明け4歳のカデナが、弥生賞を勝った舞台で輝きを取り戻す。その弥生賞から凡走が続いているが、皐月賞は馬場の悪い部分を走って9着。ダービーは後方から上がり33.5秒の末脚を繰り出したが届かなかった。秋初戦の神戸新聞杯は距離が長く、前走の天皇賞(秋)は道悪と敗因はハッキリしている。放牧から帰ってきた馬は陣営も驚くほど成長。柴田雅章調教助手に、年明け初戦に向けた意気込みと手応えを聞いた。

秋2戦の敗因は長すぎた距離と道悪

-:中山金杯(G3)に挑むカデナ(牡4、栗東・中竹厩舎)について、柴田助手にお伺いします。よろしくお願いします。この中間はずっと乗っていらっしゃるということですね。

柴田雅章調教助手:天皇賞(秋)の放牧から帰ってきてからはそうですね。以前はだいたい白倉助手が乗っていたので時々でしたが、今回から任されているんですよね。

-:天皇賞(秋)はなかなか難しい馬場で、評価のし難いレースでしたが、柴田さんから見ていかがでしたか?

柴:あの馬場状態じゃどうしようもないですよね。もともとそんなに重馬場が得意じゃないので、息もすぐに入っていたみたいで、(福永)ジョッキーも無理をしていなかったですし、結果(16着)はそんなに悲観していないです。

カデナ

競馬ラボではトレセンLIVEのコーナーでコラムも担当してくれている柴田助手

-:あれが普通の馬場だったら……どうだったでしょうか?

柴:どうですかねぇ。相手が一線級だったので、どこまでやれていたのかとは未知数ですが、今の状態なら、という楽しみはありましたけどね。

-:結果的に神戸新聞杯で結果(9着)が伴わず、結論としては、距離は2000mくらいまでに絞っていくということでしょうか?

柴:騎手もそう言っていました。良い感じで回ってきたけど、最後は止まってしまったので、やっぱり2400は長かったのかもしれないですね。手応えだけ見たら、勝ったかと思ったほどですから。馬にもけっこう幅が出てきたので、体つきが古馬のような体つきになってきて、それで余計に距離適性も出てきたんじゃないですか。もともとは完歩も大きかったですけど、帰ってきてからはそんなに大きくないんで。

-:それは、「完歩が小さくなった」とは昔は伸びてしまっていたということですか?

柴:例えるならそういう感じじゃないでしょうか。トモがだいぶしっかりして、最近はギュッと詰まった感じなので。ただ、そんなに引っ掛かることもないので、2000mは守備範囲だと思います。以前は「ハミに頼るようなところがある」とは騎手もそう言っていましたね。それに「本当に良くなるのは古馬になってからだ」と言っていたので。

カデナ

歴史的極悪馬場で行われた天皇賞・秋

中山ピッタリ!「スローのヨーイドンには強い」

-:血統や早い段階のパフォーマンスから、かなり期待されていたと思います。

柴:そうですね。京都2歳Sや弥生賞が良い勝ち方だったので、ディープインパクトっぽい、スローのヨーイドンには強かったですね。ただ、中山が合うのかもしれないですね。皐月賞でもずっと馬場の悪いところを走っていて、そこまで離されていませんし。ダービーは距離が長かったのかもしれないですから。

-:ダービーもスローでしたからね。

柴:そうですね。みんな同じところから33秒台の脚を使って。でも、秋に帰ってきてからも乗せてもらって、今回もまだ良くなりそうな感じを受けていた通り、良くなっていると思います。それでも、まだ良くなりそうな雰囲気はあります。だいぶ大人っぽくなってきましたし、馬も落ち着いているのでね。

-:落ち着きというのは、前と比較したらどうですか?

柴:いや、1頭でも乗れるくらいなのでそこは手が掛からないですね。もともとうるさくなかったですけど、さらに落ち着いた感じですね。

カデナ

-:となれば、競馬場でも心配ないですね。

柴:もともと輸送もこなしていますし、輸送をしても飼葉を食べていますし、賢い馬だから大丈夫です。

-:今週と来週のメニューはどんな感じになりそうでしょうか?

柴:今週も来週も坂路で一杯にやると思います。

-:「一杯」というと、この馬にとってはどれくらいですか?

柴:53くらいでしょうか。(体重が軽い)騎手が乗ったら、52くらいが出ますね。走り過ぎてしまうところがあるので、セーブしながらになりますね。

-:時計だけで言ったら、そんなにすごく速いという訳ではないと思うのですが、そこら辺の負荷の掛け方というのは、追い切り以外ではどういったところで工夫されていますか?

