ナンヨーイザヨイ 新馬戦は完勝!勝ち時計NO.1 昨年プランタンの雪辱へ
2018/7/18(水)
ナンヨーイザヨイが、昨年涙をのんだ先輩の雪辱を果たす。1年前のナンヨープランタンより速いタイムで函館開幕週の新馬を勝ち、世代最初の重賞に駒を進めてきた。2年連続で管理馬を送り出す額田洋介調教助手は「この馬の方が2歳ステークス向き」と語り、函館2歳王者への意気込みを語ってくれた。
-:函館2歳ステークス(G3)に2年連続で挑む額田助手に、ナンヨーイザヨイ(牡2、栗東・松永幹厩舎)について伺います。個人的には、春の栗東トレセンで挨拶させていただいて、函館でまた今年も使うんだよ、と紹介していただきましたね。改めてこちらに来るまでの経緯を教えていただけますか?
額田洋介調教助手:去年こちらに連れてきたナンヨープランタン(牡3、栗東・松永幹厩舎)と入厩のタイミングが全く一緒でした。入厩して2カ月くらいして、プランタンは3月の終わりから4月の頭くらいにトレセンに入ってきて、5月の終わりにこちらに連れて来て。(松永幹夫)先生の指示も「去年と全く同じパターンで」という感じでしたから、調整はしやすかったですね。
-:種馬は違いますが、ナンヨープランタンと色々とダブるところがありますね。
額:そうですね。兄弟でもないですから。(岩田)ジョッキー、オーナー、生産牧場と育成したノーザンファームは一緒で、ほとんど一緒なんですよ。さすがに馬の個性としては似ていませんが(笑)。
-:母父スペシャルウィークというのは、プランタンと一緒ですね。
額:肌もスペシャルウィークだから、距離が延びても対応できるとは思っているので。
▲例年、函館出張を任され、今年も厩舎1人で現地に滞在している額田助手
-:仕上げの過程に関しては、去年と比較してもよかったと。
額:去年と同じ感じだったですから、やりやすかったですね。
-:額田さんの担当馬で、2歳新馬勝ちは何回目くらいですか?
額:5度目くらいですかね。開幕週の新馬勝ちはこの2頭だけで、本当に上手いこといったなという感じですよね。
-:向こうで調整して、こちらに持ってくる難しさはありますか?
額:まだ競馬を使っていないから、意外と輸送はどうもないんですよ。古馬は輸送の時点で競馬というのが分かって熱が上がったりするのですが、馬運車の中でもカイバを食ったり、水をちゃんと飲むから、2歳の新馬の輸送はそこまでリスクはない感じはしますね。だから、堪えてもなかったですし、それは去年のプランタンも一緒だったんですけどね。
-:そうなんですね。何度か乗ったことがある馬運車に乗せられるだけ、という感じでしょうかね。
額:道中のカイバもやっぱり食べますからね。水を飲まない、エサを食わないことが一番熱発しやすいんですよ。その点、ちゃんと水も飲むし、エサも食べるから、こちらに着いても元気で。
-:今年は、こちらに着いてからの調整はどうですか?
額:去年と同じ順序というか、1頭でも大丈夫でしたね。
-:去年と比べて、函館が開幕するまでの天候、開幕してからも悪天候が続きましたね。
額:今年はずっと良かったんですよ。自分が来て1週間くらいはすごく天気が良くて、1回雨が降ってから気温が上がらなくて、すごく寒かったんですよ。だけど、馬場は影響がなくて、むしろ開幕週は時計が出ていたんで。週中に雨が降り出したのは2週目以降ですよね。
▲昨年のナンヨープランタンに続いて、2年連続で新馬勝ちを決めた
-:新馬戦のレースを振り返って、どう評価されますか?
額:スタートもちゃんと出て、スッと2番手に付けて、直線で前の馬を交わしていたから、完勝だったと思うんですよ。プランタンとの比較でも、ソコソコやれるだろうとは思っていたので、完勝だったと思いますね。
-:レースを観ても、完勝と言える内容だったと思うのですが、ゲートは問題ないですか?
額:そうですね。前の週に確認にも行っていたので、ちゃんとポンと出て、大丈夫だったので。
-:去年なんかはけっこう開幕週の馬場が速くて、去年ほどじゃないけど、今年も速かったじゃないですか。脚元の負担はなかったですか。去年は速い時計で走った馬のダメージが大きかったと聞きます。
額:そうでもなかったですね。使った後も全然問題なかったですね。
-:肉体面は良くなっている感じですか?
額:そうですね。前走を使ったものの、ちょっとまだ太かった感じなんですよ。昨日(7/11)の1週前追い切りも、ちょっとまだ重いかな、という雰囲気はあったのですが、日曜日と来週の水曜日とやるので、ちょうど良いくらいになると思います。
-:カイ食いはどうですか?
額:特に問題はないですね。本当に手が掛からないというか。
-:フットワーク的には将来どういうタイプになっていきそうですか?
