最強牝馬の証明誓うジェンティルドンナ
2014/6/22(日)
ドバイの地で一年越しのリベンジを果たしたジェンティルドンナ。次なる目標は、昨年1番人気で3着に落とした宝塚記念だ。昨秋はJC連覇を達成したものの、圧倒的なパフォーマンスは影を潜めており、その後の京都記念は惨敗。しかし、今年は海外G1という勲章を手にした後、川田騎手とのコンビ復活も相まって、最強牝馬の完全復活に期待が懸かる。お馴染みの井上泰平調教助手に、改めて同馬の凄さを聞かせてもらった。
地力でもぎとったドバイの勝利
-:改めまして、ジェンティルドンナ(牝5、栗東・石坂厩舎)のドバイシーマクラシック優勝おめでとうございます。
井上泰平調教助手:有り難うございます。
-:凄いレースでしたね。
井:故障するんじゃないか、というくらい激しいレースでした。
-:ムーア騎手も内から出てくるのが得意な騎手ということで、ずっと内を狙っていたと思うのですが、開かず開かず、の状態でした。出した時には、時すでに遅しかと思ったのですが。
井:ああいう状況になって、そこから伸びてこられる馬はあまりいないと思います。京都記念が終わって、旬が過ぎた、みたいなことを色々と書かれていたのですが……。あの京都記念は本当に走らなさ過ぎて、原因は何かなと今では思います。
-:もともとジェンティルは、そんなに休み明けを走るタイプではないですよね。
井:叩いてからの方が調子を上げてくるタイプの馬です。
-:だからこそ、京都記念を使ってからドバイに行ったのですね。
井:あの負け方をしてどうなるのかな、と心配もしたのですが、きっちりと先生(石坂正調教師)の指示通りに仕事もできました。
「ジェンティルのデビューから今までの成績を、違う馬でもう一度やれと言われても、とてもできる気がしないです」
-:結果の上ではジャパンCも勝っていますが、勝ち方はあわや勝った、ようやく勝ったというような感じがしました。ジェンティルドンナの強さよりも、デニムアンドルビーの軽量3歳馬の切れ味の方が目立っていたと思います。それが、ドバイシーマCの勝ち方は地力でもぎとった勝利、という感じでした。
井:馬の精神状態も環境もいつもと違いましたし、それが競馬なのだと思います。そこで発揮できなかったら、力が足りなかったのだなと。去年はジェンティルも負けてしまいましたが、そこから色々な意味で揉まれて、精神的には強くなっていると思います。
-:ジェンティルも牝馬です。好調が崩れると戻らずに引退する馬も多い中で、ここまで使って、ドバイで揉まれて、2回目で勝ちました。それは凄いことですよね。
井:ジェンティルのデビューから今までの成績を、違う馬でもう一度やれと言われても、とてもできる気がしないです。
-:こんな馬はそうそうめぐり会えませんよね。今回は宝塚記念に出走します。昨年はドバイ帰りで結果が出ませんでしたが、今年の場合は心配しなくて大丈夫ですか?
井:今年の方が、ドバイから帰ってくる輸送にダメージがないです。輸送にも慣れたのか、帰ってきてから牧場でも凄く調子が良かったみたいです。元気が良かったと聞いています。
-:去年の宝塚記念3着というのは、そういう影響もあったのでしょうか?
井:それは分からないです。馬場が悪かったですし、突かれる形でマークされてしまい、しんどかったです。今年は折り合いもつくようになってきていますし、一時の引っ掛かる感じは解消されています。
ドバイでジェンティルドンナの調教をつける井上助手
川田騎手とオークス勝利以来のコンビ
-:馬体に関してですが、昨日の立ち写真の感じを見ると、京都記念や日本で走っていた頃と比べて、体重的にはちょっと減っていますか?
井:そうでもないですね。
-:シャープに研ぎ澄まされた、良い状態になっているということですか?
井:今回は速い時計をそんなに出していませんが、乗り込み量が豊富で、無駄な肉が落ちてきている部分はあると思います。細いということはないです。
-:数字的には今どれくらいですか?
井:484キロくらいです。レースでは470キロ後半くらいになるのではないでしょうか。
-:そうなると、心配は梅雨時期の馬場に尽きますね。
井:良馬場でやりたいとは思っています。
-:昨日(6/18)は坂路で51秒台という素晴らしい追い切りでした。川田騎手が乗っていましたが、併走馬は井上さんが乗られていたのですか?
井:そうです。クレスコモア(古馬500万)で併走しました。
-:あの追い切りを正面で見ていると、若干前が詰まり気味で、壁になっているのかな、という気がしました。正面から見ているからそう見えるだけで、スペースはあったのですか?
井:ええ、全然大丈夫でしたよ。
-:乗り終わった後の川田騎手のコメントはいかがでしたか?
井:「良かったですよ」と。逆にクレスコモアが凄く好調で「その馬も凄いですね」という感じでした。対等に走れていました。
-:最初から状態が良いと分かっていたから、ジェンティルの併走馬に選ばれたのですか?
井:ある程度、状態が良いとは分かっていたのですが、まさか51秒で行けるとは思っていませんでした。52秒ぐらいは出るのかな、という感じだったのですが、ついていけるかとは思っていたものの、意外でしたね。注目度の高い追い切りなので、時計を見たらファンの皆さんも分かるんじゃないですかね。
-:久しぶりの川田騎手になりますが、ジェンティルの変化や成長は伝わっていますか?
井:もともと調教が乗りやすい馬で、今回も乗りやすかったみたいです。
-:角馬場に行くようになったのは、いつからでしょうか?
井:京都記念の後ぐらいからです。今も行っていますよ。
-:そこでハッキングや、ウォーミングアップをしているのですね。それはジェンティルの成績に繋がるプラスポイントがあるのですか?
井:精神的に少し落ち着いた気がします。角馬場でも人間のいうことを凄くきいてくれる馬なので、調教での乗りやすさや精度は上がってきたと思います。前よりも乗り手の指示に忠実になりました。
ジェンティルドンナの井上泰平調教助手インタビュー(後半)
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