皐月賞馬エポカドーロが、距離や東京コースを不安視する声を一蹴する。誰よりも近くで接している陣営は、抜群の操縦性から全く心配していない。エイシンフラッシュでダービー制覇の経験がある久保敏也調教助手は、実家や同級生が牧場を経営している馬産地・日高の出身。所有するヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンにとっても初の大舞台で、地元の夢を乗せたエポカドーロを万全の状態で送り出す。

卓越したセンスと操作性の持ち主の皐月賞馬

-:日本ダービー(G1)で2冠に挑むエポカドーロ(牡3、栗東・藤原英厩舎)についてよろしくお願いします!インタビュー前に少し伺った話では、トレセンではわりとヤンチャということで、戸崎圭太騎手に聞くと「レースではすごく乗りやすいし、大人しくて、全然癖がない」みたいなことを言っていたので意外に感じました。

久保敏也調教助手:やっぱり馬が賢いんでしょうね。すごく言うことを聞くし、ジョッキーに対して従順というか、競馬でもそうですし、調教でもジョッキーが何か合図を送って、何かして欲しいと思っていることを全部応えてくれるというか、そういうところは素直ですね。レースに行ってもセンスが良いからそうなるのでしょうけど、馬自体もその辺は素直でシッカリ乗り役の言うことを聞いて、道中も掛かることがないですよね。本当に操作性があるというか、自由自在ですごく乗りやすい馬なので、距離が延びても、心配ないんじゃないかと思いますけどね。

エポカドーロ

▲エポカドーロと久保助手(左) 右は攻め専の荻野仁助手

-:ここ最近の様子で感じる部分はありますか?

久:少しずつ攻め馬を積んで、(時計を)詰めてくることによって変わってくるので、やっぱりピリッとしてきましたね。普段は人間に甘えているのか、気が入ってきているのか、やっぱり(悪さを)やるのですけど、調教になると本当に人間の言うことを聞いてくれますね。基本、ちょっと怖がりで物見をするところがありますね。

-:岡田祥嗣騎手が乗っての感触というか、コメントはありますか。

久:「本当に、それこそオートマチックというか、素直で、こちらが思っている通りの動きをしてくれるので、今日(5/17)も相変わらず良いですわ」と。全体的な時計は予定よりも遅かったのですけど、内容は岡ちゃんがどういう風に調教をするかというのを、ウチの先生(藤原英昭調教師)と話をして、段取りが決まっていたから、この辺で放して、直線で追い付いて、そこから突き抜けるみたいなね。段取り通りですね。

-:逆に、引っ掛かって猛時計が出るよりも、遅くてもコントロールの制御内で乗れていたということを評価できるということですね。

久:そうですね。競馬も使っている馬ですしね。

-:皐月賞は前を行く馬がいて、2番手集団を追走する形。単騎のハナと変わらない位置取りでしたからね。

久:そうですね。前でやりやってくれたから、この馬にとって絶好の展開ですよね。

-:中山らしい競馬、「ザ・中山」ですね。

久:「ザ・中山」でしたね。やっぱり東京に行くと、そうはいかなくて、ディープ(産駒)が後ろから捌いてきますからね。ダノンプレミアムもいるし、レースの組み立て方というか、レースの仕方はダノンプレミアムと似た格好なのでしょうが。

-:多分、近くのポジションにいるでしょうね。

久:いるだろうね。どちらが前か後ろかということで、やっぱり中山の方が得意で東京も初めてということで、今回はどういうレースをするのか分からないですけど、4コーナーを回って馬が直線に向いてからのセンスというのが抜群に良いなと思って、ずっと観ていたのですけどね。正直、まだ目一杯追って勝つというのがないから、言ったらまだ底を見せていないので、まだ強い競馬が出来るんじゃないか、という期待を持たせるような走り方をしているから。

エポカドーロ

▲1週前追い切りを行うエポカドーロ 岡田祥嗣騎手が騎乗

-:皐月賞が目一杯で、ダービーを余勢で使う、という感じではないのですね。

久:そうではないですね。確かに道悪で走って、まともな良馬場で走るよりも体力の消耗はあると思いますけど、レース内容だけで言えば楽勝と言ってもおかしくないように、まだ余力を残して勝っているといったレースをしていたから。その分、疲れが取れるのも早かったし、まだ楽しめるという期待はあるのですけどね。

-:世間的には、いまだに侮られているのかなという感じがするのですが。

久:そうなのですよね。ドンドン馬が変わってきたのですが、あとは何とか食わせて、食わせて、輸送もあるので減らないように。今は競馬と同じ体重で、裸で492なので、輸送もあるから減らない方が良いでしょうからね。段々気も入ってきているし、来週も(追い切りを)やるから、競馬ではちょいマイナスくらいで行くかもしれないですね。でも、やる毎に馬が締まって馬も段々分かってきて、すごく良い段階を踏みながら、持ってこられていますけどね。

「抜群ですよね。本当に筋肉の質は良いですよ。モチモチした、これぞと言ったものがありますね」


-:久保さんも色々な馬を触ってきた経験があると思いますけど、筋肉の質とかはどうですか?

久:抜群ですよね。本当に筋肉の質は良いですよ。モチモチした、これぞと言ったものがありますね。

-:3歳が初年度のオルフェーヴル産駒は牝馬ではラッキーライラックがいて、牡馬にはエポカドーロがいるのですが、すべてが走る訳じゃないですから、難しいですよね。

久:難しいですよ。本当に気ですね。一歩間違えたら、とんでもないことをしますからね。そうさせないように、なだめてなだめて、おだててというか。良くするのは難しいですけど、壊すのは一瞬ですからね。責任あるので手を掛けていますよ。やれることはやってあげたいのでね。体調管理が一番大変なところだから、そこはすごく神経を使ってやっていますけどね。

-:脚元は丈夫な方ですか?

久:そうですね。丈夫ですね。

-:気を使うところは、精神面に集中できるということですね。

久:強いて言えば3歳だからどうしてもしょうがないけど、関節がまだ緩いので、それだけは心配ですが、そこはしっかりやっているのですけどね。

-:逆に、そういう状況でG1を勝っているということは、伸びしろが多いということですからね。

久:そうですね。

距離克服・左回り対応には手応え 道悪も歓迎
エポカドーロ陣営インタビュー(2P)はコチラ⇒

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