競馬専門紙にて記者として30年余り活躍。フリー転身後もその情報網を拡大。栗東の有力ジョッキーとの間には、 他と一線を画す強力なネットワークを築く平林氏が、現場ならではの視点でレースを分析します。
【小倉記念・解説】暑さをぶっ飛ばすレコード勝利!トリオンフが快勝!!
2018/8/7(火)
18年8/5(日)2回小倉4日目11R 第54回小倉記念(G3)(芝2000m)
- トリオンフ
- (セ4、栗東・須貝尚厩舎)
- 父:タートルボウル
- 母:メジロトンキニーズ
- 母父:ダンスインザダーク
2005年にメイショウカイドウが勝利をしてからは、1番人気馬の優勝がなかった小倉記念。その時の鞍上武豊騎手がトリオンフでレコード勝利と、そんなジンクスをもお構いなしで快勝してみせた。 マウントゴールドの逃げにピタっと併せていき、3角手前から早めの仕掛け。逃げたマウントゴールドが粘るところをサトノクロニクルが交わしたが、トリオンフとは3馬身もの差がついた。4万人も入った場内を沸かせた。竹内涼真と武豊で、熱い小倉の夏を演出した。
パドックを家のTVで見ている。こちらの暑さと小倉の暑さは違うのだろうが、暑いのには変わりがない。マウントゴールドがヤケに入れ込んでいた。トリオンフはパドックでは騎乗せずに出て行く。馬場入場では一番先に出ていたようだ。早めに涼しい4コーナー奥の待避所でダクを踏んでレースを待っていた。 そしてゲートがオープン。ややサンマルティンが外へ流れて出た。トリオンフがいいスタート。先手を取りに行くのかしら?と思えるほどだった。内からストーンウェア。真ん中からマウントゴールド。その外にトリオンフで、そのまま前へと行きそうだ。
スタートしてからサトノクロニクルにステッキが入る。2,3発の連打で促す。その後ももう1発、前へ行けとMデムーロ騎手の指示が出た。 最初のカーブには4番手の外を確保できた。キョウヘイは馬群の内目で頭を上げているのが見える。マウントゴールドを生かせてトリオンフが2番手、それも半馬身と離れない位置での先行だ。 2コーナー、向こう正面と2頭ずつ3列の態勢で進む。2列目が内がエーティーサンダー、外がサトノクロニクル。3列目がストーンウェアに、外はストロングタイタン。今週から来日のアヴドゥラ騎手が騎乗だ。その3組がより並び、それぞれの間隔を1馬身半ずつ置いて進む。いわゆる淡々とした流れになっている。1000mの通過が1.00.0ジャスト。完全に前が有利な流れである。
小倉競馬は、3コーナーに入るかのところにラスト800のハロン棒がある。小廻りコースでそこからが追いだしのポイントになるものだろう。早くも武豊騎手がゴーサインを出したようで、次のラスト600の時には交わして行きそうな勢いだ。そこで後ろのサトノクロニクルに再びステッキが入って促しているのが見える。それもそのはず、そこのラップが11.1と一遍に速くなっていた。 4コーナーに入る時には内のマウントゴールドの浜中騎手の手が動いてしごいているのに、トリオンフの武豊騎手の手綱は水平のまま。 交わして前へ出て、直線へ先頭で入ってくる。ラスト200の処で左ステッキを1発入れた武豊騎手。そこからゴールまでの1ハロンで、計6発のステッキでトリオンフを促してのゴール。終わってみれば、1.56.9のレコードだった。
1、2番人気の決着となり、前へ行っていた4頭が上位を占めた。唯一、中団のインを進んでいたレイホーロマンスが4着に喰い込む。3番人気のサンマルティンは位置は出たなりだったのだろうが、最後のカーブに入る前にストロングタイタンが下がってきたアオリを喰って進路がなくなり、その後も前にスペースがなくて踏み遅れてしまっての7着。 このレースのポイントは、トリオンフの先行策も当然だが、ゴールまでの2ハロンを10.9と早めに勝負に出たこと。この切れを出した積極策が、サトノクロニクルとの3馬身の差になったもので小倉コースの乗り方、勝ち方を良く知っている武豊騎手であろう。
久々にスカっとする様な勝ちっぷりで小倉記念を制したトリオンフは次はどこなのか、残念ながら火曜朝には須貝師の姿はなく、後日にジックリと相談することとなるのだろう。何せ、鞍上は乗り味の良さをかなり言っていた、そんな馬なのである・・・。
プロフィール
平林雅芳 - Masayoshi Hirabayashi
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、その情報網を拡大し、栗東のジョッキーとの間には他と一線を画す強力なネットワークを構築。トレセンおよびサークル内ではその名を知らぬ者はいないほどの存在。