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安田翔伍調教助手

昨夏の敗れた2戦を糧に成長

-:セントウルSといえば、思い出したくないかもしれないですけれど、昨年は若干、先行し過ぎて、目標になって差されてしまったという感じですかね。

安田翔伍調教助手:去年の函館スプリントSもそうですね。去年のスプリンターズSから安田記念までの快進撃というのは、“あの函館スプリントSとセントウルSがなければなかった”と今は思っています。まあ、結果を出せなかった申し訳なさはあるんですけれど、その後のことを考えれば、非常に重要な2戦だったと思っています。

-:そのポイントはどこにありますか?

翔:セントウルSに関しては、この馬のリズムで行って、いかに終いを活かした方が良いかということと、あの馬がある程度行ったらマークされるということがわかりました。それを踏まえてスプリンターズSに挑んだ時に、それを補えるようなレースができましたし。もちろん、あの1戦で馬がガラリと変わったというのもありますし、非常に重要な1戦でしたね。

-:2着、2着と敗れて迎えた本番で勝った陰には、その2戦があったんですね。

翔:あの2戦が大きかったですね。

-:秋も圧倒的な人気になると思うんですけれど、これからは前哨戦が他にないので、メンバーも本番と同じようになると思います。

翔:他の馬も夏に競馬をしてきてのセントウルSで、ある程度でき上がっている馬との1戦なので、能力差は縮まっているというのは確かだと思います。それでも負けられない立場だと思っていますし、スプリンターズSでカナロアのパフォーマンスを最大限に見せるための1戦として必要なレースだと思っています。もちろん、それに結果が伴うことは求められている馬だと思います。

-:絶対王者の立場の中、1週前の追い切りが昨日(8/28)あり、(翔伍助手の兄の)景一朗さんが乗るダッシャーゴーゴーと併せ馬で、カナロアは翔伍さんが乗って追い切りをして、まあ、いやらしい手応えで。

翔:本当に手応えも良いですし、時計もやりたかったメニュー通りなんですけれど、若干太かったですね。息の入りも良いですし、動きも良いんですけれど、そこで見せるアクションが今までのG1前のでき上がった時と比べると、多少、重さを見せたなと。昨日のひと追いで変わると思いますし、更に競馬までの10日間、それを踏まえて調整していかなければいけないなというのがわかった追い切りでしたね。

-:追い切りの後も前も見せてもらいましたが、それほど太さはないようでしたが。

翔:見た目とかじゃないんですよ。感じるモノでちょっと重苦しいんです。

-:ピークを知った自分としては“ちょっと……”という感じですか?

翔:当然、セントウルSは休み明けとしては100%の状態で出走させるように心掛けているんですれけど、その100%がG1の万全な時と比べて7割ぐらいだと思うんですよ。どんなに調教してもG1仕様の100%にはならないと思うのですが、休み明けとしての100%に持っていくにもちょっと。まあ、不満でもないんですけれど、あと1週あって良かったなというのがわかる内容でしたね。



G1のパフォーマンスが楽しみになる一戦に

-:これだけレースを使って、これだけ結果を出し続けている馬の不安点として、トレーニングを積めば積むほど、人間も馬も筋肉が硬くなるじゃないですか。それをどういう風にケアをしているんですか?

翔:担当の岩本助手がプールに行ってほぐすようにしていますし、前運動も他の馬と違って逍遥馬道を入念に行ったり、硬さをほぐすというよりも、調教後に残らないように前運動は入念にしていますね。

-:人間で言えば、ストレッチ的な各関節を動かしてやった後の追い切りと?

翔:そうですね。上がり運動は、プールに行ってほぐすようなことは入念にしてますね。やっぱり他の馬よりも競馬を使っていないので、馬がまだ若いですね。精神面ではちょっとフケたなというか、大人になったなというのはあるんです。そういう意味では、もうちょっとケアに関しては入念に。

-:昨日、岩本さんとしゃべった時に「翔伍が、硬くならないように乗り方を気にしてくれている」という話をしていました。

翔:その時期がありますよね。最初のうちは硬くならないように、抑え込まないようにしていますし、ある程度基礎が出来てきたら、抑え込んで負荷を掛けるようにしていますしね。時計だけでは負荷が掛からないので。昨日でも多分、時計を出そうと思ったら、(坂路で)50秒は切れていましたね。その50秒を切ったところで、こっちが求めている負荷が掛かったかといえばそうでもないので、だったら馬とケンカをして、馬力を養った方がいいですね。

-:そういうことができるぐらいの馬になってしまったんですね。

翔:なりましたね。

-:最後にファンに向けてメッセージをお願いします。繰り返しますが、本番前でメンバー的にはG1と同じ感じになりそうです。

翔:もちろん、負けられない立場だというのは自覚していますし、ココは結果を求められる1戦にはなると思うので、それに応えられるような状態で送り出せるように、僕らも競馬の日まで気を引き締めて行きたいと思います。スプリンターズSのパフォーマンスが更に楽しみになるような1戦にしたいと思っています。

-:マイル仕様にしたからといって、この1戦でスプリント仕様に戻れないということはないですもんね?

翔:それがこの馬の一番のスゴさだと思いますね。マイルの後のスプリントで色々と不安を持つ方も多いと思うんですけれど、それを確認していただきたいなと思っています。

-:秋競馬のスタートなので、これからも盛り上げて下さい。

翔:そうですね。盛り上げられたら良いなと思います。

-:また、G1の本番前によろしくお願いします。ありがとうございました。

翔:こちらこそ、よろしくお願いします。


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【安田 翔伍】 Syogo Yasuda

昭和57年7月8日生まれ。高校時代にアイルランドに渡り、本場の馬乗りを経験。1年間の修行を経て帰国後はノーザンファームへ。その後、安田隆行厩舎に入り、フィフティーワナー、カレンチャン、ロードカナロア等の活躍馬の調教を担当する。
父は安田隆行調教師、兄は同じ安田厩舎に所属する安田景一朗調教助手。兄と共に厩舎の屋台骨として活躍している。