帰ってきたスノードラゴン 長期休養がもたらした進化とは
2016/3/20(日)
ジョッキー自画自賛の1週前追い切り
-:では、高松宮記念(G1)に向けてのこの中間の調整過程を教えていただけますか。
高:中2週になるので厩舎に置いて、ちょっと運動してから立ち上げていきました。今週のどこからやり出そうかなという、状態を見ながら、という感じです。乗り始めて、プールと併用しながら疲れが取れてきたのを確認して、今週2本やるか1本やるかを考えて、もうできているから1本で良いかなと、今日(3/18)選択しましたが、今夜から雨なので馬場を考慮したりすると、今日がベストなのかなと思います。
-:今日が1週前追い切りということで、その内容、評価を教えて下さい。
高:ちょうど14-14-13-13の指示で大野騎手に乗ってもらい、54の指示で54.1とピタッと来ましたね。
「大野騎手も自画自賛していました。ドヤ顔していましたね(笑)。これだけの馬ですからね」
-:狙い通りの時計が出たということですね。
高:そうですね。大野騎手も自画自賛していました。ドヤ顔していましたね(笑)。これだけの馬ですからね。
-:追い切り後、上がってきた後の状態とかについてはいかがでしたか?
高:全然ケロッとしていますね。こういう脚元のモヤモヤした馬はビュンという調教が出来なくなっちゃうので、テンから14-14で入っていってもらって、全体的に負荷を掛ける形になります。
-:どこか1カ所すごく速くするというのではなくて。
高:ウチの調教というのはジワッと行って、終いビュッと1ハロン伸ばすのですが、そうやってしまうと脚元に負荷が掛かってしまう。それでまた動き過ぎちゃう馬なので、全体的にジワッといった方が脚元には負担が掛からないのです。
-:それで全体的な負荷が掛けられるということですね。この後は馬の状態を見ながらにはなると思いますけど、来週の調整予定についてはどのように予定されていますか。
高:今のところ、一応水曜日に。変則開催後ですが火曜日に乗れるので、火曜日乗って水曜日に追い切りをやって、金曜日に乗って土曜日の朝に出発の予定をしています。1泊して競馬という感じですね。
8歳にして真価を発揮できる舞台
-:中京の1200は14年の高松宮記念(②着)を使った訳ですが、その時の輸送の過程は同じように1泊されてということですね。
高:確かそうですね。
-:あの時はすごく馬場の悪いレースでしたね。
高:正直あれだけ悪いと、どうかなと思いました。ダートを使っていたので良いっちゃ良いけど、かなり酷かったのでね。でも、返し馬を見たら全然苦にしていなかったので、これは良いなと思ったのに、レースでボンとスタートしたら、全く進んで行かなくてアチャーと思って。それでも直線伸びて、前は捕らえられなかったですが、②着には来まして。大野騎手と後から話をしたら、まさしく自分と同じ感想でした。「返し馬で大丈夫だと思って、スタート切ったら進んで行かなかったので、焦りました」と。
-:追い出してから反応してくれたということですね。終いが良い馬でしょうから、この中京戦との相性というのは、先生はどうお考えでしょうか。
高:新潟コースみたいな感じですし、中山なんかはちょっと不向きなところがあるのですが、ベストなコースで、当然休ませた時も高松宮記念を一番の目標としてきていますから。
-:一度G1を勝つとレース選択も決まってしまいますしね。
高:斤量を背負わされますからね。1200にこだわってもなかなか使えなくなっちゃいますし、馬の脚元を見て。何か休ませて柔らかくなったんですよね。これだけ休んで、全体的な硬さが取れて、フットワークがすごく良くなって、多分昔と走り方が変わって、ストライドが大きくなっていますよね。
「チョコチョコ走っているような感じがあったのですが、今はフットワークがデカくなってきているかなという感じがしますね」
-:全体的に柔らかみが出てきているということですね。この年齢でも、まだ進歩しているということですね。
高:そうですね。ちょっとチョコチョコ走っているような感じがあったのですが、今はフットワークがデカくなってきているかなという感じがしますね。
-:よりスピードが乗った時は?
高:今日なんかはずっと馬だけを見ていたら、調教時計が遅くないかと思ったんですよね。56~7じゃないかと思って上がってきたら54.1でした。
-:見た目の印象と実際のスピード感が変わってきているということは、ストライドが大きくなったということですね。
高:この間のオーシャンSのレースの時なんかも、最初ポンとスタートを出ちゃったもので、ちょっと抑えましたが、その後リズム良く走っていた時は良いフットワークをしていました。むしろ前より柔らか身は出た感じがしますね。8歳になりましたが、前より良いような感じはします。年齢による能力の落ちはないなという感じはします。
-:今回はG1馬として高松宮記念に向かう訳ですが、レースに向けての意気込みを聞かせて下さい。
高:本当にこのコースも合っていますし、前走もあの時計でちゃんと走っています。雨が降れば、苦手な馬がいれば多少有利でしょうけど、良馬場でも中京の馬場だったら全然やれるかなと思っています。追い込みなので、ある程度、流れに左右される部分はありますので、上手く4コーナーで射程圏内に入っていないといけませんが、その辺はジョッキーも分かっていると思います。
-:分かりました。ありがとうございます。
プロフィール
【高木 登】Noboru Takagi
2006年に調教師免許を取得し、翌年に厩舎を開業。初出走、初勝利と幸先の良いスタートを切ると、2013年にはJRA通算100勝を達成。一昨年はスプリンターズSを含む、JRA重賞3勝をマークしてみせた。 昨年もサウンドトゥルー、ホワイトフーガを擁し、東京大賞典やJBCレディスクラシックを制覇。各馬の主戦である大野拓弥騎手とのコンビもお馴染みとなりつつある。