サリオス

19年12/15(日)5回阪神6日目11R 第71回 朝日杯フューチュリティS(G1)(芝1600m)

  • サリオス
  • (牡2、美浦・堀厩舎)
  • 父:ハーツクライ
  • 母:サロミナ
  • 母父:Lomitas

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538キロの数字からは想像できないフットワークの軽さ。それでいて、幼さも随所にみられながらも追われてからはしっかりと伸びてゆく闘争心の強さ。このハーツクライらしからぬ馬は、規格外の強さがありそうだ。そしてまたまたノーザンファーム生産馬。鞍上も世界のR.ムーア。今、競馬サークルで最強のコンビであろう。負けようがない数式である。王者ここにありと言った印象か。

前のレースで、検量室あたりをウロウロ。だからメインのパドックへと足を運ぶ時間がなかった。地下トンネルから出てきてウイナーズサークル脇を通って馬場入場する付近で各馬のキャンターを眺めていた。初めてみるサリオスの馬体。栗毛が陽光に輝いていた。そんなにデカいとは感じないキャンターで、1コーナーへと去って行く姿を眺めていた。レッドベルジュールがややうるさい仕草が目立ってもいた。タイセイビジョンもいい感じだ。ラウダシオンの勝負服を見て、ああこの馬もシルクなんだ~と知ったほど。

朝、食堂でおにぎりをパクつきながら朝日杯FSの参考ビデオを見入っていた。そのなかでグランレイの勝ち方、ゴール前の伸びがやけにいいのに気が付く。馬名はグランレイ。フーンと頭には入っていたし人気を調べると、単勝で万馬券のオッズだと解った。返し馬も元気いっぱい。ただただ、気になる馬だった。

レースも馬場の外ラチのカメラマンの後ろぐらいで観ていた。オーロラビジョンが頼りである。ビアンフェが主導権を取りに行った。サリオスも早めに好位につける。だが場内アナウンスが3Fのラップを告げる。ソコソコ流れているようだ。武豊騎手のタイセイビジョンの位置も確認できた。すぐ後ろにスミヨンのレッドベルジュールがいる。真後ろにタガノビューティーが追走していた。初めての芝で勝手が違うのかな~なんて思いながら。

4角が近づく。サリオスらの好位組がまだ余裕の手応えで追走しているなかで、中団の前のラチ沿いにいたマーフィーのペールエールが、鞍上の手が動きだしている。馬群が前向きなのに、この馬が鞍上が手応えが悪すぎると感じる。縦長の馬群だったが、4角が近づくとだいぶ凝縮し始める。カリニートとグランレイの2頭だけが前と差があるが、他はそう差がなくなった。軽快に逃げていたビアンフェも、4角を廻ったあたりで脚色が衰えだして後続がかなり接近する。馬場の真ん中へとサリオスの姿が映りだす。その後ろにタイセイビジョンも見えた。

直線へ入ってきた。サリオスのムーアがラスト300あたりで左ステッキを入れた。さらにラスト200にかかる前に、ステッキを連発し始める。その時がタイセイビジョンがサリオスに最も近づいた瞬間だっただろう。おそらく武豊騎手も勝利と思えた時だったかとも思う。

タイセイビジョンの外へ急追してきたタガノビューティー。後ろではラウダシオンももうひとギア上げて追いすがろうとしていた。ところがである。ムーアに追われたサリオス。ラスト100を過ぎ、さらにラスト50を切るぐらいでさらに伸びだしていくのである。まるで今までが先行で、ここから追い込みの脚を繰り出したかの様にである。ギアが上がって差を広げだしたのである。そして2馬身半の差をつけての完勝劇。2着はタイセイビジョンで、3着にはゴール前で凄い脚をみせたグランレイがタガノビューティーを交わして入った。

R.ムーアのレース後のコメントで、来年はさらに期待できる馬だとある。ただ前につけて流れ込んだ勝ち方ではなく最後にもうひと伸びをする、そんなギアをも持っている馬のようである。勝ち時計は先週のレシステンシアには及ばないものの、受ける印象はこちらも強い!と思えるものだった。R・ムーアに来年、コントレイルとサリオス。どちらの馬を選ぶのか聞いてみたいものである。そんな夢を感じる牡馬達。ディープインパクト産駒もハーツクライ産駒にも大物がいる。来年も面白い競馬になりそうである……。