額:どっちかと言ったら、自分はパワータイプじゃないかなと思っているので、もっと距離が延びても良いと思いますし、将来的にはダートという選択肢もあるかな…と思っています。
-:確かにパワーがありそうな感じはしますね。最終週の芝をこなせそうな。
額:ええ、プランタンは軽い芝向きでしたし、函館2歳ステークスの前は乗るにつれて、1200mはちょっと忙しいとみていました。この馬の方が2歳ステークス向きかもしれません。開幕週の新馬戦だから、持ち時計は一番速いですし、時計の比較では他とは比較にならないと思いますが、渋ってもそんなに苦にしないのかなと。時計が掛かっても、大丈夫かなという予感はあるんですけどね。
-:フットワークは大きい方ですか?
額:跳びは大きいですね。
-:性格はどうでしょう?
額:プランタンはキャリアもそうなのですが、まだ子供なんですよ。イザヨイのほうが性格がしっかりしているといいますか、ちょっと真面目過ぎるきらいはあります。だから、調教も一生懸命走りますしね。1200mは問題ないと思います。レースが上手なので、前走みたいなレースが出来たら良いかなと思うんですけどね。
-:1回使って、一生懸命走り過ぎるというところで、折り合い面の難しさが出たりする可能性はありそうですか。
額:そうですね。そういうのは、意外と普段の調教から感じ取れるのですが、それはないので、大丈夫かなと思いますね。あとは太目残りがなければ。
-:今はどれくらいですか?
額:460キロくらいですね。いつも木曜に量っていますが、今で前走と同じくらいなんですよね。別にマイナスじゃなくて良いので。
-:今のところほとんど手が掛からないですね。
額:そうですね。
-:今年は去年の借りを返せそうな…。
額:そうですね。チャンスはあると思うんですけどね。
-:では、意気込みをお願いします。
額:去年と一緒で、また函館2歳Sに担当馬を使うのですが、去年は残念でしたけど、今年は良い結果が出たらと願います。出せるように頑張ります。
-:ちなみに、もう1頭やられているゲンティアナ(牝2、栗東・松永幹厩舎)の評価も教えていただけないでしょうか。
額:アゼリの子は全般に小さい感じですけどね…。もう少し成長してくれたらと思います。
-:上(ロイカバード)とは似ているのですか?
額:いや、似ていないですね。
-:それにしても、今年の春の厩舎は盛り上がったのではないでしょうか?
額:でも、普段からいい雰囲気の厩舎ないので、変わらずですね。今年はすごく楽しみな2歳が厩舎に一杯入ってくるので。頭数も多いですから、楽しみというか、良い雰囲気だと思うんですけどね。
-:他でご存知の2歳馬はいますか?
額:母アゲヒバリのリオンリオン(牡2、栗東・松永幹厩舎)は今までに乗ったことのない雰囲気を感じましたよ。他には、牧場の人が言っていたのは、今週、栗東に入厩したのですが、グルーヴィット(牡2、栗東・松永幹厩舎)という馬で、お母さんがスペシャルグルーヴで、その馬はキャロットなんですよ。それは牧場の人が「すごく良いぞ」と言っていましたね。
-:夏に海外遠征もありますからね。
額:函館2歳Sと同じ日なんですよ。
-:額田さんは函館の調教師代理みたいな。
額:まあ……。でも、任せてもらっているので。函館が終わって、ちょっとしてから札幌に上がって、ある程度したら、栗東に戻ると思います。母アゲヒバリを戻して、ちょっと調整して連れて帰ることになると思うんですけどね。
▲落ち着いた様子のナンヨーイザヨイ
-:なんとか今年こそは。
額:そうですね。早いですよね。来週でもう終わりですからね。本当にアッという間ですよね。やっぱり滞在するのは、チップがあるので、馬もつくりやすいですからね。
-:やっぱり札幌だと負荷的に足りないという感じですか?
額:足りないというか、馬がすぐに硬くなったり、脚元に影響が出やすかったり。でも、チップはメッチャ小回りだから、脚元がどうもないのだったら、ダートで乗っても大丈夫かなと。
-:コーナーが急だと言いますもんね。
額:はい。右回りでしか走らないですから。
-:傾斜というか、コーナーリングは栗東と全然違いますか?
額:はい。だから、そんなに速い時計が出ないのは、やっぱり突っ込んでいけないから。芝はまだマシですけど。
-:余談も含め、今回もありがとうございました(笑)。
額:いつも取材をしてもらっているから、何とか良い結果を出したいなと思っているんですけど。
-:枠は選ばないですか。
額:どっちかと言えば、外目の方が良いかなと思いますけど。だから、去年はそれもあったんですよね。内枠を引いて、前に行けないという。
-:フットワークの大きさを考えると、やっぱり外の方が。
額:そうですね。そちらの方が競馬はしやすいでしょうから。
-:今年は昨年のリベンジの舞台となるか、期待しています。長々とありがとうございました!
プロフィール
【額田 洋介】Yosuke Nukada
高校時代から乗馬を始める。卒業後、福岡の実家近所の乗馬クラブで手伝いをしていた関係で、ノーザンファームを紹介してもらうことに。牧場勤務当時はゴールドティアラやブロードアピールなど松田国英厩舎関連の馬達と触れ合う。
競馬学校卒業後は鹿戸幸治厩舎に所属し、解散の流れで松永幹夫厩舎に異動。開業時からのスタッフとして厩舎の屋台骨を支えている。最近では、シャルール、ロイカバードなどを担当してきた。