しだ。
ジャスティンミラノの敗因はと何度もビデオを観た。ゲートは確かに早くは出れなかった。⑦枠3頭が並ぶ様に遅かった。外からエコロヴァルツが前へ行ったあとをすぐに前へとりついた。
シュガークンが控えて、流れは確かに遅くなり、道中からサンライズアースがあがって4コーナーでは外へ並んで来てはいた。だが、直線での進路もすぐに開いたし中2頭を挟んで最内のダノンデサイルとの300Mからの追い合い。少しは差を詰めた時もあったが最後は逆にダノンデサイルに離されている。
内で脚を貯めていたダノンデサイルが弾けたからだけでなく完敗であった。返し馬でダノンエアズロックが頭を振ってイヤイヤをしていたのや、レガレイラの歩様が少し小さめで硬くも感じた。しかし、レガレイラは直線入り口で後ろのイン、そこから外へ外へと出しての5着。ゴール前の脚は際だっていた。
前後半と5秒も差がある超スローな競馬。殆どのジョッキーが前を意識しての流れのなかで折り合って経済コースを通って完璧な競馬をした横山典弘とそれに応えたダノンデサイル。枠順も好枠を得て戴冠の用意は出来ていたのだろう。何よりも、勝者を称えた多くのファンの大声援がいちばん嬉しいダービーであった!
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。