東京でリベンジを誓うフォーエバーモア
2014/5/18(日)
東の大将格として3番人気で挑んだ桜花賞は、キャリアで初めて掲示板を外す8着。陣営のみならず、ファンにとっても、フォーエバーモアの惨敗はショッキングだったのではないだろうか。得意の東京コースとなるオークスでは巻き返しが期待されるところだが、そこはビッグレースに強い厩舎とジョッキーのコンビ。鹿戸雄一調教師に、桜花賞の敗因分析、当時からの変化と工夫などを聞かせてもらった。
初めて崩れた桜花賞の敗因
-:フォーエバーモア(牝3、美浦・鹿戸雄厩舎)についてお聞きします。まずは桜花賞前の調整について伺いたいのですが、どういった点に注意されていましたか?
鹿戸雄一調教師:クイーンCは(雪の影響)変則開催の中で頑張ってくれたので、ちょっと疲れがありました。いつも通りノーザンファーム天栄に短期放牧に出して疲れをとってから、逆算して桜花賞の大体1ヶ月前に戻して、トレセンでもこれまで通りに週2本ずつの稽古を重ねていきました。G1ということもあって、キッチリ体を仕上げたいなと思っていたので、併せ馬を中心に、1週前には蛯名騎手が乗って強い稽古を課して、ある程度そこでデキ上がっていたという感じです。
-:直前の調整は坂路でしたね。
鹿:当該週は体もできていたので、調整程度でした。それでも併せ馬でキチッと。特に問題はなかったんですけどね。
-:レース当日の馬の雰囲気は、先生がご覧になってどう思われましたか?
鹿:若干体重は減って(マイナス4キロ)いましたが、張りもあったし、体そのものは特に問題なかったと思います。
-:実際のレースを振り返っていただけますか。
鹿:スタートして少し行ったところで、他馬に寄られて引っ張るような形になって、そこでリズムを崩してしまい、ハミをとって掛かってしまいました。直線でも前の馬がフラフラして、なかなかスムーズな競馬ができませんでしたね。進路が開いた時にはある程度上位が決まっていたような感じで、力を出し切れずにレースが終わってしまいました。
-:そのようなレースの中でも、振り返ってみて今後に向けて掴めたことはありましたか?
鹿:蛯名騎手も「少しデキ上がりすぎていたかな……」ということを言っていたけど、それぐらいじゃないと大きいレースは勝てない部分もあるだろうからね。ただ、次はいつもよりもリラックスした稽古を心がけようと思って、工夫をしています。
巻き返しの仕上げで挑むオークス
-:桜花賞のレース後はどのような流れですか?
鹿:また同じパターンで天栄に出して、十分に休養させてもらいました。今回は15-15をやってから戻ってきたのですが、馬もリラックスしていつも通りの雰囲気だし、雰囲気も良かったですよ。良い感じできていますし、いつも通り週2本ずつの追い切りができるくらいの体つきで、体調も良かったです。
-:桜花賞後に感じた「少しリラックスさせてもいい」という部分は、この中間どのように生かされていますか?
鹿:普段の調教も、なるべく縦列の真ん中辺りで、リラックスして走れるように心がけています。
-:効果の程はいかがでしょう?
鹿:もともと素直な子なので、何かをやったから良くなるとか極端なことはないですね。最終追い切りではいつも前に馬を置いて、後ろで我慢をさせる稽古をするのですが、普段はどうしても抜きたくてしょうがないというぐらいになるんですが、今回はリラックスして最後まで走れていました。力みがひとつもなかったので、ああいう感じで競馬に行ってくれれば、また違うかなと思います。
-:フォーエバーモアの良いところはどこでしょうか?
鹿:普段から厩舎の中でもおとなしいですし、人の言うことも聞きます。穏やかで素直なところですね。
-:それが、東京の2400mの舞台で強みとして生かせるでしょうか?
鹿:長い競馬になるので、いかに良いところで馬をリラックスして走らせられるかがポイントになると思いますね。
-:5戦して、桜花賞は負けてしまいましたが、ここまで3勝。2歳G1も僅差ということで、大崩れなくきています。この馬の調子の波はどのような感じですか?
鹿:間を空けながら使っていますし、馬の調子が悪い時には厩舎に入れていないので、体調が良いときに戻しています。悪い時を見ていないので、あまり分からないですね。
-:牧場と連携を取りながら、好調をキープできているということですね。最後に、オークスに向けての意気込みをお願いします。
鹿:前回は不利もありましたけど、レースでは完全に負けた形です。負けたからには、同じことをやっていても仕方がないので、牧場やスタッフ、ジョッキーと相談して、どういう稽古をするか色々と考えてやってきました。体調もグンと良くなっていますし、決して力負けではないと思うので、何とか良いレースをしてもらいたいと思っています。
-:ありがとうございました。
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■最近の主な重賞勝利 |
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開業初年からエフティマイアが牝馬クラシック路線で活躍。秋にはスクリーンヒーローがアルゼンチン共和国杯とジャパンカップを連勝し、JRA賞(最優秀4歳以上牡馬)を授賞するなど、華々しいスタートを飾る。以降、勝利数を伸ばし続けて2012年には100勝を達成。次代の美浦を担う厩舎として、勢いを加速させている。 |