柴:他の馬はしていないのですが、Eコースで長めに乗ったりしています。坂路でビュッと上がるだけじゃなくて、下でも乗りながらやっているので。そもそもウチは坂路に行く時間帯も遅いので。おそらく開場から40分くらい経ってから坂路に行くので、それだけで馬場はだいぶ荒れているので。だから、一番で行って馬場が綺麗だったら、もっと時計が出ていると思いますよ。

-:どれくらい乗っているかというのは、やっぱりファンはそういうのは分からないじゃないですか。ある程度、追い切りの時計だけで判断してしまうところがあると思うので。そういう違いをちょっと教えていただけると。

柴:けっこう遅い時間帯でも、やっぱり走る馬はしっかり時計が出るのでね。

カデナ

-:馬場では、距離的にはどれくらい乗るのですか?

柴:角馬場で乗ってから1周半だから、3000くらいですかね。そんな速い時計じゃないですけど、気持ち良く、フラットワーク的な感じですよね。ナンチンノンみたいにけっこう乗っている馬もいるんですけどね。山(坂路)に行ったら引っ掛かる馬は、Eコースに行ったりしているので。この馬は行きっ振りが良いですけど、山に行っても別に引っ掛からないので。我慢は利くのですが、やっぱり(乗り込み量が)足りないので、色々調教をやりながらですね。

-:そこは先生と相談して、ですか。

柴:そうですね。それと、みなで相談しながら考えていますね。角馬場だけで終わる時もありますし、たまにCWで乗ったりもしますし、走る馬だし、走る前からソコソコ乗っておかないと元気一杯なので(笑)。

-:むしろトレーニング量が足りなくなってしまうと。

柴:そうですね。走り出したら、そんなに悪さもしないから。

-:今までに2~3回くらいウッドでやりましたけど、あれはどういう意図があったのですか。

柴:ちょっと太かったということだと思います。どこでやるかは人間の考えでしょうね。坂を上がったら自分から止まりますし、オンとオフがあって、よく分かっていますね。頭も良いですし、自己主張が強いし、走る馬の特徴ですね。

頭が良くて自己主張が強い「走る馬の特徴」

-:馬房で見せていただくと、リラックスした様子がうかがえますが、性格的にはどんな子ですか?

柴:マイペースですね。特に変なことをすることもなく、落ち着いていますよ。最初から大人しいですし、ディープの子はけっこう大人しい子が多いですね。

-:それは、けっこう育成の段階からより手懐けられているからですか?

柴:いや、うるさい馬はやっぱりうるさいでしょうからね。色々馬具を替えたりなんてことは必要ないので。普通のエッグバミで、メンコもしていないですし、このままですね。本当に大きくなりましたよ。休み明けを考えると、中山2000mのユックリしたペースで良いと思いますね。そっちの方が持ち味は活きると思うので。

-:皐月賞の時と比べると、写真を見ても違いが分かるくらい大きくなりましたね。

柴:そうでしょう。あの時はまだ細かったですものね。

-:弥生賞時を思い出すと、手前はどっちが良いかはあるのですか?

柴:自分から良く出すのは左手前ですね。別に、どっちでも大丈夫と言えば大丈夫ですけど、左前の方が良いかもしれないですね。

-:直線はもちろん替えることもあるんでしょうけど、逆で走っていたり。

柴:トモが緩かったのはあるでしょうね。坂路の追い切りでも、手前をコロコロ替えていたので。だいぶしっかりしたから、今はそれがないですね。途中で1回替えるくらいですかね。

-:となると、かなり自信を持っていけそうな雰囲気ですね。

柴:そうですね。乗り慣れているジョッキー(福永祐一騎手)だし、放牧に行って、良くなって帰ってきたので、どんなものか、仕切り直しの一戦ですね。皐月賞も馬場の悪い内をずっと回っていたし……。その他も距離や馬場を考えても。

カデナ

-:食いの良さはありますか?

柴:いつも帰ってきた当初はそんなに食いは良くないんですよ。やっぱり乗り込んできたら食い出すので。ダービーの前はそんなに食べなかったけど、秋はよく食べている方じゃないですか。歯も生え変わったし。

-:馬場的には硬い方が良いですか。

柴:そうですね。

-:その点は、けっこう今の中山は硬いと言われているので。ちなみに、今回も良い手応えで臨めそうですが、神戸新聞杯に行く前の手応えはどうでしたか?

柴:いやあ~、距離は持つんじゃないかと思っていたんですけど。そんなに引っ掛かって行くところはないので。ちゃんと良い競馬をして、最後は伸びずに止まっていたから。上がってきてからも速攻、福永さんも「距離やな」と言っていたので。

-:今くらい成長を感じているのであれば、楽しみですね。

柴:そうですね。みんな古馬になってから良くなると思っていたので。

-:ありがとうございます。

カデナ

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