人馬一体で築き上げる信頼関係 ウインファビラスとその先へ
2016/2/28(日)
本番を見据えてのレース選択
-:チューリップ賞(G3)に出走予定のウインファビラス(牝3、美浦・畠山吉厩舎)についてお話をお伺いします。前走、阪神JFレース当日の馬の状態はいかがでしたか?
松岡正海騎手:馬は良かったですね。マイナス12キロでしたが、絞れていました。カッカする中でも冷静さを保っていて、肉体と精神のバランスが取れていました。レースではちょっとかかってしまい、最初はなだめるのに苦労しました。途中からは楽になって、その分、終いも伸びました。内容は良かったと思います。
-:この中間またがってみて、どのような感触だったでしょうか?
松:休み明けなので、少し緩さもあり、まだゆったりとしていますね。
-: 1週前追い切りを終えられましたね。
松:1週前だとかはあまり考えずに、抑揚をつけないで追い切るようにしています。平均のところ(タイム)にいって、少しずつ基礎体力を戻していって、チューリップ賞の実戦で負荷をかけたいなと思っています。
-:この中間の調整にテーマはありますか?
松:今回はあくまでステップレース、ここが目標ではないので、一度レースで叩いたあと、上積みがあるような稽古をしたいなと思います。
-:現段階での完成度はいかがでしょう。
松:8分くらいかな。もともと帰ってきた状態に合わせて、厩舎と馬主サイドと相談するということになっていました。帰ってきた当初はチューリップ賞にはちょっと足りないかなと思い、アネモネSとどちらにするか迷っていました。ただ、レースのメンバーを考えると、本番に向けて良い負荷がかかるのはチューリップ賞だろうと思っています。
「元から素質は感じていたので、邪魔をせずのびのび走れる態勢を作っていければ馬もついてくると思っていました。人間の理想と言うか、あまりこちらが考えるという訳ではなく、馬がのびのび走れるためにはどのような攻め馬をすればいいか、ということを考えていました。なので、あまり『変わってほしい』と思ったことはないですね」
-:チューリップ賞レースそのものになにかテーマはありますか?
松:正直、勝ち負けよりかは内容です。次に向けて、終いも伸ばしたいし、折り合いも気をつけたいし。自分の中にある課題を馬がクリアしていければいいと思います。桜花賞を使った後はオークスもありますし、次に繋げていけるようなレースをしたいですね。
-:デビューからずっとレースでも中間でも乗っているわけですが、最初のころから変わってきた点、変わらずに良い点などはありますか。
松:あまり「変わってほしい」というところはないんです……。気性はもうちょっと落ち着いてほしいですが、それが競馬に行った時にファイトする面、良い面でもあると思います。元から素質は感じていたので、邪魔をせずのびのび走れる態勢を作っていければ馬もついてくると思っていました。人間の理想と言うか、あまりこちらが考えるという訳ではなく、馬がのびのび走れるためにはどのような攻め馬をすればいいか、ということを考えていました。なので、あまり「変わってほしい」と思ったことはないですね。
-:現時点でのセールスポイントはどのあたりでしょう。
松:全体的な体力ですね。乗っていて牝馬という感じがしません。馬力にしても、気性にしても、男っぽいですね。例えるならば吉田沙保里さんみたいな感じ。フォール取れないもん(笑)。
-:では改めて、チューリップ賞に向けて意気込みをお願いします。
松:結果より内容を重視して、課題をクリアした上で桜花賞を迎えたいです。ここを自分の都合で勝ちにいき過ぎたりせず、次にいい状態で臨めるようにしたいですね。
プロフィール
【松岡 正海】 Masami Matsuoka
2003年に美浦の前田禎厩舎所属としてデビューし、2005年から相沢郁厩舎に所属。初年度は11勝にとどまったが、2年目は28勝。3年目には49勝と年を重ねることに成績を伸ばしていった。この年ダイヤモンドSにウイングランツで騎乗し、重賞初制覇を達成。2007年にはヴィクトリアマイルをコイウタで制し、デビュー5年目でG1ジョッキーの仲間入りを果たすと、中央競馬騎手年間ホープ賞に選ばれ、期待の若手として脚光を浴びる。
2010年には年間100勝を達成し、トップジョッキーとしての地位を確立。昨年まで11年連続重賞勝利を記録しており、このウインファビラスで記録更新とともにクラシック制覇へ意欲を燃やす。
1984年、神奈川県出身。
2003年に前田禎厩舎からデビュー。
JRA初騎乗:
2003年3月1日 3回中山1日12R プラチナウィンク
JRA初勝利:
2003年3月23日 3回中山8日12R デュエットシチー