昨年の天皇賞(春)ではゴールドシップにクビ差まで迫ったフェイムゲーム。同様のローテで3度目の挑戦となる今年は、オーストラリアの名手H.ボウマン騎手を背中に迎え、悲願のタイトルを虎視眈々と狙っている。過去2年とは入れ替わり、フレッシュなメンバーとの対戦になるが古豪として一歩も引けない大一番。宗像義忠調教師に前走後の態勢と意気込みを聞かせてもらった。

狙い済ました紛れのない長距離路線

-:天皇賞(春)(G1)に出走するフェイムゲーム(牡6、美浦・宗像厩舎)についてお聞きしますが、昨年はこの馬自身2回目の挑戦で2着でした。改めてレース前はどのようなレースプランをお考えになられていたのでしょうか?

宗像義忠調教師:レースプランというか、長距離路線で行こうということで、その一番のG1ですからね。それに向けてという感じで、ダイヤモンドSを勝っていましたので、そういう流れでした。

-:例えば、レース当日に、ジョッキーとこのようなレースをしようとか、そのような話し合いなどはありましたか?

宗:北村宏騎手でずっと乗ってくれていたのでね。感じも分かっていたので、距離については心配なかったのですが、どうしても自分ではレースを作れないので、ある程度のところを付いて行かせるような形にしようという努力はありましたね。そのままにしておいたら後ろからになってしまう脚質というか、馬なのでね。

ザ・インタビュー

▲昨年の天皇賞には北村宏騎手とのコンビで挑戦


-:最後はよく差を詰めましたけど、レース内容については、先生が振りかえられていかがでしたか?

宗:頑張ったと思いますけどね。道中馬にとってあまり息が入ることがないような流れの中で、最後にまた踏ん張ってくれたのは、長距離適性が出てくれたのかなと思いました。

-:天皇賞(春)の後、秋はオーストラリアへ遠征ということでしたが、この2戦を振り返られていかがでしたか?

宗:色々と条件が限られた中で、大変ではありましたが、馬自体はそれに適応というか、頑張ってくれたと思います。レース自体は結果が出なかったので、流れとかコース形態とか色々ありまして、その辺はちょっと残念でした。

-:現地での馬の様子というのはいかがでしたか?

宗:適応して、本当に上手くいったと思うんですよね。ただ、若干検疫が長かったり、色々とその辺がやっぱりアウェイならではですね。

3度目となるローテで頂点を

-:帰国後緒戦は、今年の春のダイヤモンドSでしたが、この時の馬の状態は、先生がご覧になられていかがでしたか?

宗:年を越してというか、寒い時季でもあったので、体もちょっと絞り切れない面もありましたかね。やっぱり少し余裕があったように思いますね。

-:そんな中でも2着ということでしたが?

宗:底力だと思いますけどね。

-:レース内容自体は、ご覧になられていかがでしたか?

宗:フェイムゲームのパターンというか、道中は内々でロスなく回って、段々とポジションを上げていくという格好だったのですが、馬場も悪かったし、斤量(58.5)も背負っていましたし、あの辺が精一杯だったかなと思います。

-:レース後の過ごし方というのは、どのような感じで進めてこられましたか?

宗:牧場(ノーザンファーム天栄)の方に戻りまして、疲れを取ってまた再開してという形ですけどね。

-:それで、今年も天皇賞(春)を目標に調整をされたということで、帰厩後の状態はいかがですか?

宗:今回は割とスッキリとした体で戻ってきてくれたので。もちろん天栄の方で乗り込んでいるのですが、上手く繋がってきていると思いますよ。

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▲一週前追い切りは丸田騎手が騎乗 6F83.8-13.1秒をマークしている


-:今週(4/20)は、丸田ジョッキーが乗っての1週前追い切りでしたが、先生の指示、調教を見られての感想は?

宗:長めから追い掛けていってということで、いつものパターンですが、あの馬独特のエンジンの掛かりの遅さというのがあるものですからね。競馬でもそうですが、特に変わらずという感じでしたね。今までも、特にビックリするような時計が出たとかいう調教もなかったのでね。

-:この後は馬の状態を見ながら、ということになると思いますけど、今後のレースまでの調整というのは、どのような感じですか?

