ジャパンカップは蹄鉄緩んで3着 200%の仕上げで有終の美飾る キタサンブラック
2017/12/23(土)
キタサンブラック清水久詞調教師インタビュー(2P)はコチラ⇒
-:取材ラッシュというのも、とりあえずは年内までという感じですかね?
清:そうですね。やっぱり有馬記念に向けてというのと、いろいろな民放さん、NHKさんもやっていますけど、すごい特番でブラックを取り上げてくれています。なかなか競走馬をこんなに。スポーツコーナーの1コーナーというわけではないので、ブラックで番組が出来上がるという、すごい馬ですよね。
-:先生は昨日(12月13日)も川崎競馬場(ビッグスモーキーの全日本2歳優駿)に行かれていましたよね?
清:行っていました。
-:大変じゃないですか?
清:今メッチャしんどいです。昨日の夜中に帰ってきて、数時間で朝調教に出てきて、朝終わってちょっと12時40分から事務局の会議があったので、そのまま会議に出て……。
-:来週の水曜日は、報道陣がひっきりなしにお話を伺いに来ると思います。
清:でも、人の出入りがなくて、何の取材もなくて、静かでシーンとした環境で仕事をするよりは忙しいほうが、全然良いですよ。忙しくても、人の出入りがあってメディアが取り上げてくれているわけですから。この馬がいるおかげですから、こんな良いことはないですよ。
-:来週の木曜日には(枠順)抽選会にも行かれますか?
清:東京に行きます。
-:また移動も大変かなと思います。
清:北海道とか関東とか、土日の臨場とか移動は慣れました。
-:木曜日はそのまま帰られるのですか?
清:木曜日は抽選が終わったら、そのまま帰ってきます。
▲公開枠順抽選会では武豊騎手が1枠2番を引き当てた(昨年は1枠1番)
-:金曜日に調教を見られるのですか?
清:そうですね。最後にブラックを含め、ゲート練習もありますので。
-:レースが終わってからも引退式があるので、まだ厩舎にいるわけですね?
清:いますね。具体的な話はまだ聞いていないですけど。
-:あと他のマスコミの方も言っていると思いますけど、この秋は春に比べて少し調教が軽めに見えるというのがあるんですけど、意図されたところはあるのですか?
清:いや、僕はそんなに軽くしたつもりはないんですけど、天皇賞(秋)前も休み明けなので、8~9本長めからシッカリやりましたし、そんなに緩めているつもりはないんですけどね。ただ、天皇賞(秋)の時は結果も求めながら、あと2つ(ジャパンC、有馬記念)残っているというのは頭に入れながら、ジャパンCはジャパンCで有馬記念がまだあるというのを考慮しながらの調整でしたけどね。
-:天皇賞(秋)の前にもお話を伺わせてもらったのですが、あらためて宝塚記念(9着)の敗因というのは、今思えば気づかれる部分はありますか?
清:やっぱり確定診断はできないですよ。馬に聞いてみないと分からないです。上がってきても、どこも悪くないですもん。すぐに息が入りましたし、脚元もどこも痛くないし、熱もないし、歩様も乱れていないし、獣医さんが診ても「そんな大きな疲れはないな」という感じだったので。
「ノド、ノドと巷で言われましたけど、本当にノド(に問題)があるなら、天皇賞(秋)は勝てないですよ。ジャパンCでも3着なんて来れないですよ。(宝塚記念は)ここで一生懸命走ると自分自身が壊れるというのも分かっていたんじゃないですか」
-:ノドとかも全然問題ないですか?
清:ないですね。一時、ノド、ノドと巷で言われましたけど、本当にノド(に問題がある)なら、天皇賞(秋)は勝てないですよ。ジャパンCでも3着なんて来れないですよ。分からないです。やっぱり馬の気分が乗らなかった、自分で止めているとしか……。見えない疲れもあったんでしょうけど、見えない疲れプラスお利口さんなので、ここで一生懸命走ると自分自身が壊れるというのも分かっていたんじゃないですか。馬は凱旋門賞に行きたくなかったんでしょう、ハハハ(笑)。
-:「ヤバイ、海外に行かされる」という気持ちがあったんでしょうか?
清:「負けたら行かんでええぞ」ぐらい、思っていたかもしれないですしね。本当に賢い馬ですからね。
-:強い馬が海外に行ってくれることに夢はあるんですけど、やっぱり国内でこうやって走ってくれることもすごくありがたいことです。
清:そうですね。ファンが多いですからね。これだけの投票数を4期続けて、ないですよ。
-:行ってほしかったなという思いも、行ったら良い競馬をしたんじゃないかなと言う思いもあります。
清:これだけの馬ですから、日本馬が行って良い結果を出しているんで、それを物差しにしても、健闘できるでしょうしね。
-:天皇賞(秋)のような道悪で走ったんだったら、ひょっとしたら(可能性が)あったのかなと?
清:あると思いますね。向こうに行って状態さえ良ければ、良い状態で競馬を迎えられれば、恥ずかしい競馬はしないと思いますけどね。まあ、行きたい気持ちはありますけど、日本のファンに見せたいなという気持ちもありますよね。
-:それは、国民的な歌手である北島三郎オーナーが、日本のファンを大事にしたのかなという感じを受けたのですが?
清:僕もこの馬が出て、元々やらせていただいていたんですけど、ブラックのおかげでお会いすることにもなりましたし、頻繁にお会いして食事をして、しょっちゅう電話ももらいますし、やっぱり北島オーナーに出会って、馬の世界も歌の世界もファンがあって初めて成り立つのだという、忘れていたことを思い出させてくれたというか、考えているところがちょっと違うなと感じます。全体を見ているというか、常に視野が広い方です。その時、その時で相手の気持ちを考えながら、すごいですね。
-:やっぱりスターホースを通して、日本の競馬であったり、日本の社会に対する影響も考えられているのですかね?
清:でしょうね。やっぱりあれだけ芸能界を極められた方なので、生意気なことを言っているかもしれないですけど、自分自身の一言、一言が影響力を与えるということを分かって話をされるので、考え方も僕らとは全然違いますね。本当にすごいですよ。良い縁というか、よくぞ近付けてくれたというのは、ブラックのおかげですよね。
-:そんなオーナーとスターホースが挑む最後のレースが、日本を代表するレースだと思いますので、そこで勝って締め括れればというところですね?
清:そうですね。
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プロフィール
【清水 久詞】 Hisashi Shimizu
父親の清水貞光氏が冠名カルストンの馬主。幼少の頃より毎週競馬場に連れられており、「目指そうというよりも気がついた時には厩務員になっていた」と語るように牧場勤務を経た後に自ずとこの世界へ足を踏み入れる。
トレセン勤務後は定年での解散まで浜田光正厩舎に所属しており、当時に携わったのが牝馬2冠馬のファレノプシス。その思い出を「あの経験は未だにすごく大きなもの。古馬になってからのプレッシャーは大きかった」と語る。調教師になった後も「今こうやって調教師をしているのはいろんな人の力。人と人との繋がりを大事にしていくこと」と、絆をモットーにしている。