14年の最優秀短距離馬スノードラゴンがターフに戻ってきた。一昨年、主戦場にしてきたダートから芝に矛先を向け、春秋のG1で共に連対を果たした輝かしい1年から一転、昨年は脚部不安から唯1度の出走も叶わず。しかし、長いブランクを経て復帰した前走オーシャンSではいきなり3着と好走。G1馬として再び最高のタイトルを目指す愛馬の今までとこれからを、高木登調教師に語っていただいた。

復活を見据えて大事を取った昨年

－：まず、改めてスノードラゴン(牡8、美浦・高木登厩舎)で制した14年のスプリンターズS(G1)を振り返っていただきたいのですが、当日の馬の気配はどうご覧になっていましたか？

高木登調教師：デキも良かったですし、新潟コースも絶対に合っているだろうなという手応えはあったので、楽しみにはしていました。心配な点は18番枠がどう出るか、くらいでしたが、結果的には良かったのでしょうね。

－：非常にスムーズな競馬ができたということで、先生の厩舎にとっても初G1でしたが、タイトルを手に入れたということに関してはいかがでしたか？

高：すごく嬉しかったですね。

高木登調教師

▲人馬初G1制覇となった一昨年のスプリンターズS


－：その後は香港スプリントを使われて、脚部不安で休養に入られた訳ですが、休養期間から復帰の目途が立ったのは大体いつ頃でしたか？

高：程度はそんなに悪くなかったのですが、オーナーサイドと協議して、牧場に放牧に出して、その状態を診て、ということでした。正直、去年のスプリンターズSでも、行けないことはないかなという状態だったのですが、中山もそんなに向くタイプでもないし、そこで焦って再発をされたら嫌なので、十分に休ませて高松宮記念を目指した方が脚元には良いだろうということで、こういう路線にしました。

－：元々、デビュー当初から脚元の不安はあったのですか？

高：そうですね。デビュー当初から脚元の関係からダートを使っていたのですが、芝を使うとやっぱり反動が来ますよね。

－：脚元の怖さがあるということで、無理をしてスプリンターズSに行くこともないだろう。そして、高松宮記念を目指したということですね。

高：休ませた方が、もっと復帰してから数を使えるというデータもありますし、8歳なので……何歳まで使おうかとは思いましたけどね。


「休んだ後、何回も牧場に馬を見に行かせてもらったのですが、馬の筋肉や張りが落ちないんですよね。休ませると落ちてしまうこともあるのですが、それが落ちなくて、ずっと良い状態でしたね」


－：休ませたという意味合いもあって、馬に何か変化は見られましたか？

高：休んだ後、何回も牧場に馬を見に行かせてもらったのですが、馬の筋肉や張りが落ちないんですよね。休ませると落ちてしまうこともあるのですが、それが落ちなくて、ずっと良い状態でしたね。

－：放牧先はどちらでしたか？

高：北海道のノルマンディーファームに行って、それから福島のノルマンディーファームに行って、それでウチに戻ってきたという感じですね。

－：厩舎に戻ってきた時の状態はどんな感じでしたか？

高：「ちょっと太め」ということでもあったので、G1馬ですし、シッカリとやりたいので、オーシャンSに向けて1月15日くらいに厩舎に入れて、プール調教を併用していきました。脚元は全然心配ないのですが、また再発したら嫌なので。1本プールみたいな調教はしているんですけどね。念のため、という感じですね。芝を使うとどうしても反動は来るので。

高木登調教師

▲オーシャンS前の調教の様子


復帰緒戦のオーシャンSで③着

－：大事をとったということですね。前走のオーシャンSはプラス10キロでの出走でしたが、当日の馬の気配はどうでしたか？

高：良かったと思いますよ。ただ、本来はもうちょっと気合いが乗りますが、パドックから随分とノンビリしているなという気配がありました。どうかなという中でも、返し馬に行く時には随分と気が乗っていたので、これは競馬と分かっているなと感じはしました。

－：レースではちゃんと末脚を発揮しました。

高：久々の分、ゲートもちゃんと出たんですよね。ちょっと気が乗っていなかった分もあるんじゃないですか。

高木登調教師

－：レース直後の馬の状態はいかがでしたか？

高：さすがに次の日はガックリきていました。普段ならそんなに反動は出なませんが、ちょっと疲れがありましたね。

－：コンスタントに使っていた頃は、レースを使ってガタッとくることは少なかったのですか？

高：そんなにありませんでしたね。良く寝る馬ですけども、ちょっと寝転ぶぐらいでした。今回はやっぱり2～3日はかかったかなという感じですね。普段よりは疲れが見られるなという感じはしました。ただ、筋肉は触っても全く反動はなく、脚元も心配なかったです。

－：肉体面でどこか悪いところがあったという訳ではなくて、久しぶりのレースで疲れがあったと？

高：そうですね。全体的に疲れたなという感じでしたね。

高木登調教師インタビュー(後編)
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