2歳女王の座を狙うディープパワンサ 若きトレーナーが考え抜いた秋初戦へ
2016/11/10(木)
考え抜いたステップレース デイリー杯2歳Sへ向け
-:デビュー戦を使ってみてから、調教内容などを変えたところとかはありましたか?
松:特にはないですね。中京2歳の時には馬が出来ていたので、水曜日の最終追い切りは余力残しでした。新馬の時は前週と当週は川田騎手に乗ってもらって、しっかりやりました。
-:普段の調教から疲れが出たりというのはありますか?
松:あまりないですね。よく寝ていますし。精神的にも太いです。中京2歳の時も馬運車が来るまで、ずっと寝転がっていました。ハナ前(厩舎の馬房の前の通路)でガサガサやっていたら、競馬だってわかる馬もいるんですけどね。
馬房から顔を覗かせる姿はまだあどけない少女といった雰囲気
-:ステップレースは悩まれたようですね。
松:候補として上がっていたのが、ファンタジーSとデイリー杯とアルテミスSだったのですが、どれも一長一短といったイメージです。ファンタジーだと牝馬限定だけど1400m、デイリー杯だと1600mだけど牡馬と一緒、アルテミスSは1600の牝馬限定だけど、ここまで左回りしか走っていなくて、本番は右回りなので、また左回りというのも、といった感じでした。
-:その中でデイリー杯S歳Sを選ばれたということは……。
松:やはり右回りの1600mを経験しておきたかったので。
-:そうなると、一つ課題になってくるのが牡馬との対戦ですが、その辺りはいかがでしょう。
松:そうですね。でも、賞金を持っているので、正直に言ったら、そこまで無理して勝ちに行くというレースでもないという意識はあります。もちろん。良い結果は残したいですけどね。
-:そういう意味で、まず右回りの1600mを経験することの方が、将来的にも必要だということですね。ライバルのリナーテも牝馬ですね。
松:牝馬もけっこう出てくるんですよね。(今年の)2歳は牝馬が当たり年ですね。レーヌミノルも東京の京王杯2歳S(2着)で男馬相手でしたから。牝馬が充実しているのか、悪い世代に生まれたのか、というところですが……。
-:その他の出走馬ではミッキーアイルの半弟タイセイスターリーなども出てくる予定ですが、今のところ、相手関係はどういう風に見られていますか。
松:揃っているのは揃っているので、ここでどんな競馬が出来るかですよね。
-:今回が右回りは初めてになります。その辺りのイメージというか、調教の動きなどから、右回りに変わることを先生はどう見られていますか?
松:全然問題ないと思いますけどね。もちろん距離も含めて。
-:本番は阪神JFだと思いますが、そこに向けての叩き台かとは思うですが、本番を見据えての課題はありますか?
松:やっぱり前回は出遅れたので、スタートはちゃんと出て欲しいなと思います。せめて中団の位置くらいでは運んでほしいですね。ただ、ジョッキーには基本、乗り方はお任せすると思います。調教でバッチリ乗って、感触を掴まないと乗れないという馬じゃないし、前走の戦前も乗っていないですからね。
-:そういった意味で言うと、前回のレースのイメージはプラスになりそうですね。
松:そうですね。まあ、出遅れないに越したことはないですけどね。ちょっとゲートの中でソワソワするのでね。ただ、体が小さいから(無駄な動きをしてしまう)やれるスペースがあるんですよね。
-:注目馬の1頭として、先生のプレッシャーはありますか?
松:今回のレースを観てからですね。やっぱり夏場とはメンバーが違いますからね。
-:将来的にはどんな馬になりそうですか。3歳クラシック世代は距離も決まっているし、適性云々じゃなくて、本質的な部分じゃなくて嵌められたレースに使っていく訳じゃないですか。この馬の本質的な条件はどこでしょうか?
松:どうでしょう。現時点ではマイラー寄りなのかなと思います。でも、引っ掛からないし、ディープブリランテなので、(距離が)延びても大丈夫かなと思います。 そして、人に対しても従順ですし、乗り手に対しても従順ですね。やっぱり落ち着きがあるというのはいいと思います。気性が素直なので、レースでそのまま能力を発揮出来るのかなと思っています。気性が難しくて、能力をフルに発揮出来ないという馬もいますからね。そこがないですね。
中京2歳Sでは荒れた馬場も難なく克服 小さな馬体だが大きなパワーを秘める
-:中京2歳Sは馬場も重かったですね。
松:パワーがあると思います。だから、2000mでも大丈夫と思います。
-:暮れの阪神は馬場が荒れるでしょうし、あの中京の馬場をこなせていた分、大きいですよね。現時点での先生の意気込みをお願いします。
松:ここで取りあえず、忘れられているディーパワンサを思い出してもらいたいですね。
-:ファンも多いと思いますが、まずは前哨戦のデイリー杯2歳Sに向けて、先生の意気込みをお願いします。
松:次から次へ走る馬が出てきて、ちょっと忘れられた感があるので、“ディーパワンサがいる”というのを思い出してもらえるようにしたいですね。
-:当日期待しています。
松:ありがとうございます。
プロフィール
【松下 武士】Takeshi Matsushita
1980年12月14日生。大阪府出身。安田伊佐夫厩舎、武田博厩舎、清水久詞厩舎を経て、2015年に開業。初年度にオースミムーンが重賞2勝を挙げる活躍を含む二桁勝利を記録。2016年は11月9日現在25勝を挙げ、今若手調教師として最も注目を集める。