同厩舎で同じ父の2歳王者 アジアエクスプレスに続く ムスコローソ
2017/12/13(水)
ムスコローソが、同じ父を持つ厩舎の先輩に続いて2歳王者の座を狙っている。同じヘニーヒューズ産駒で2013年の朝日杯フューチュリティステークスを制したアジアエクスプレスは、ダートで2勝して4番人気で優勝。ムスコローソは芝しか使わず3戦2勝でG1に駒を進めてきた。手塚貴久調教師は「間違いなくダートは走る」と確信を持ちながら、非凡な能力を持つ馬で芝マイルの頂点を目指す。
-:朝日杯フューチュリティステークス(G1)に出走するムスコローソ(牡2、美浦・手塚厩舎)について、手塚貴久調教師にお伺いします。デビュー前に馬をご覧になった印象を聞かせてください。
手塚貴久調教師:アジアエクスプレスというヘニーヒューズ産駒の外国産馬が走ったので、セレクトセールで馬を見たときは雰囲気が似ているなと思いました。そのイメージで育ってくれるといいなと思っていました。
-:デビュー戦は6月の東京で迎えられましたが、このレースはいかがでしたか?
手:あのレースは競走除外とかもあってゲートに入らない馬が多くて、うちの馬もゲートの中で危うい感じだったんですけど、うまくゲートを出てくれました。当初は芝かダートかどちらを使おうか悩んだんですけど、いい脚を使ってくれて、内容は良かったですね。
-:アジアエクスプレスはダートから使われましたよね?
手:普通ヘニーヒューズ産駒はダートから使うことが多いとは思うんですけど、正直1400mのダート戦は除外も出るだろうということで、どちらでも行けるだろうと思っていましたし、芝で行こうということになりました。
-:次は重賞の新潟2歳S(1番人気12着)に進まれましたけれども、振り返っていかがですか?
手:モマれちゃったので、どうもこうもないというか……。あれは能力じゃないとは思っていますけど、負け過ぎは負け過ぎだなとは思いましたよ。
-:モマれる競馬を経験した後の馬の状態はいかがでしたか?
手:さすがに少し疲れが出たので、当初よりお休みの期間は長くなりましたね。乗り出して速いところを始めてからは順調に来ていたので、(ノーザンファーム)天栄から帰ってきてからは順調でした。
-:3戦目は再び東京で勝利しました。
手:勝った距離とコースで、リスタートというつもりでレースを選びました。平場にしてはメンバーも揃っていたような気もするんですよね。時計だけじゃなくて能力があるんだなというところを再認識できましたし、着差は僅かだったですけど、強い内容だったと思っています。
-:そして今回は朝日杯フューチュリティSに向かわれるわけですが、この中間の調整過程を教えてください。
手:1回使ってもあまり疲れがなかったというか、状態がアップしているのは感じられます。1週前の追い切りも池添君(謙一騎手)に乗ってもらったんですけど、すごくいい動きでしたね。
新コンビを組む池添騎手を背に1週前追い切りを行った
-:池添ジョッキーとそのほかにお話されたことはありますか?
手:「乗りやすくて操縦性のいい馬なので、1600mは全然大丈夫でしょう」という話はしました。もちろんG1で伏兵の域を出ない馬だから、そんなに強気なことは言っていなかったですけど、感触としては良かったですよ。
-:今回は輸送も含めて、初めての阪神1600mということになりますが、この舞台についてはいかがでしょう?
手:阪神はいいんじゃないですか。少し坂があって、(上がりは)速いには速いんでしょうけど、新潟のように究極の上がり勝負にはならないですからね。東京(のレース)は2戦とも稍重だったので、少し馬場が渋っても大丈夫ですし、パンパンの良馬場じゃなくても走れる下地はありますので、天候にも左右されないんじゃないかなと思っています。
-:まだ2歳馬ですし、G1ですが今後に向けての一戦にもなると思います。先の見通しも含めてお願いします。
手:大目標は春のG1というか、NHKマイルカップとか1600mくらいのG1を使っていきたいと思っています。現状は芝ばかり使っていますけどダートは間違いなく走ると思っているので、春が終わった時点では選択肢には入れると思います。ただ現時点では、NHKマイルカップを大目標にローテーションを組んでいきたいと思います。
プロフィール
【手塚 貴久】 Takahisa Tezuka
1964年9月20日生まれ。栃木県出身。1989年5月にJRA競馬学校厩務員課程に入学し、同年10月から美浦・相川勝敏厩舎所属の厩務員となる。1990年3月に美浦・佐藤林次郎厩舎、4月から美浦・佐藤全弘厩舎所属の調教助手となる。1998年に調教師免許を取得。1999年4月11日の中山6Rで初勝利を挙げ、ベルグチケットのフェアリーSで重賞初制覇。2011年にアルフレードの朝日杯フューチュリティSでG1タイトルを獲得し、2013年に東京競馬記者クラブ賞を受賞した。重賞はG1の2勝を含む19勝。