競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【京成杯オータムH】開幕週だからこそ
2024/9/2(月)
ハンデ戦でアスコリピチェーノには55・5キロが付けられた。定量で牝馬は2キロ減。マイル以下での距離では3歳馬が2キロ減だから換算すると59・5キロとなる。
デビューしてまだ5戦。2歳女王で今年のGⅠ、桜花賞とNHKマイルは2着。ハンデ戦に出てくる馬ではない。2番ハンデに1・5キロの差をつけて当然の力量だ。
NHKマイルでは直線半ばでアクシデント。後で思えば良く2着に来たぐらいの内容ではあった。5月以来の競馬ではあるが稽古量はたっぷり。デビュー戦以外はマイルに特化した戦い。ここは負けられない一戦だ。
関屋記念組が動けやすい。ディオはハンデも57・5ならいい。開幕週だけに前残り十分。オーキッドロマンスにエエヤン、セルバーグと前で戦う馬が複数いる。でもルメールとアスコリピチェーノの鞍だろうと確信。
【新潟記念の回顧】
24年9月1日(日)新潟11R 新潟記念(G3)芝2000m
- シンリョクカ
- (牝4、美浦・竹内厩舎)
- 父:サトノダイヤモンド
- 母:レイカーラ
- 母父:キングカメハメハ
- 通算成績:10戦2勝
幸いにも良馬場で行われた新潟記念。馬場は傷んでいるから各馬が馬場の真ん中へ出てくるのだろうと推測。ハンデ戦で展開も前が早めの流れになるのは必然で、余力を残せる馬に最後は凱歌があがるだろうと。だがその前にTV画面で異変が映る。
ライトバックが直線を外ラチの方へ暴走し、ラチへ到達する前に坂井瑠星Jが何とか飛び降りて、馬はそのまま柵を突き抜けラチ外のコンクリート道を爆走。何でも厩舎地区で捕まったらしい。破損した箇所を直す時間とかで発走がだいぶ遅れた。競走除外は当然で、もうこのレースは何か荒れそうだぞと誰しもが感じた。
そもそも、パドックでレッドラディエンスは前回時にはそう感じなかった入れ込みがあった。何か馬がイラついている様に思えた。スタートが切られた。シンリョクカがいいスタート。アリスヴェルテがあがってきて前へ出る。PVで観ると各馬、相当に馬場の外を走っている。画面で観ても内の傷んでいる部分と色が違っていた。
先行する前の2頭がいちばん外めを通っている時間もあった。最後のカーブは内を廻って直線へ入ってきたが各馬外へと進路をとる。アリスヴェルテを交わしてからはシンリョクカが粘りに粘り激戦を制した。千直の競馬なみに馬場の真ん中より外めで横に広がってのたたき合い。レッドラディエンスはそれこそ大外へ。反応が悪かったのはハンデも利いただろうし、2000でありながら走行距離は2100以上の競馬では良さが出なかった様子。
惜しかったのがセレシオンでゴール前がスムーズならハナ差は判らなかった。やっぱり友道厩舎は怖い。シンリョクカは待望の2勝め。竹内師、木幡初也騎手揃っての重賞初勝ちとなった。1番人気キングズパレスは約半馬身差届かずの3着。今年も荒れた新潟記念だった。競馬は何があっても不思議でないと痛感。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。