エアウィンザー 名門厩舎の中でも素質はピカイチ G1初挑戦でもむしろ楽しみ
2019/3/26(火)
エアウィンザーがG1初挑戦で真価を問う。チャレンジCで重賞初勝利し、金鯱賞では並み居るG1馬に挑んだが、3着に終わったエアウィンザー。ここは力の壁かと思うところだが、陣営は決して力負けでないことを強調する。全兄はエアスピネル、母も祖母も重賞ウィナーという良血馬が初めてのG1の舞台で底力を示すのか。前走に続き、インタビューに応じていただいた。
-:大阪杯(G1)に出走するエアウィンザー(牡5、栗東・角居厩舎)なんですけど、前回取材させていただいた金鯱賞は惜しくも3着でしたが、前回のお話を聞いたら、もうちょっとやれるんじゃないかと期待していたファンもいると思います。どんなレースだったか、上村さん目線で教えていただけますか。
上村典久調教助手:(久々に騎乗した武豊騎手)ユタカさんも、調教で乗ったといっても、実際にレースに乗ってみないと分からなかったところもあるだろうし、馬場もちょっと悪かったですね…。ユタカさんは「ダノンプレミアムをマークして、十分な結果だった」という感じだったんですけどね。
-:良馬場ならちょっと違った結果が出たかもしれないということですか。
上:レース前にも話しましたけど、使って次にパフォーマンスを上げるので、確かにちょっと4コーナーでの反応が鈍かったというのはあると思いますね。それは良馬場に越したことはないんでしょうけど、あのメンバーで収穫の多いレースだったと思いますよ。あの馬場でも、左回りでも競馬は上手に出来ていたんでね。
▲金鯱賞のパドックでエアウィンザーと担当の上村助手
-:勝てなかった悔しさはあるけど、G1前の一走としては、次に繋がる内容ではあったということですね。
上:ええ、及第点ですね。
-:満足ではないけども、ということですね。当日のパドックの雰囲気や馬体の雰囲気はいかがでしたか。
上:プラス4キロでしたけど、今はドンドン筋肉が膨らんでいる感じで、使えば使うほど体が大きくなっています。バリバリ攻め馬をして体が増えているんだから、体調も良いんだろうし、今もやっぱり成長しているのかなと思いますね。
-:ちょうど強くなって、一皮剥けるタイミングかもしれないですね。それが、ここでG1馬としての結果が出るかどうかですね。そこはファンが気にしているところだと思うんですけど、今週の追い切りはいかがでしたか。
上:中2週ですし、1回使ってすぐに乗っている馬なので、どこが悪いというのもないし、今週(3月20日)は予定通り、坂路(4F55.0-39.7-25.1-12.5秒)で軽くいって、日曜日にもちょっとやるつもりです。最後、来週の最終追い切りはCWでビシッとやるつもりではいますけどね。目一杯は追い切らないですけど、ソコソコやるつもりではいますね。3頭併せになると思います。
-:その時の乗り役さんはどうされるのですか。
上:ジョッキーを乗せるつもりではいますけど、追い切りは辻野(調教助手)に任せているので、最終追い切りに乗せる必要はないということでしたら、辻野が追い切るかもしれないですね。
-:それは、直前の雰囲気を見てということですね。
上:日曜に追い切ってもらって、その具合次第ですね。
-:僕らの見方としては、浜中ジョッキーに乗ってもらう時というのは、しっかり出来ているということですか。それで、辻野さんが乗る時というのは、もうちょっと負荷を掛けたい時ですか。
上:そうですね。普通はそうですよね。
「辻野も『体型的にはそんなに変わらないけど、素軽さが全然違う』と言っていましたね。『乗っている時の反応とか、キャンターでの素軽さなど、今回の方が数段良い』ということでしたね」
-:先ほど「体がパンプアップして、増えてきている」という話だったんですけど、次の大阪杯は数字的にも増えそうですか。
上:いや、そこまで増えないと思います。見た目はそんなに変わらないと思うんですけど、辻野も「体型的にはそんなに変わらないけど、素軽さが全然違う」と言っていましたね。「乗っている時の反応とか、キャンターでの素軽さなど、今回の方が数段良い」ということでしたね。
-:金鯱賞の内容を見て大阪杯を分析するのじゃなくて、やっぱりプラスアルファした方が良さそうですね。
上:そうですね。1回使ってからというのもありましたし、正直、次が中2週ということもあったので、最後も辻野と相談しながらだったんですけど、次のことを考えたら、そこまで攻めきれなかったですもんね。
▲重賞連勝を狙った金鯱賞は惜しくも3着だった(右から5頭目)
-:金鯱賞を勝つだけなら、違う手があったかもしれないけど、大阪杯を見据えると、ということですね。
上:やっぱりローテーション的にも今まで使ったことがないような間隔ですからね。
-:逆に言うと、馬がしっかりしてこないと、そのローテーション自体組めないということですね。
上:ええ、組めないですね。
-:それだけ本格化というか、完成してきたということですね。
