皐月2着の雪辱に燃える マカヒキ 豪脚炸裂で世代の頂点へ
2016/5/27(金)
皐月賞から更に逞しくなった馬体
-:いよいよ日本ダービー(G1)ですね。今のマカヒキ(牡3、栗東・友道厩舎)の状態をお伺い出来ますか?
大江祐輔調教助手:すごくイイ状態ですね。順調に来ましたし、皐月賞を走って、更にパワーアップしたという感触もあります。このままの状態で無事にゲートまで連れて行くのが僕の仕事ですし、厩舎の仕事だなと思っています。『ダービーに出る』という事に恥ずかしくない状態だと思います。
-:前走の皐月賞を終え、その後の変化はありますか?
大:変化と言えば、筋肉が更についてきましたね。レースのダメージはあまりありませんでした。時間の経過というのもあるでしょうし、競馬に対する調教の負荷を乗り越えて強くなっているという感じです。
▲皐月賞当日パドックを歩くマカヒキと大江調教助手
-:皐月賞が高速決着だったので、ダメージを気にしていました。
大:疲れも少なくて、調教も予定通りに進める事が出来ましたね。
-:やはり、肉体的な成長が見えるって事ですね。精神面はいかがですか?
大:基本的に落ち着いているので、相変わらず悪さをしたりというのはないですね。やんちゃで人に向かって行ったりというのはないです。もちろん、まだ子供らしいところはありますけどね。
-:となると、筋肉がついてきたという点が一番成長を窺えるところですか?
大:そうですね。筋肉がしっかりついたという実感はありますね。
初めての東京競馬場、そして2400mの距離
-:今回は初めて東京でレースする事になります。ここまでの走りを見て東京の舞台はいかがでしょうか。
大:競馬はしやすいと思いますよ。
-:左回りは問題ないですか?
大:そうですね。全然関係なく走れると思いますよ。
-:2400mも初めてになりますね。
大:これまでを見てても、全然問題ないと思いますよ。心配だと思う事はないですね。
-:姉(全姉ウリウリ)が短いところで活躍しているので、血統的には短いところが合うのかな?というイメージを持っていますが。
大:すごく賢くて勘のイイ馬なので、勘のいい馬なのでちょっとしたことでゴーサインと勘違いして加速したり。厩舎に来た当初はそういうところに気をつけていましたね。勘がいいので、操縦性が高くて、鞍上の指示にもサッと反応出来るのはいいと思います。今後もそういうところに気をつけながら、調教していこうかなと思っています。
-:将来的には、どのくらいの距離が合いそうというイメージはありますか?
大:どこでも走れるタイプだと思いますよ。極端かもしれませんが、マイル使うってなったら対応出来るでしょうし、2400mも同じように大丈夫だと思います。それだけの身体能力もあるし、そういう精神状態にあると思います。
「府中の舞台は競馬しやくなると思います。川田騎手も2度目ですし、大丈夫でしょう」
-:前回の川田騎手はテン乗りでしたが、ゴーサインに対して素直で乗りやすいという事はお話されていたのですか?
大:本人も調教に乗って感じていた事ですからね。
-:それ以前のレースと比べると、かなり後方から腹をくくったイメージのレースと感じました。
大:思ったよりは後ろかなと思いました。1コーナー回って落ち着いちゃって、スパートする距離が長かったですからね。でも、そう考えるとかなり強い競馬をしたと思います。1頭だけすごく外を回しましたからね。
-:そう考えるとやはり府中の舞台はプラスになりそうですね。
大:はい。競馬しやすくなると思いますよ。川田騎手も次は2度目ですし、大丈夫と思います。
ホースマンの夢、いざ、日本ダービーへ
-:弥生賞の時、友道先生はリオンディーズ、エアスピネルよりも前にいるのかな?というイメージを持っていたとお話されていました。ダービーでは、皐月賞よりも前のポジションで競馬するという事も考えられますか?
大:広くて、直線が長い競馬場とはいえ、世代レベルが高いので、あまりにも後ろからというのは苦しいかなとは思います。それに近年は内で残る馬がいますし、内と外の距離ロスは大きいと思うので、ある程度のポジションで競馬して欲しいとは思いますね。もちろん枠もありますし、馬場状態もありますから、現段階ではなんとも言えないですし、そこはジョッキーが上手く判断してくれると思います。
-:イメージとしては、前走より少し前でというのが理想ですね。
大:そうですね。ある程度前を射程圏内に居て欲しいですね。
-:当日なのですが、体重は変わりそうですか?
大:変わらないと思いますね。前走と同じ(498キロ)くらいで出れそうです。
-:輸送も2度経験していますが、いかがですか?
大:特に不安になるところはないですし、問題ないですね。当日の気象条件で変わる可能性はありますが、心配はないです。
-:脚質的にも似ていますし、レースでマークすべきはディーマジェスティになりますでしょうか。
大:いや、特にマークはいらないと思いますね。周りを見ながら自信持って競馬してくれればと思います。マークして不発だったらつまらないですからね。いい状態なのでね。
-:前走は後方から豪快な末脚を見せてくれました。ファンにとって、すごく楽しめる競馬をしてくれる馬だと思っています。その多くのファンに向けて、意気込みを語って頂けますでしょうか。
大:皐月賞と比べると更にパワーアップした姿になっているので、このままの状態で当日を迎えられるように僕も努力しますし、馬ももっといいパフォーマンスを見せてくれると思うし、まだまだ可能性が詰まった馬なので、みなさんの応援で後押ししてくれたら嬉しいです。
▲無敗で弥生賞と制したマカヒキ
プロフィール
【大江 祐輔】Yusuke Oe
実家が珍名で知られる小田切有一氏が所有したキヲウエタオトコ、タビニデヨウ、平成元年のNHKマイルCで8着になったハセノバクシンオーを生産した大江牧場。幼い頃から馬に近い環境で育ち、高校、大学では馬術に携わって自然とこの世界へ。大学時代から海外へ研修に出かけ、セリにも関わったという実家で得た生産から競走馬への成り立ち、海外研修で感じ取った国内外の競馬感など、豊富な知識、経験を蓄えて28歳で友道康夫厩舎へ。調教で騎乗する馬に対しては「色々な馬がいると思うので、あまり固定観念に捉われないように、何が良いのか、その時に何が必要なのか、どういう状態が良いのかということと、将来的にどういう感じになるのだろうかというのを考えながら、二つのビジョンで接するようにしています」と語る。