池江泰寿厩舎が、G1馬3頭を含む『4頭出し』で上位独占を狙う。2017年の皐月賞馬アルアイン、3歳でマイルチャンピオンSを制したペルシアンナイト、2016年のグランプリホース・サトノダイヤモンドは、いずれも前哨戦では敗れたが本番につながるレースを見せた。8歳馬サトノノブレスも金鯱賞2着と衰えを感じさせず、4頭とも状態面は上昇中。兼武弘調教助手に各馬の状態と手応えを聞いた。

追い切り抜群アルアイン「すごみが出てきた」

-:大阪杯(G1)に4頭出しの池江泰寿厩舎ですが、兼武助手に伺いたいと思います。まず、アルアイン(牡4、栗東・池江寿厩舎)ですが、菊花賞(7着)以来のレースとなった京都記念では2着。レースを振り返っていただくと、どうでしたか。

兼武弘調教助手:最後の直線でちょっとモタれた感じはありましたけど、それは久々の分という感じでしょうか。内容としては良かったと思います。時計は速くはありませんが、馬場も重かったですからね。今回は使った上積みもあると思います。

兼武弘

名門・池江泰寿厩舎の攻め専として活躍する兼武助手

-:3歳の秋から明けて4歳になって、成長を感じるところはありますか。

兼:もともと調教でも動く馬ではあったところ、全体的にスケールアップしましたね。すごみが出てきたもいえます。

-:3月22日(木)に1週前追い切りが行われました。いかがでしたか?

兼:朝一でやりましたが、馬場は重かったですけど、(CWで)84.7-68.6-53.2-38.7-11.秒。この馬場で終いこれくらいでまとめてくれているので、相当ですね。川田将雅ジョッキーが乗って「良い動きだった」とも納得してくれたようですね。もともと反応の良さもありますから。

-:2000mという舞台は、皐月賞でも勝っていますね。

兼:僕は、2000mの方が良いと思っていますけどね。

-:むしろ距離どうこうよりも、やっぱり馬場が良い方が良いのですか?

兼:馬場は良いにこしたことはないと思いますね。道悪でも大きくマイナス材料にはならないですけど、良馬場の方が良いとは思いますけどね。

-:大阪杯は、これまでも戦っているメンバーだとは思いますが、上位人気に推されそうですね。

兼:そうですね。デキに関して言えば、確実に上積みがあるし、良い状態に持って行けるんじゃないと思っています。

-:ちなみに、京都記念の馬体重はプラス2キロ。菊花賞からはあまり増えていなかったのですが、今回はどうなりそうですか?

兼:前走の京都記念は、直前の当該週の追い切り後では530を超えていたくらいでした。そこから調整をして、同じくらいになりましたね。今は528くらいなので、それを考えれば絞れてきてもおかしくないと思いますね。当日はマイナスにはなってくると思いますし、マイナスになっても良いと思います。

-:良い意味で締まりが出てきたということですね。この馬はちょっと気が強いというか、カッとするところがありますよね。

兼:そうですね。走り出したら、操縦性があって乗りやすいのですが、普段は気が強いというか。パドックではおとなしいのですが。

アルアイン

-:パドックでユッタリ歩けるというか、平常心で歩けるというのも、レース前はすごく重要なことですからね。

兼:そうですね。この馬はパドックでチャカチャカしたことはなかったですよね。それ以外ではちょっと我が強いところがあって、自己主張はけっこうありますね。

-:パドック以外では、どの辺がポイント、課題になりそうですか?

兼:競馬当日はそこまで変化がない馬なので、そんなに気にならないですね。見た目は前走よりも明らかに締まっているので、それは、誰が見てもすぐに分かると思いますね。

-:「体重云々じゃなくて、1回使った効果で締まりが出た」ということで、楽しみですね。

兼:楽しみですね。

-:最後に、アルアインのまとめをお願いします。

兼:確実に期待が出来ると思います。間違いなく上積みがあると思いますから。

マイル王ペルシアンナイト「落ち着き出てきた」

-:ペルシアンナイト(牡4、栗東・池江寿厩舎)ですが、休み明けの中山記念では5着に終わってしまいました。単勝オッズからも、期待していたファンが多かったと思うのですが、ゲートがもう一つでしたね。

兼:出遅れてしまいましたね。後方からの競馬となりまして、ペースもペースで、基本的にあの位置じゃ……というのが正直なところですね。

-:縦長の隊列で、しかも内が伸びる馬場で、外を回されて、若干、溜めがつくれなかったという感じもありましたかね。

兼:開幕週の馬場で、前が残る傾向もありましたし、良いポジションを取らないと厳しいところはありましたね。マイルCSで見せたような切れ味を発揮するまでには至らなかったですけど、終いはシッカリ伸びていましたけどね。

ペルシアンナイト

前走、今年初戦の中山記念(G2)では5着だった

-:父がハービンジャーということもあって、ハービンジャー産駒は叩き良化型向があると思うのですが、そういう面でも、休み明けよりも使ってからの方が良さそうですか。

兼:ええ、その方が良くなる馬ではありますね。

-:木曜はアルアインの追い切り直後にCWコースで追い切られていましたけど、動きはいかがでしたか?

兼:確実に良くなっていますね。この馬には所属の水口(優也)騎手が乗ってくれたのですが「良くなっている」とも言っていましたよ。

-:兼武さんからみた、ハービンジャー産駒のイメージはありますか?どちらかといえば、重が良いイメージもあります。

兼:脚が長くて、スラッとした感じなので、良馬場の方が良いと思います。

-:けっこう、ヤンチャな馬が多いハービンジャー産駒ですが。

兼:この馬も、元気が良い時はありますけどね。ちょっと危なっかしいところを見せる時もありますけど、2歳の頃に比べると、だいぶ落ち着きも出てきています。

-:秋からの成長はいかがですか。

兼:少しずつ大きくなっていますね。古馬らしくなりつつあるところです。まだ肉付きとかはもっとガッチリしてくるでしょうけど。どちらかと言うと、母父のサンデーサイレンスが出ているような感じですね。

ペルシアンナイト

-:母系は先代の池江(泰郎)厩舎から続く血統ですよね。若干、展開の助けがあった方が、ペルシアンナイトにとってはやりやすいですか?

兼:もともと距離適性がマイル向きなところがあるので、立ち回り方や展開などは必要になってくると思いますけど、潜在能力としては高いのでね。

-:大阪杯を見据えて、中山の1800というコーナー4つのコースを経験して、ということですね。

兼:そうですね。おそらくそういうことで、そこを使ったと思うのですが。

-:ジョッキーが決めることなのですが、スタートが決まった場合は、どの辺のポジションになりそうですか。

兼:どの辺でしょうかね。今回、(福永)祐一さんも初めて乗るので、どう乗ってもらえるか分からないですけど、ある程度、中団くらいにはいておきたいなとは思いますよね。調教では来週乗ってもらう予定ですが。

-:この馬は、パドックで注目する点はありますか?

兼:普段通りだったら問題ないと思いますよ。競馬に行くと、チャカつくこともなくて、大人しいですから。トレセンだとまた違いますが、オン、オフをちゃんと理解しているのだと思いますよ。

-:ファンとしては、マイルCS勝ち馬というイメージに縛られずに、注目しておいた方が良いですね。

兼:そうですね。皐月賞だって、2着に来ていますからね。マイルでの脚が使えれば。3歳でマイルCSを勝っている訳ですからね。相当な潜在能力があることは証明されている訳なので、その脚が阪神の2000で使えれば、チャンスがあるんじゃないかと思うんです。

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