距離にもメド 機は熟した7歳セン馬カレンミロティック
2015/4/26(日)
馬は違えどジョッキーの3連覇に期待
-:皐月賞でミルコ・デムーロ騎手が騎乗停止になって、ジョッキーは蛯名さんになりましたね。
高:昨日(4/22)CWで1回乗ってもらいました。ミルコの時は坂路で乗ってもらったのですが、CWで乗ってもらった方が馬の特徴は分かると思うので。山(坂路)でピュッと乗るよりも、CWで長めにコンタクトを取ってもらって、僕が思っているミロティック像と蛯名さんが思っているミロティック像は、割と近い気がしました。
-:それは、どこで「近い」と感じたのですか?
高:チップの走りが下手というのと、シュッと切れないが、長く良い脚を使いそうな感じというイメージは持ってくれたみたいです。それに自分が思っている、もっと詳しいミロティック像をお話ししました。もう天皇賞(春)を勝っていらっしゃるジョッキーなので、いざレースについてはお任せですよね。
-:馬は違っても3連覇を。
高:やってもらいたいですね。それは何となく掴んでもらったみたいなので、「競馬の時はこんな感じですよ。こっち(トレセン)では乗りやすいですが、競馬ではハミを噛む」というような細かい話をしたくらいで、そんなに心配はしていません。こちらはやることをやるだけですから、あとはジョッキーにお任せするしかないので、それは騎手が誰でも変わらないですね。やることは同じです。
-:阪神大賞典を見ていたファンは、この馬は次に買ってみたいなという眼に留まった馬だと思うので、それで取材をしに来ましたが、大仕事をしてください。
高:正直、ウチの先生(調教師)を含めてメドが立ったねと。あのレースは詰まって結果は4着でしたが、得るものはやっぱりありましたから。すごく収穫があったレースでしたし、帰国緒戦でこんな競馬をするというのは、やっぱり大したものだなと。
「宝塚記念2着の前も4着ですから、サインだったら良いですね。僕自身も担当者として楽しみですよね。楽しみを持って競馬に行けるのはすごく嬉しいことだし」
-:平田厩舎と言えば、日本一セン馬が多い厩舎ですが、その中でも出世頭で、ここまで出世させられたのはやっぱりセン馬にしたのもあるでしょう。先生のゆっくり仕上げるというか、馬の能力をちゃんと開かせるというところが、実を結んだ結晶がこの馬じゃないですか?
高:そうですね。
-:高坂さんにとっても、ずっと担当されてきて、てここまで来るかという達成感もあるでしょうね。
高:本当に思いはありますよ。大した馬ですよ。どこに行ってもそんなに崩れませんし。
-:未勝利に勝つのも4戦かかり、4、4、4と指定席みたいになっていた時期もありました。
高:一方で重賞に上がっても4、4、4と大したもんですよ。相手なりかもしれませんが。
-:ということは、阪神大賞典の4着というのはサインかもしれないですね。未勝利を勝つ前も4着ですしね。4、1というのがあるかもしれないですね。
高:宝塚記念2着の前も4着ですから、サインだったら良いですね。僕自身も担当者として楽しみですよね。楽しみを持って競馬に行けるのはすごく嬉しいことだし。
当日ベストの馬体重は440キロ台!?
-:年齢や経験を重ねる毎に、馬の特徴、特性は少しずつ変わると思います。そういう意味ではカレンミロティックを“京都より阪神向き”というざっくりとした切り方じゃなくて、今のミロティックなら京都の3200もこなせるんじゃないか、という風には思っているのですが?
高:これが中距離だったら、一線級相手ではセールスポイントにはなりませんが、その辺は上手いこと帳消しにして行けるんじゃないかという気がしますけどね。
-:あとはプチダイエットに成功して、シャキッとしたミロティックをつくっていただければ結果は付いてくると。
高:そう思いたいですね。メンバーを見たら、決して敵わないとも思わないのです。初めてのG1が有馬記念でしたが、当時は装鞍所で馬を見た時点で、オルフェーヴルには敵わないと思いました。今回はあの馬よりもすごい馬がいるとは思っていないので、どこかでチャンスがあるかなという気がしますけどね。
-:京都の3200にカレンミロティックで食い込んで下さい。
高:来週の最終追いは藤懸ジョッキーが渾身の仕上げをしてくれます。おそらく仕上げに関しては、いつも通りきっちりやって、しっかり動ける状態になると思います。ベスト体重をずっと考えていますが、一番すごかった時が440キロ台なんですよね。そこまで持っていきたいですが、正直それはちょっとどうかな……。
-:精神状態とのバランスですよね。440キロになって、イレ込んでどうしようもないようになったら、450キロで乗りやすい方が良いですよね。
高:特に長距離ではね。
-:基本、良い馬が一番強いです。イレ込み過ぎてもアカンし、ボケ過ぎてもアカンし、その狭間にハニースポットがあるという。最終追い切りは藤懸ジョッキーの手腕にも期待ですね。
高:ええ、それに調教は乗りやすいから大丈夫です。
-:とにかく応援しています。4回目のG1挑戦を。
高:ありがとうございます。宝塚記念の2着は本当に具合の良さでしたね。
-:ありがとうございました。
(取材・写真=高橋章夫 写真=山中博喜)
●カレンミロティック・高阪陽祐調教助手インタビュー(前半)はコチラ⇒
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プロフィール
【高阪 陽祐】Yosuke Takasaka
幼少の頃から競馬に親しむ。大学卒業後に軽種馬育成調教センター(BTC)の育成調教技術者研修へと進み、修了後は栄進牧場、ノースヒルズ、馬の温泉などを転々。年齢制限ギリギリで厩務員課程に合格した。
最初に所属したのは湯浅三郎厩舎で、ワンダースピード(後に転厩)などを担当。湯浅厩舎解散後に平田厩舎へと移った。「自分の馬乗りが達者だとは思っていないから、馬の能力をスポイルしないように。マイナスを極力減らすことを考えている」と、謙虚な姿勢で馬と接することがモットー。
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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