宗:普通通りというか、今週末に少し負荷を掛けて、あとは来週最後にもう1本というか、京都への輸送もありますので、サラッとだと思います。

-:天皇賞(春)は今回で3回目となりますが、このレースに対してのこの馬の特性については、先生はどうご覧になられていますでしょうか?

宗:昨年も経験していますし、自分の競馬をするだけだと思いますが、今年はまた手強いメンバーが揃っていますので、何とか食い込みたいなと思います。

-:エンジンの掛かりの遅さだとか、変わらない面はあると思うんですけど、競馬を使いながら何か変わってきた点というのはありますか?

宗:やっぱり古馬になって、それなりに落ち着きは出ていると思いますよ。

-:最後に、改めてレースへの意気込みをお願いします。

宗:長距離レースの得意の距離だと思いますので、決めて欲しいと思います。

-:3度目の正直に期待しています。ありがとうございました。

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悲願のG1制覇へ 担当者のジャッジは?

-:海外遠征明け、トップハンデ58.5キロ、道悪と厳しい条件が重なりながら、前走のダイヤモンドSでは2着に好走しましたが、その後の状態はどうでしょうか?

永楽調教助手:前走後はすぐに放牧に出ましたが、牧場でも乗り込まれて、順調に仕上がっています。戻ってきてからも前走の反動は感じず、体調はすごくいいと思います。

-:馬体重など、馬体の面ではどうですか?

永:馬体重は前走と同じくらいのイメージです。休み明けで馬体は増えていましたが、牧場では500キロくらいあったのを絞ってきたものです。数字は増えていましたが、決して太いわけではなく、中身は8分、9分ほどは仕上がっていました。勝ったトゥインクルには4馬身離されましたが、あの着差は能力以上に、馬場の影響があったと思います。今回も前走と変わらない馬体で出せそうです。

-:これからの調教予定などについて教えて下さい。

永:昨日(4/13)、トレセンに戻ってきて初めての乗り運動を消化しました。この後は週末に軽めに乗って、来週はいつも通りに南Wコースでの調整になると思います。

-:近年の天皇賞(春)は、高速馬場での競馬が多くなっていますが、ダイヤモンドSのような力のいる馬場と、スピードの出る馬場、どちらに適性があると見ていますか?

永:ジョッキーは道悪がダメだと言っていますが、ある程度、力のいる馬場状態の方がいいと思っています。力を要求される良馬場くらいがベストだと思いますね。自分から進んでいかない馬なので、例年の京都のように前目で上手く立ちまわった馬が止まらない展開だと、どうかなと思います。我が強くて、気が前向き過ぎるところを、北村宏司騎手と一緒に育ててきて、今は昔よりは進んでいくようになりました。


「成長した今なら、前半からポジションを取りに行く競馬も、もしかしたら合うかもしれません。前半は馬の性格に合わせて、リズム良く運んでくれればと思います」


-:北村宏司騎手が負傷してしまったこともあり、天皇賞(春)はボウマン騎手に乗り替わりとなりますが、印象などをお聞かせ下さい。

永:一般的な外国人騎手のイメージですが、馬を促して、動かして騎乗してくれる印象です。海外遠征も経験して、成長した今なら、前半からポジションを取りに行く競馬も、もしかしたら合うかもしれません。前半は馬の性格に合わせて、リズム良く運んでくれればと思います。

永:また、オーストラリアでは頭が高く、終始掛かったままの競馬になってしまいましたが、前走はテン乗りの三浦騎手がそれを定着させないよう、次に繋がるいい騎乗をしてくれました。

-:昨年2着時と比較して、今年のメンバーはどうですか?

永:(昨年1着の)ゴールドシップはムラのある馬で、物差しにはならないですからね。昨年ゴールドシップが前を掃除してくれたように、今年も先行馬たちが前でやりあって、スタミナ比べの展開になってくれればと思います。この馬自身は前2年と比較しても充実期に入っているので、チャンスはあると思っています。