グランプリに強い池江寿厩舎が送り込む3歳馬 渋太さと距離適性で一発狙う サトノクロニクル
2017/12/21(木)
強い3歳世代のサトノクロニクルが、現役最強クラスの強敵に立ち向かう。古馬と初対戦だった前走のチャレンジカップ(G3)では、持ち味のしぶとい末脚を繰り出して重賞初制覇。5月の白百合S以来、約半年ぶりの白星を挙げて有馬記念への参戦を決めた。ダービー2着の全兄・サトノラーゼンと比較しても気性面は穏やかで、長距離適性は十分。兼武弘調教助手に期待のほどを聞いた。
-:有馬記念に出走予定のサトノクロニクル(牡3、栗東・池江寿厩舎)についてお聞きします。前走のチャレンジCで勝っていなかったら(有馬記念に)使うこともなかったですか?
兼武弘調教助手:なかったですね。春は本当にもどかしいというか、なかなか勝ち切れないところがあったりもしたんですけどね。この前はなかなか渋太い感じで、勝ち切ってくれたということは一番大きいかなという感じです。この馬は菊花賞こそ向く馬じゃないかと思っていたんですけど、さすがにあの馬場じゃ苦しかったでしょうね。
-:ダメージはそれほどなかったですか?
兼:幸い使った後に大きなダメージもなかったので、チャレンジCへという感じで目標を立てて調整したんです。本当にキッチリ勝ち切ってくれて良かったなと思います。すぐに牧場(ノーザンファームしがらき)に放牧に出ましたけど、もちろん牧場スタッフとかのケアがあるでしょうし、あまりダメージがなくて良かったですね。
-:見ていて少し反応が遅いイメージがあるのですが?
兼:そうですね。少しジリっぽいという感じのところがありますけどね。元々、持っているものもあるでしょうし、それはミルコ(デムーロ)もよく分かっていたので、この前も内にいたので、どのへんで抜けてこられるかなと思っていたら、上手いこと4コーナーぐらいで顔を出して、スッと前に入りましたから、これならという感じでしたね。さすがですね。まだこれからの馬ですし、来年になればもっと良くなると思いますよ。
-:見た感じでは反応の遅さが意外に思えるのですが、成長していったら変わってくる部分ですか?
兼:そうですね。当初使う前はスパッと行くのかなという感じで思っていましたけど、多少ジリっぽいところはありますけど、それでもしっかり脚を使えていますからね。
-:気性的に悪いところはあまりないですか?
兼:元々はチャカチャカしていましたけど、最近はだいぶ落ち着いてきました。まあ、お兄ちゃん(サトノラーゼン)ほどではなかったかなという感じですね。海外に行くことになったラーゼンは当初チャカチャカしていた感じでしたけどね。
-:中山のセントライト記念(3着)では、ちょっと4角で前の馬が壁になって追い出せないようなところがありながら、最後に挽回しましたね。
兼:そうですね。ジリっぽい上に、加速に手間取るとそういうことになりますよね。セントライト記念のことがあったから、チャレンジCはちょっと内に入っていたから大丈夫かなと気にしていたんですけど、ミルコが上手く乗ってくれましたね。
-:ジョッキーが1回把握した分のアドバンテージがあったんですね?
兼:もちろん、ミルコの頭に入っていたでしょうからね。
-:間隔が中2週と少し詰まっていますが、どのように調整される予定ですか?
兼:中間は当該週の追い切り1本ぐらいの形ですかね。ジョッキー(戸崎騎手)は乗らずにこちらで調整することになると思います。
1週前の火曜日(12日)に軽めの調整を行うサトノクロニクル
-:グランプリと言うと宝塚記念も含めて池江泰寿厩舎のイメージが強いレースです。先生は重要視されているのですか?
兼:それはあると思いますね。数も出走させていますしね。
-:人気馬でも勝っていますし、人気薄で走らせることもありました。
兼:振り返ってみれば、そうですね。(過去4勝と)けっこう成績残していますからね。
-:有馬記念で池江厩舎だけを買っていれば、実質儲かっているかもしれないです。
兼:そうなんですか?転がしていたら、どうなるんでしょうかね。
-:サトノクロニクルは距離的にはもっと長くても良い感じですか?
兼:そうですね。もちろん2000mでも結果としてやれましたけど、距離が延びても全然問題ないですからね。来年以降も2000mぐらいから競馬していくんじゃないでしょうかね。
-:体はあんまり大きくない馬ですが、来年以降も楽しみですね。
兼:まだ良くなってくる馬でしょうからね。まとまった感じで、これから筋肉が付くと変わってくるでしょうから、楽しみですね。
※12月22日(金)はシャケトラ陣営のインタビューを更新予定です!
プロフィール
【兼武 弘】 Hiroshi Kanetake
滋賀県出身。1983年3月6日生まれ。初めて観戦した競馬はダンスインザダークが勝った菊花賞。中学生の時に競馬好きの知り合いが多かったため、影響を受けてこの世界に入る。高校の卒業を待たずして、北海道の千歳国際牧場で修行。その後は滋賀の湘南牧場、トレセン近郊のグリーンウッドに勤め競馬学校に入学。卒業後、池江厩舎に所属。持ち乗りを経て攻め専の調教助手に。モットーは「馬1頭ずつ個々の個性を大切にする」こと。目標は「厩舎全体のことを把握できるように頑張る」こと。業界一といっても過言ではないビッグステーブルのムードメーカー的な存在。