競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【函館記念】重い馬場、軽いヤネ
2024/7/8(月)
競馬のサイクルは本当に早い。もう函館は最終週。名物、函館記念だ。先週日曜は一日雨。だいぶ馬場も傷んでいる。今週は本州はどこもが傘マーク。函館は何とか大丈夫そうだが、完全な良馬場とは行かないだろう。2分を切る決着になるのかどうか。
ハンデも影響しそうだ。ジョッキーでは三浦Jと津村Jが参戦。グランディアにリカンカブールの共に5歳馬。一度使った点ではグランディアが面白そうに思える。ハヤヤッコにチャックネイトがハンデ頭。データ的にはあまり嬉しい材料ではない。巴賞の1、2着馬。ホウオウビスケッツにデビットバローズが主導権を握りそうだ。そのレース4着のオニャンコポン。時にいい脚で突っ込んでくる。穴ならこの馬かと。
【プロキオンSの回顧】
24年7月7日(日)小倉11R プロキオンS(G3)ダ1700
- ヤマニンウルス
- (牡4、栗東・斉藤崇厩舎)
- 父:ジャスタウェイ
- 母:ヤマニンパピオネ
- 母父:スウェプトオーヴァーボード
- 通算成績:5戦5勝
デビューが昨夏。そこから8ケ月ぶりの春。また7ケ月開いて晩秋の11月。今年の初陣は1月と四季の戦いを経験してきたヤマニンウルス。この暑い時期でも体は584キロ。なかなかこれほどまで大きい馬はそうは居ない。ふと血統を見直す。母、ヤマニンパピオネは松永幹厩舎で短距離で4勝した馬。その母、ヤマニンメルティは武邦彦厩舎で20戦の19戦で幸四郎Jが手綱をとった。その母、ワンオブアクラインから出た子供はおしなべて大きな馬が多かった。錦岡牧場でヤマニンで担当厩舎の馬ばかりだったから全ての馬を傍で観ている筈だが、記憶にない。身近に居た馬達なんだなと改めて思う。脈々と流れる血筋、サラブレットは人間が造った最高の作品だ。
レースではこう乗るのだろうと思ったとおりに好位。4番手ぐらいで後800ぐらいから少し前へ出て、4角を廻る時に先行馬を捕らえてと理想的な競馬っぷり。ただPVで観てもコーナーへの入りがもうひとつだし、脚を振る走りでけっこう手前を替えている。ゴールを過ぎてまた手前を替えるとドタドタした走りなのかなと想像する。大きなPVで観れたら良く判るのかも知れない。何せ、そんな大味でも3馬身の完勝。タイムもこの乾いた馬場で1・42・7は遅くない。
2着のスレイマンはヤマニンウルスをマークする様に真後ろ。なかなか差を詰められずで、逆にマリオロードに詰め寄られている。そのマリオロード。道中は後方の内で4角で外へ出したが前が渋滞、追い出すのを待っていたぐらい。もっと前へ来れてた可能性もある。ハピは4角大外から伸びてきていた。ゲンパチルシファーがいい脚で強襲。後方組がいい脚で突っ込んできていた。これからもっともっと強烈な相手と戦う時が進化を問うものだろう。まだ夏の走り、小倉でヤマニンウルスが連勝を伸ばした。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。