![JRA騎手として挑む二冠制覇 デムーロ騎手&ドゥラメンテ](https://www-f.keibalab.jp/img/column/interview/2015/jockey/051/int.jpg?1459672718)
JRA騎手として挑む二冠制覇 デムーロ騎手&ドゥラメンテ
2015/5/28(木)
-:ドゥラメンテ(牡3、美浦・堀厩舎)の皐月賞優勝、改めておめでとうございます。
Mデムーロ騎手:ありがとうございます。
-:凄いレースでしたね。
Mデム:ウン。凄く強い馬ですね。
-:まず、調教に乗った時のドゥラメンテの印象とレースとの違いを教えて下さい。
Mデム:テンションが高いですし、体も細いタイプの馬でしたが、追い切りに乗った時の動きが素晴らしかったですね。レースのリプレイを見た印象ではストライドも大きいですし、そんなに加速力があるタイプではないのかな、幾らかワンペースなタイプかと思ったのですが、調教に乗った時にまるっきり違いました。加速力も凄くあって、スピードが豊富な馬だと感じました。
-:ドゥラメンテはこれまでリングビットを着けていましたが、皐月賞では初めて違うハミを着けていましたね。
Mデム:ええ、(ハミの)金属の種類が鋼ではないので、あたりが少し違うようです。
![ドゥラメンテ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/interview/201505/m_demuro_01.jpg?1457762341)
-:そのあたりも皐月賞の勝利に繋がったのでしょうか?
Mデム:そうですね。以前のトレーニング(調教)を見たことはなかったのですが、替えて違いがあったので、効果があったのだと思います。
-:これまでの皐月賞の歴史を見ても、あのポジションからなかなか勝てる馬はいないと思いますが、ジョッキー自身はどう思われますか?
Mデム:はじめはキタサンブラックなども行くので、そのあたりの後ろに付けたらいいかと思ったのですが、レースではポジションを出さなくてもリラックスして走れたので、リズムを重要視して競馬を進めていきました。
-:道中は後方からのレースでした。レース中もチャンスはあると思って乗れましたか?
Mデム:あのポジションでもリアルスティールやサトノクラウンらが見えていたので、大きな心配はしませんでした。そういう馬を見ながらレースを進めていけるので、ポジションに関しては問題ないのかと思っていましたね。
![ドゥラメンテ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/interview/201505/m_demuro_02.jpg?1457762340)
-:それにしても、4コーナーで外へ行く時に、思っているよりも動きすぎてしまったところはあったのですが、あそこからの加速は驚かれたのではないですか?
Mデム:ええ、3コーナーで凄く手応えが良かったので「いい勝負ができるな」とは思っていたのですが、4コーナーでああいう膨れ方をした時にリアルスティールと6~7馬身くらい差があったので、正直、「これはちょっと(仕掛けが)遅いのかな」とは思いましたね。
-:それをまとめて差し切る脚。乗っていてどんな感触だったでしょうか?
Mデム:直線を向いた時にステッキを一発入れたら、凄い加速力だったので、ビックリしました。想像以上でしたよ。
-:レース前は1番人気がサトノクラウン、続いてリアルスティール、ドゥラメンテというオッズでした。しかし、いざレースが終わって、あの結果はドゥラメンテの能力が一枚も二枚も上回っていたように見えました。
Mデム:事前ではああいう人気でしたが、毎回レースを重ねることに馬が成長していくものです。皐月賞でああいうパフォーマンスができたのも、ドゥラメンテの成長、潜在能力の賜物だったのかと思います。「ドゥラメンテは強い馬だ」と周りは言っていましたが、それを皐月賞前は出し切れていなかったのではないでしょうか。
-:初めての右回りを克服して勝ったということは、あの馬の万能性といいますか、左回りだけの馬ではない、ということを示しましたね。
Mデム:トレーニング(追い切り)を含めて、競馬に行っても、返し馬からパドックまでリラックスしていたので、賢い馬だなと感じましたね。その際、サトノクラウンも一緒に追い切ったのですが、見た目も体もいい馬で、「凄いな、これは手強いな」と思ったのも事実です。しかし、レースの際に自分の馬を見た時に、ドゥラメンテも凄い馬なのだと感じましたね。
「乗った感触は他の馬とは違うな、というフィーリングはありますね。両親(父キングカメハメハ、母アドマイヤグルーヴ)のいいところを引き継いでいるのだなと」
-:皐月賞のレースをダービーでもう1回、あの同じパフォーマンス、ドゥラメンテのアクセラレーション(加速力)を引き出せそうですか?
Mデム:そういうパフォーマンスができるかどうかも、コンディション次第ではないでしょうか。馬場状態もつきまといますし。体調が良ければ同じパフォーマンスができるのだとは思います。
-:どういう馬場コンディションがドゥラメンテにとってベストでしょうか?
Mデム:少しくらい渋ってもこなすだろうと思います。悪すぎると、どこまで対応できるかは判断がつきませんが。
-:ドゥラメンテは独特の走り方ではないですか?
Mデム:そうですね。乗った感触は他の馬とは違うな、というフィーリングはありますね。両親(父キングカメハメハ、母アドマイヤグルーヴ)のいいところを引き継いでいるのだなと。
![ドゥラメンテ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/interview/201505/m_demuro_03.jpg?1457762340)
-:そうなるとジョッキーの2回目のダービー制覇が見られそうですね。
Mデム:そう願いたいです!
-:2度目のダービー制覇となった時、ゴール前でのアクションはこうするというプランはありますか?
Mデム:前回はゴール前で(皐月賞4勝目の意味で)「4」本指を立てて、「4」日間の騎乗停止になったので、2冠達成の時に2本指を立てると、2日の騎乗停止になってしまうかもしれません(笑)。勝った時は拳をグーにしてガッツポーズをしたいと思います。
-:騎乗停止ゼロで(笑)。綺麗なレースで勝ってくれることを願っています。
Mデム:いい競馬を心掛けて乗りたいと思います。
(取材・写真=高橋章夫)
プロフィール
【ミルコ・デムーロ】Mirco Demuro
1979年1月11日生まれ。イタリア国籍。
1994年に騎手免許を取得し、翌年にイタリアの見習騎手リーディングを獲得。97年から2000年まで4年連続イタリアリーディングジョッキーに輝く。初来日は1999年。2003年にネオユニヴァースとのコンビで日本でのG1初制覇となる皐月賞を勝利。続くダービーで二冠を達成し、外国人騎手初のダービージョッキーとなった。その後もダイワメジャー、スクリーンヒーロー、ヴィクトワールピサ、エイシンフラッシュらとのコンビで大レースを次々と制し、2011年にはヴィクトワールピサで日本馬初のドバイワールドCを制覇。ネオユニヴァースの子で大偉業を達成した。今年、2度目の受験でJRAの騎手免許試験に合格してC.ルメール騎手とともに通年免許を取得。3月1日にJRAの騎手としてデビューし、同日に阪急杯を勝利。皐月賞をドゥラメンテで制し、実に4度目の皐月賞制覇となった。
1994年 イタリア騎手免許取得
JRA初騎乗:
1999年 12月 4日 3回小倉3日 1R コウユーラヴ
JRA初勝利:
1999年 12月 4日 3回小倉3日 9R スタジアムブルー
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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