関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

白倉孝一調教助手

京阪杯を7番人気で制した後、2戦続けて惨敗しているアースソニックだが、そこから一変が同馬の歴史。相手関係は更に強化されるものの、虎視眈々と人気薄への激走に向け爪を研いでいる。さすがに控えめではあった白倉孝一調教助手だが、話の節々には気になるポイントが散らばっている。本命党はヒモ候補に、穴党は軸候補としてご検討いただきたい。

人気馬の一列後ろの位置が理想

-:よろしくお願いします。アースソニック(牡5、栗東・中竹厩舎)が厩舎に来たときは気性が荒かったのですか?

白倉孝一調教助手:脚をあげてもらったらクルっと回って落としたりする時が何回かありました。今は全然そんなことはありませんが。

-:そういうのは2歳の馬なら時々ありそうなシーンですよね。

白:それぐらいで、特に悪癖はないです。わりと乗りやすいですし、最近はだんだんと短距離馬らしくなってきて、坂路なんかやったら行きたがるようなところが出てきましたけどね。

-:去年の11月に京阪杯を桂川Sに続いて連勝しましたが、この時の勝ち時計がめちゃくちゃ速いですよね。10月に桂川Sを勝った時は芝の不良馬場で1分9秒という1200にしては遅い時計で勝っていたので、全然違う条件の京阪杯ではどうかと思っていたのですが、全く苦にしませんでしたね。

白:あの時は本当に良い競馬をしましたよね。中山とかで条件馬の時に、道悪で勝ったりもしているけれども、今はどちらかというと、速い時計よりは、芝丈の長い重い馬場の方が良い馬だと思うんですけどね。

-:ちなみに、中山の2011年の1月に500万で中山行った時の1着馬がハクサンムーンです。意外ですよね?だから、高松宮記念の前にこの両馬でワンツーしていたんです。デビュー4戦目でハクサンムーンとやっているんです。この馬を取材しようと思った理由というのは、先週の中京開幕週の芝の状態を見たからなんです。ちょっと時計がかかっていたんですよ。この馬はそういう条件で良績が多いですし、好位につけられて、ハクサンムーンやコパノリチャードなんかを見ながら行けますよね。

白:今回は行って流れを引っ張ってくれる馬がいるので、向いてくれそうですよね。

-:なおかつ、オーシャンSで人気の盲点になりそうな負け方をしてるじゃないですか。この時の敗因というのは白倉さんとしては、どういう解釈をされているんですか?

白:ジョッキーが言うには、少し馬場も荒れていたから最後は脚をとられていたみたいです。以前は荒れた馬場でも結果を出していたのですが、もう良くないのかもしれませんね。「のめっていた」と言っていましたし。でも、休ませた後の1走目で、桂川Sや重賞を勝った時ほどのデキにはなかったんです。使ったことで馬はだいぶ良くなっていますから、本番に向かって体調は良いと思います。

-:この敗戦を良い頃に比べたら準備不足だったと考えたら、おもしろい馬なのかなと思います。

白:そう思いますね。



厩舎の先輩ジョーカプチーノと比較

-:乗っている感じで、能力面ではどこまでの器だと感じますか?中竹厩舎ですと、ジョーカプチーノのG1馬もいましたね。

白:あの馬は馬格もパワーもあってタイプが違いますからね。ジョーカプチーノはG1を1個しか勝てなかったけれども、別格なところがありましたよね。

-:これまで左回りの中京でも結果を出していますよね。

白:本当は中京とかよりも、小回りの直線が短いところがあっている気がするんですけどね。

-:昔の中京とか、中山とかですか?

白:そうですね。一瞬しか脚を使えないですから。

-:長い直線でというタイプではないんですね。

白:最近、行きたがる素振りは見せているので、後ろにつけて折り合って、直線待ってから弾けるかどうかですからね。


「1回使ってから今日(3/20)の動きは激変しました。重賞を勝った時くらいの良い時の動きになっていますし、あと1週間でさらに良くなると思います」


-:京阪杯を勝った後に、12月のラピスラズリSと前回のオーシャンSと2回続けて人気を下回っているのですが、ラピスラズリSの時はどういう敗因だったんですか?2戦とも中山の1200と条件は一緒ですよね。

白:状態は良過ぎるくらいだったんですけどね。あの時は完全に掛かっちゃいました。それに尽きます。完全に暴走に近いペースで行っていますから、あれではどうしようもないですよね。

-:この時は1枠1番だったので、枠としては抑えるには適しているのかなと思ったのですが?

白:ちょっと仕掛けたらそのまま行っちゃいましたよね。完全に標的にされましたし、結果敵にはデキが良すぎたのかなとは思いました。

-:家賃が高いという話ばかりでもしょうがないので、前向きな強調材料はありますか?

白:今回のG1だったら、去年や一昨年みたいにスバ抜けたのがいるわけじゃないから、立ち回り次第では上位を狙えると思っています。

-:折り合い面でも速い馬が揃っているので、その馬たちの後ろをつけれますよね?

白:僕らからしたら良いメンバー構成にはなってきていると思います。

-:あとはスタミナ的に最後のゴール前まで脚を残せるかですね。

白:長い直線と坂がありますからね。でも、1回使ってから今日(3/20)の動きは激変しました。重賞を勝った時くらいの良い時の動きになっていますし、あと1週間でさらに良くなると思います。

アースソニックの白倉孝一調教助手インタビュー(後半)
「中竹厩舎の坂路調教ポイント」はコチラ⇒

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【白倉 孝一】Koichi Shirakura

父が厩務員だったことに影響を受けて、競馬界へ足を踏み入れる。初めてトレセンで就業した古川平厩舎、湯浅三郎厩舎を経て、中竹厩舎へ。トレセン歴は25年以上にも及ぶ。
これまでに印象に残った馬は、厩舎のG1馬ジョーカプチーノは勿論のこと、ダービーにも駒を進めたデボネア。日々の仕事のモットーは「毎日、やるべき事をコツコツと繰り返すことが大事じゃないかと思います」と語る。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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