GⅠ馬2頭出しでてっぺん狙う高木登厩舎
2017/2/12(日)
フェブラリーSに昨年の最優秀ダートホースのサウンドトゥルーと女帝ホワイトフーガの強力2騎を送り出す高木登厩舎。両馬とも2017年度の初戦は1番人気で取りこぼした格好だが、掘り起こせばそれぞれの敗因は明確。前哨戦と割り切れば大一番に向けての上積みは脅威だ。チャンピオンズC直前もインタビューの恩恵にあずかった師に、もうひとつのタイトル奪取への見通しを聞かせてもらった。
サウンドトゥルーのポイントは芝スタート
-:フェブラリーS(G1)に出走するサウンドトゥルー(セ7、美浦・高木登厩舎)からお話を伺いたいのですが、まずはJRA賞受賞おめでとうございました。
高木登調教師:ありがとうございます。
-:サウンドトゥルーの戦績を振り返って、2016年はどういう年でしたか?
高:結構コンスタントに使わせてもらって、頑張ってはいたのですが、勝ち星がなくて、最後にデカいタイトル(チャンピオンズC)が獲れたので、良かったですね。
-:崩れることなく最後まで走って、そのチャンピオンズCの後も、東京大賞典(③着)、川崎記念(②着)と使っています。前走の川崎記念、当日の馬の雰囲気はどのような感じでしたか?
▲JRA賞表彰式に出席した高木調教師(左)
高:良かったと思いますよ。あとは流れてくれるかな、というとこもありましたが、淀みないというか、ちょっと変わったペースになりましたね。3~4コーナーでどうしてもコーナーがきついし、本当にパサパサのダートだったので、多少脚を取られたような感じで追い上げ辛かったです。上位に来てはいますが、上がりの時計を見れば、逃げた馬(オールブラッシュ)に12秒2で上がられているので、届きませんよね。
-:パサパサだと引っ掛かりが甘くなるというのがあるのですが?
高:コーナーが小回りという感じもありますので、追い上げ辛かったかなと。もうちょっと追い上げられるかとジョッキーは思っていたみたいですが、その辺がちょっとモタモタしていたということですね。
-:レース後の馬の状態はいかがですか?
高:思ったよりも反動がなく、順調ですね。
-:今回はフェブラリーSに挑戦されるということで、このレースに向けての調整というのは、どのような予定を考えていらっしゃいますか?
高:先週使ったばっかりですので、日曜日にさらっとやって、来週さらっとやってレースに行こうと思います。
-:今回はサウンドトゥルーにとって、初めてのフェブラリーS出走ですが、このコース適性の見通しというのはどのようにご覧になられていますか?
高:条件戦なら追い込みが効くと思うのですが、G1でこのコース、芝の部分でどれくらい置かれるかな、というところですね。昔よりは身体が少し柔らかくなっているので、その辺で幾らかこなせるかもしれません。
-:馬に柔らか身が出ている分、スタートの芝部分でも、と。
高:はい。こなしてくれるんじゃないかなと期待しています。
-:あとは、いつも通り終いが活きる展開になればということですね。
高:そうですね。最近はゲートも出ているので。この間の川崎記念も最後に入れたとはいえ、真っ先に出ているくらいなので。スタートもポンと出るようになっているし、前はもさっと出ていたので多少は……という感じです。
-:なるべく置かれずにスタートをこなしてくれればと。あとは、来週の調整で万全に持っていければということですね。
高:そうですね。
ベストコースでリベンジを期すホワイトフーガ
-:続いてホワイトフーガ(牝5、美浦・高木登厩舎)について、こちらも年明けのTCK女王盃(③着)を使われていますが、この時の状態というのはいかがでしたか?
高:良い感じだったと思いますね。十分仕上がったと思って、58キロだけがどうなのだろうと、正直思っていました。1800mくらいだとちょっと掛かるところがあったのですが、そういうところを見せなくて、3コーナーくらいでちょっとハミを取っているのかなと思って、ジョッキーに聞いたら「許容範囲ぐらいで、良い感じで上がっていって、絶好位でいつでも抜け出せるかな」という感じを持っていたみたいでした。やっぱり追ってササって、ちょっと特殊なパサパサの引っ掛かりの悪いダートだったので。それで、58キロを背負っているので、その分やっぱり伸び切れなかったという感じですね。気になる喉も「大丈夫だ」と言っていたので、右回りよりも左回りの馬ですし、距離も1800mよりも1600mですし、この条件が本来ならベストかなと思っています。
-:実際に去年(⑩着)も使われている訳ですが、去年は馬場が悪かったですからね。
高:馬場が酷かったので、ジックリ構えるなよ、と。この馬場じゃ行った行ったの競馬になっちゃうなと思って。案の定、そういう競馬になってしまったので。
-:日本レコードの競馬になって、あれは馬場に泣かされたかなという感じですか?
高:そういうところもあるかなと思っています。
-:良馬場で見直したいですね。
高:そうですね。リズム良く走っていけるかなと思っています。
-:調整過程としては、昨日(2/8)1週前追い切りが終わりましたが、坂路でスノードラゴンとの併せ馬でした。その狙いと動きの評価をお願いできますか?
高:1週前で併せて、シッカリ追いたかったのでやっておきました。まあ、順調に来ていますね。脚元が心配で坂路ばっかりやっているのですが、前半は折り合いに苦労していたものの、調教はこんなものなので。
-:いつも行きたがる面があるということですね。
高:あるのですが、十分に負荷も掛かっていると思います。もう来週は単走で、サラっとで良いかなと思っています。
-:その2頭を送り出すということで、1頭ずつの意気込みを教えていただけますか。まずはサウンドトゥルーからお願いします。
高:なかなか得意のコースとは言えませんが、終いは確実に来てくれるというのがあるので、ある程度流れに乗って、終いが活きるような流れになってくれれば良いなと思っています。
-:ホワイトフーガはいかがでしょうか?
高:左回りの1600mがベストと思っていますし、何とか良い結果を出したいなと思っています。この馬は「本当に女馬でも馬込みを気にしませんし、狭いところでもどこでも入っていける」と蛯名さんも言っていたし、感心していましたね。
-:そういう厳しい展開になったとしても、力を出せる強みがあるということですね。
高:はい。むしろそういう展開が理想ですね。
-:分かりました。ありがとうございました。
プロフィール
【高木 登】Noboru Takagi
2006年に調教師免許を取得し、翌年に厩舎を開業。初出走、初勝利と幸先の良いスタートを切ると、2013年にはJRA通算100勝を達成。14年にはスプリンターズSを含む、JRA重賞3勝をマークしてみせた。
昨年は二枚看板のサウンドトゥルーがチャンピオンズCを制し、ホワイトフーガはJBCレディスクラシックで連覇を達成。今年は昨年を上回るペースで勝鞍を積み上げ、自己ベスト更新、そして、JRA通算200勝も視界に入ってきて、更なる活躍が期待される美浦の中堅調教師。