上:肉体的にも精神的にも、今が一番充実期じゃないですかね。
-:変わり身をいち早く捉えたファンが、おいしい目を出来るということですね。
上:ハハハ、やっぱり良馬場でやりたいですけどね。
-:ここのところの阪神競馬場の芝コースをご覧になって、当日はBコースになってラチが外側に設置される訳ですけど、今のコンディションだと、どうですか。
上:先週、(もう1頭の担当馬である)シャケトラを使いましたけど、稍重ながらけっこう重そうな馬場でしたけどね。すごく軟らかいというか、タフでしたから、あれがどこまで回復してくれるのか…。
-:G1当日になったら、また締まるのかもしれないですし、その辺は前日の土曜日の朝くらいになってみないと分からないですからね。でも、良いに越したことはないということですね。
上:良いに越したことはないと思いますね。
-:楽しみですね。枠順もこだわらないですか。
上:はい、こだわらないです。
-:1週前は馬体写真の撮影も行われていますが、やっぱり雰囲気が違ってきたんじゃないですか。
上:そうですね。体は惚れ惚れしますけどね。見ていても、自分で触っていてもそうですけどね。
-:しかも、近くにシャケトラという、もう1頭の相棒もいる訳ですからね。
上:トモの筋肉だけだったら、ウィンザーの方があるんじゃないかなぁ。
「浜中騎手には積極的なレースをして欲しいですね。直線一気ではG1で通用しないでしょうから、やっぱりある程度のポジションに行って、上手く立ち回ってほしいです」
-:それを、上手いことレースで使ってくれたら良いですね。
上:そうですね。浜中騎手には積極的なレースをして欲しいですね。直線一気ではG1で通用しないでしょうから、やっぱりある程度のポジションに行って、上手く立ち回ってほしいです。
-:あとは、金鯱賞よりも抜けてくる時の反応が。
上:今度は違ってくると思いますけどね。
-:今回は浜中ジョッキーなので、ある程度のポジションを取って、イメージとしては金鯱賞よりもちょっと前に付けるかもしれないということですね。
上:そうかもしれないですね。まあ、枠順次第でしょうし、ゲートが開いてみないと分からないですけどね。
-:でも、ゲート自体はそんなに悪くないんじゃないですか。
上:今はだいぶ良いですよね。昔は遅かったんですけどね。だから、去年の秋くらいからはちゃんと出ますもんね。当時はトモが緩かったんですよね。ユタカさんが最初乗っていた頃も「ゲート遅いねぇ」と言っていましたし、トモがちゃんと支えられていない感じでしたもんね。昔はポコンと出る感じで。
-:体力的にトモの蹴りが弱くて、上手く出られていなかったということですね。
上:そうですね。デビュー当時から考えたら、今は+20キロで競馬をしている訳ですからね。
-:上村さんからしたら、これだけ体が変わったのに、なぜ前回で欲しい結果が出ないんだと、ちょっと悩ましいところじゃないですか。
上:でも、緩やかだけど、順調に良い成長曲線は描いていると思いますけどね。その前もG3を勝っているし、普通の馬だったら合格点じゃないですか。G1馬が5頭出ているG2で3着だったら、上出来の部類ですけど、何せ触っている僕らの期待が大きいですからね。この間も一発でクリアしてくれると思っていたので、ちょっと残念なところはありますけど、だからと言って、G1は無理かと言う訳でもないと思うし、むしろ楽しみの方が大きいですけどね。
-:僕らが注目すべきところは、阪神の馬場がこれ以上重くならないように願うことですかね。しかし、競馬は難しいですね。
上:難しいですね。先週のシャケトラにとっては、先週の馬場が良かったかもしれないですしね。
-:前回、悔しい思いをしているファンも多いと思うので、最後にファンにメッセージをいただけますか。
上:左回りも久々で、走れないことはないと思っていましたけど、結果的には3着で、勝てなかったことは悔しかったです。しかし、本番の大阪杯に向けて良い走りは出来ていたと思いますし、使ってからこその馬と思っていたので、次の方がチャンスはあると思いますね。
-:中2週というローテーションが厳しいと不安に思うファンもいると思いますけど、それは不安に思わなくても良いですか。
上:それは大丈夫だと思います。むしろ良い方向に出ると思いますね。
-:体重的には、阪神なので金鯱賞とそこまで変わらなさそうですか。
上:変わらないと思います。
-:だけど、締まりはアップしているということですね。てるてる坊主を作って、当日を楽しみにしています。
上:ありがとうございました。
-:ありがとうございました。
プロフィール
【上村 典久】 Norihisa Uemura
父が厩務員、弟は元ジョッキーで3月に厩舎を開業した洋行。坪憲章厩舎、開業から11年務めた藤原英昭厩舎を経て、角居勝彦厩舎での勤務は8年を数える。主な担当馬は自身にとって重賞初制覇となったエイシンツルギザン。G1馬のエイジアンウインズ。角居厩舎ではエアソミュール、ヴァンキッシュラン、シャケトラなどを手がけてきた。