フェブラリーSに昨年の最優秀ダートホースのサウンドトゥルーと女帝ホワイトフーガの強力2騎を送り出す高木登厩舎。両馬とも2017年度の初戦は1番人気で取りこぼした格好だが、掘り起こせばそれぞれの敗因は明確。前哨戦と割り切れば大一番に向けての上積みは脅威だ。チャンピオンズC直前もインタビューの恩恵にあずかった師に、もうひとつのタイトル奪取への見通しを聞かせてもらった。


サウンドトゥルーのポイントは芝スタート

-:フェブラリーS(G1)に出走するサウンドトゥルー(セ7、美浦・高木登厩舎)からお話を伺いたいのですが、まずはJRA賞受賞おめでとうございました。

高木登調教師:ありがとうございます。

-:サウンドトゥルーの戦績を振り返って、2016年はどういう年でしたか?

高:結構コンスタントに使わせてもらって、頑張ってはいたのですが、勝ち星がなくて、最後にデカいタイトル(チャンピオンズC)が獲れたので、良かったですね。

-:崩れることなく最後まで走って、そのチャンピオンズCの後も、東京大賞典(③着)、川崎記念(②着)と使っています。前走の川崎記念、当日の馬の雰囲気はどのような感じでしたか?

高木登

▲JRA賞表彰式に出席した高木調教師(左)

高:良かったと思いますよ。あとは流れてくれるかな、というとこもありましたが、淀みないというか、ちょっと変わったペースになりましたね。3~4コーナーでどうしてもコーナーがきついし、本当にパサパサのダートだったので、多少脚を取られたような感じで追い上げ辛かったです。上位に来てはいますが、上がりの時計を見れば、逃げた馬(オールブラッシュ)に12秒2で上がられているので、届きませんよね。

-:パサパサだと引っ掛かりが甘くなるというのがあるのですが?

高:コーナーが小回りという感じもありますので、追い上げ辛かったかなと。もうちょっと追い上げられるかとジョッキーは思っていたみたいですが、その辺がちょっとモタモタしていたということですね。

-:レース後の馬の状態はいかがですか?

高:思ったよりも反動がなく、順調ですね。

-:今回はフェブラリーSに挑戦されるということで、このレースに向けての調整というのは、どのような予定を考えていらっしゃいますか?

高:先週使ったばっかりですので、日曜日にさらっとやって、来週さらっとやってレースに行こうと思います。

高木登

-:今回はサウンドトゥルーにとって、初めてのフェブラリーS出走ですが、このコース適性の見通しというのはどのようにご覧になられていますか?

高:条件戦なら追い込みが効くと思うのですが、G1でこのコース、芝の部分でどれくらい置かれるかな、というところですね。昔よりは身体が少し柔らかくなっているので、その辺で幾らかこなせるかもしれません。

-:馬に柔らか身が出ている分、スタートの芝部分でも、と。

高:はい。こなしてくれるんじゃないかなと期待しています。

-:あとは、いつも通り終いが活きる展開になればということですね。

高:そうですね。最近はゲートも出ているので。この間の川崎記念も最後に入れたとはいえ、真っ先に出ているくらいなので。スタートもポンと出るようになっているし、前はもさっと出ていたので多少は……という感じです。

-:なるべく置かれずにスタートをこなしてくれればと。あとは、来週の調整で万全に持っていければということですね。

高:そうですね。

ベストコースでリベンジを期すホワイトフーガ

-:続いてホワイトフーガ(牝5、美浦・高木登厩舎)について、こちらも年明けのTCK女王盃(③着)を使われていますが、この時の状態というのはいかがでしたか?

高:良い感じだったと思いますね。十分仕上がったと思って、58キロだけがどうなのだろうと、正直思っていました。1800mくらいだとちょっと掛かるところがあったのですが、そういうところを見せなくて、3コーナーくらいでちょっとハミを取っているのかなと思って、ジョッキーに聞いたら「許容範囲ぐらいで、良い感じで上がっていって、絶好位でいつでも抜け出せるかな」という感じを持っていたみたいでした。やっぱり追ってササって、ちょっと特殊なパサパサの引っ掛かりの悪いダートだったので。それで、58キロを背負っているので、その分やっぱり伸び切れなかったという感じですね。気になる喉も「大丈夫だ」と言っていたので、右回りよりも左回りの馬ですし、距離も1800mよりも1600mですし、この条件が本来ならベストかなと思っています。

-:実際に去年(⑩着)も使われている訳ですが、去年は馬場が悪かったですからね。

高:馬場が酷かったので、ジックリ構えるなよ、と。この馬場じゃ行った行ったの競馬になっちゃうなと思って。案の定、そういう競馬になってしまったので。

-:日本レコードの競馬になって、あれは馬場に泣かされたかなという感じですか?

高:そういうところもあるかなと思っています。

-:良馬場で見直したいですね。

高:そうですね。リズム良く走っていけるかなと思っています。

高木登

-:調整過程としては、昨日(2/8)1週前追い切りが終わりましたが、坂路でスノードラゴンとの併せ馬でした。その狙いと動きの評価をお願いできますか?

高:1週前で併せて、シッカリ追いたかったのでやっておきました。まあ、順調に来ていますね。脚元が心配で坂路ばっかりやっているのですが、前半は折り合いに苦労していたものの、調教はこんなものなので。

-:いつも行きたがる面があるということですね。

高:あるのですが、十分に負荷も掛かっていると思います。もう来週は単走で、サラっとで良いかなと思っています。 

-:その2頭を送り出すということで、1頭ずつの意気込みを教えていただけますか。まずはサウンドトゥルーからお願いします。

高:なかなか得意のコースとは言えませんが、終いは確実に来てくれるというのがあるので、ある程度流れに乗って、終いが活きるような流れになってくれれば良いなと思っています。

-:ホワイトフーガはいかがでしょうか?

高:左回りの1600mがベストと思っていますし、何とか良い結果を出したいなと思っています。この馬は「本当に女馬でも馬込みを気にしませんし、狭いところでもどこでも入っていける」と蛯名さんも言っていたし、感心していましたね。

-:そういう厳しい展開になったとしても、力を出せる強みがあるということですね。

高:はい。むしろそういう展開が理想ですね。

-:分かりました。ありがとうございました。