厩舎の先輩シルポートの後継者 前残り馬場生かして初笑いだ ウインガニオン
2017/12/29(金)
ウインガニオンが、開幕週の馬場を生かして2つ目の重賞タイトルを狙う。G1初挑戦だった前走のマイルチャンピオンシップは先行馬が総崩れになる展開で17着に大敗したが、夏の中京記念では重賞初挑戦で圧勝。マイル路線でもトップクラスのスピードを持っている。西園正都調教師は、逃げて2011年の京都金杯を制したシルポートの再現を狙う。
-:京都金杯(G3)に挑むウインガニオン(牡6、栗東・西園厩舎)ですが、前走のマイルチャンピオンシップはG1挑戦されました。
西園正都調教師:夏は重賞でも勝ち負けしてくれたのですが、G1になるとあの辺の位置取りになりましたね。その点、今回はG3ということで自分の競馬が出来るようになると思いますので、巻き返しを期待したいですね。
-:さらに開幕週の馬場ですね。
西:そうですね。前の逃げ残りが目立つような、そういうような傾向になってきていますので、この馬にとっては有利かと思います。ハナを主張するような馬が少ないので、却ってこの馬のペースで行けそうですね。調教に関しては、今日(12/27)51.9秒で坂路を上がって、最後も(1ハロン)12.7秒、2F目も24.8秒なので、しっかりとした動きをしています。今日なんかは馬場が重い中で52を切っていますからね。
-:この時季、時間の馬場は重いですか。
西:天気が悪いので、終日、重いでしょうね。
-:となると、前走後の調整面は、順調に来られているということですね。
西:そうですね。前走後はここ目標に来ていますので、それを逆算しながら、動きやデキに関しては何も問題ないですね。1回使った上積みもあると思いますので、前進を期待したいと思います。
-:先週は、主戦の津村ジョッキーが栗東に来られていたそうですが、乗らなかったのですか?
西:津村君を乗せると引っ掛かるでしょう。時計が速くなり過ぎるので、こっちで乗りました。というのも、ジョッキーを乗せると、競馬をイメージして乗るので、馬も分かってガッと行ってしまうので。段々と階段を上がらないと、いっぺんに上がってしまうと調子が下がってしまいますからね。
-:ウインガニオンの日頃のテンションはどうですか?
西:馬房の中は大人しいですけど、競馬でも前進気勢が旺盛なので、やっぱり馬場に入ると引っ掛かっていきますからね。それ以外は、普段はやりやすい馬ですけどね。
-:そこら辺はソフトなジョッキーといいますか、それもあっての津村騎手起用なのでしょうか。
西:そうですね。軽いタッチで乗ってくれるジョッキーが良いので。あまり気持ちを高めないで、折り合って乗ってくれるので。
-:客観的に見て、この夏というのは想像を上回るといったら失礼ですが、快進撃が続きましたね。
西:そうですね。(中京記念では)圧勝しましたからね。初重賞で圧勝するというのは、なかなか難しい話ですからね。
-:その秘訣は感じられていましたか?
西:外見的な変化はほとんどないのですが、調教の時計が最初の頃は53~54秒で一杯だったのが、馬なりでも51秒台で上がって来ますからね。この馬なりに力を付けてきていたことがわかるのではないですかね。休む度に、夏になると連勝していましたので。いくら下のクラスでも、連勝というのはなかなか出来ないので。オープンを勝って、またオープンと連勝で、G3制覇。本当に力を付けているんだなと思いますね。昔とは調教の動きも変わってきましたしね。
-:他のマスコミさんからも「夏馬ですか?」とよく言われると思いますが……。
西:よく言われますね(笑)。(良績が)夏場に集中しているからね。たまたま休養して出てきた時に、夏場は小倉の1600がないので、1600で連勝してきた馬なので、やっぱり新潟に偏りますよね。僕は単純な夏馬ではないと思いますけどね。
-:夏と冬とで、馬房での様子に何か変化はありますか?
西:いや、全然ないですね。カイ食いも一緒ですしね。関屋記念後は疲れもあったけど、京成杯AHはパスしましたので。1回使ったことを期待して臨みたいと思います。
-:成長を感じ取れるとのことですが、伸びそうな馬ですか?
西:まだまだ伸びしろはあると思います。(父の)ステイゴールドの成長力にも期待したいですね。
-:先生の厩舎には短距離路線で活躍した馬がたくさんいましたが。
西:意識して短距離の馬をつくっている訳ではないんだけど、たまたまですね(笑)。イコピコで神戸新聞杯をレコードで勝ったこともあるんですけどね。目立つところが短距離なだけであって、それはそれで良いのかなと。マイルが競馬の中心だからね。
-:失礼しました……(苦笑)。サダムパテックも3歳時は中距離路線で活躍していましたね。脚元は大丈夫ですか?
西:全然問題ありません。本当にカイ食いが良いし、脚元の心配も一度もしたことがないので楽というか、身体は立派な馬なのにね。
-:脚質を言えば、内枠の方が良さそうですね。
西:ええ、内枠が当たってほしいですね。京都のコースは先行前残りが多いので、シルポートが金杯を獲ったような感じで良ければ良いのかなと思っています。
-:シルポートは最近、産駒も出てきていますからね。
西:走っていますからね。何や頑張って欲しいですね。
「中京記念はみんな内を空けて通っていましたよね。その前のレースで内をピッタリ回って勝った馬がいたので、津村君と話をして、枠順も良いし、内ラチ沿いを走ろうか、ということでしたね」
-:馬場でいえば、中京の時は外側が厳しい馬場だったのですが、それにしてもちょっと雨の影響があったのかと思います。
西:ありましたし、みんな内を空けて通っていましたよね。その前のレースで内をピッタリ回って勝った馬がいたので、津村君と話をして、枠順も良いし、内ラチ沿いを走ろうか、ということでしたね。
-:直前の作戦も功を奏したと。
西:自分の競馬をして負けたらしょうがないからね。
-:今後の予定、来年のローテーションは考えられていますか?
西:どうなるかは、金杯の結果を観てからですね。マイル路線になることは間違いないですけど、左回りの東京も始まりますので、可能性としては東京新聞杯(G3)もあるでしょうね。
-:当日の馬体重はどれくらいになりそうですか?
西:この間もしっかり仕上げて使ったので、前走と一緒くらいじゃないですかね。でも、目に見えない叩いた効果もあると思いますのでね。しっかりと1年を占う意味も込めて、ビシッと行きたいなと思います。
-:ありがとうございます。厩舎として、この2017年を振り返ってはいかがでしたか。
西:今年は1日残して34勝、本賞金も8億を超えていますので。開業以来、43勝した年(2012年)に10億行ったので、それ以来の8億なので、上々ですね。来年も良い調子を持続していきたいなと思いますね。
-:2018年も良い1年になれば良いですね。
西:良い1年の幕開けとなるように、応援して下さい。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【西園 正都】Masato Nishizono
1955年12月29日生まれ。滋賀県出身。1974年に大根田裕也厩舎所属で騎手デビュー。1985年、チェリーテスコのカブトヤマ記念で重賞初勝利。1997年に調教師免許を取得して騎手を引退。1998年に開業。翌1999年にヒサコーボンバーの阪神ジャンプS(J・G3)を勝ち、2001年にはタムロチェリーの阪神ジュベナイルFでG1初制覇を飾る。JRAの重賞はG1での3勝を含む28勝。