競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【東京新聞杯・解説】インディチャンプがマイル路線に名乗り!!
2019/2/5(火)
19年2/3(日)1回東京4日目11R 第69回 東京新聞杯(G3)(芝1600m)
- インディチャンプ
- (牡4、栗東・音無厩舎)
- 父:ステイゴールド
- 母:ウィルパワー
- 母父:キングカメハメハ
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その切れ味の凄さを目の当たりに見ている関西のファンは、インディチャンプを期待の眼差しで見ている。重賞、それもG3ぐらいなら楽に突破だろうと。だからゲートをモッサリと出た瞬間でも何ら動揺もしない。前がロジクライが先手を主張、と思いきやそこにショウナンアンセムも加わり、流れはスローペースでないのもすぐに判り安心する。馬群の中団、それも内ラチ沿いの位置取りに納得する。あとは直線どこから出てくるのかだけと。
こんなに安心して見ていられる馬はそうはいない。このままG1まで突っ走りそう…だ。
少し前の京都きさらぎ賞で、ジャンダルムと互角の併せ馬をしたダノンチェイサーが重賞ウイナーとなった。当然にジャンダルムの好走も期待したい。だが馬場に出ての返し馬が画面で流れた時に、《何か脚の運びが小さいな~》と感じてしまう。もしかしてこの馬にはダートの方がいいのかも知れない、なんてまで思ってしまう。
そのジャンダルムとインディチャンプが、スタートで後ろに置かれた。特にインディチャンプが一番後ろ。馬群に取り残された。だがその後インディチャンプはあっという間に前へとスルスルっと出て行き、馬群の切れ目、真ん中ぐらいにはいた。
ロジクライはショウナアンセムに先頭を譲り2番手となる。決してそう速いラップではないのだが、レースの主導権がどの馬なのか判りにくい流れだ。タワーオブロンドンが5、6番手。その後ろにレッドオルガがいて、後ろの内側にインディチャンプだ。さらにサトノアレスが続く。最後方はレイエンダ、やはりこの距離の対応が問題なのであろうか。ジャンダルムがその前。先頭からはかなり離れている位置であった。
1000mが57.2で、遅くもなく極端に速いわけでもない。だが澱みない流れのまま直線へと入ってきた。
あと400を前にロジクライが先頭に立ったが、もう手応えはあまりない。内をピッタリと廻ったインディチャンプは、先に廻ったタワーオブロンドンの内に追いつき抜いていく。ロジクライの内を狙うのか外を狙うのかと固唾を呑んで見ていたら、外を選択。同じくそこを狙うタワーオブロンドンとその隙間を狙う。先に体を入れたインディチャンプの勝ちで、スルリとそこを抜けた。
あと200を過ぎたあたり。もう勢いづいたインディチャンプ。無人の先頭をゴールへ向けてまっしぐら。ところがあまりに早めに先頭に立ったせいか遊び気味なのか、後ろから迫ってくるレッドオルガとサトノアレスとの差が一気になくなったところがゴールであった。
タワーオブロンドンは、外から脚を伸ばしてきたロードクエストにも追い負けして5着。最後方からのレイエンダが32.8と凄い脚を使って8着に突っ込んできてはいるが、前とは差があった。
勝ち時計が1.31.9とかなり速いもの。決してきれいな勝ち方ではなかったインディチャンプだったが、やはり切れる脚を持っている馬だと再確認。このままマイル王へと突っ走ってくれるかも知れない。むしろ前に馬がいた方が闘志を燃やす馬。接戦になった方がいいぐらいの馬かも知れない。
火曜朝には、残念ながら音無師の姿はなし。景気のいい話は聞けなかったが、まだまだこれから時間もたっぷりあるので、ゆっくりと話を聞かせて貰おうと思っている。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。