メイショウマンボ2ページ目
2013/11/10(日)
他とは違った感覚を持つ異色の競馬人
-:2冠馬になって改めて、桜花賞の結果が不思議だなと思います。
塩:この前の秋華賞を見ると、大袈裟に言えば、春とは馬が違うくらいの感じにはなっていました。なので、一番上手いこと夏を乗り切れたのかなと思うんですよね。古馬になって力関係がどうなるか分からないですけど、春に一緒に戦っていたメンバーの中では一番夏を上手に乗りきっていたのかなというのはありますね。
僕は動物関係の仕事をしたいというスタートラインで入って、それがたまたま馬やった訳です。警察やったら警察犬を世話したり、動物園やったら飼育員をやっても良かったので。馬と一緒に仕事ができていることが幸せな訳で、2冠馬を作ったのが幸せだとか、そういう感覚とはまた違いますね。ただ、周りがすごく喜んでくれたり、幸四郎やメイショウさんらにしても、馬産地の浦河にしても、喜んでくれはるという言い方も変やけど、すごく盛り上がってくれます。最終的な責任は厩舎の僕らの仕事にあるので、足を引っ張りたくないというのは当然ありますけどね。周りにいる、競馬がずっと好きでずっと競馬をしている子らとは違いますね。
-:それが、馬にプレッシャーを掛けないのかもしれないですね。
塩:気楽なんでしょうね、ヘヘヘ(笑)。たまたま、「こういう仕事もあるよ」と言われたんです。身近に競馬関係の人がいて、「どう?」と声を掛けてもらって、「じゃあ、やるわ」ということになりました。周りのホースマンとは違うかもしれません。だからか、そこまでガチガチにならないです。また、厩舎の雰囲気もあると思うんですよ。調教師がそこまでプレッシャーも掛けてきはらへんので。まあ、飯田君もそうですしね。これが高馬の良血で、走って当たり前みたいな馬やったら、また違うんでしょうけど。オーナーさんも喜んではくれはるけど、どうのこうのと口出しはしません。そういう良い環境でやらせてもらっているのかもしれませんね。
-:今回の秋華賞は、オークスと違って先生が競馬場で見ていらっしゃったんですか?
塩:そうです、その1点です。一緒に写真を撮りたいという気持ちで仕事をしていた部分がすごくありました。スタンド前でスタートを切って、歩いてターフビジョンの前を通ったんです。ターフビジョンを見た時に、当然放送も聞こえますが、オークスの時はちゃんと放送が聞こえてなかったのかもしれん。今回はちゃんと放送が聞こえました。
-:それは塩見さんの精神的な面で?
塩:場慣れしたんですかね。オークスの時はウイニングランが分からへんかったんです。秋華賞では“あっ、勝った”と思って、膝の力が抜けたようになって、“あれっ、何かおかしいぞ”という状態で馬を曳っ張ってたんです。“僕はどこに行くんやろうか、こっちに戻ってくるんやろうか、変なとこ行くんかな”と。それほど、舞い上がってなかったのかもしれませんよね。

-:オークスで果たせなかった先生との写真撮影が出来ましたね。
(※オークス時は飯田調教師が不在だった)
塩:それでホッとしました。オークスの時は、その後放牧となっていたからダラダラ感が続いても良かったんですけど。今回は1カ月後にレースがあると分かっていましたが、ちゃんと気合を入れてやったのは先週の15-15くらいからですね。ダラダラ感は2週間ぐらいは続いていていました。
-:まどろんでいたのですね?
塩:大目標である“調教師と一緒に写真を撮る”というのを終えたので、秋華賞の時の1週前追い切りの方が、ピリピリとは行かんまでも気は張っていたと思いますわ。
-:秋華賞で2冠目を獲って、お父さんとして家に帰ったら、家族はどんな感じで迎えてくれましたか?
塩:あんまり変わらないですよ。でも、初めて家族が競馬場に来たんですよ。家族が来て、飯田君なんかは「席を用意しますよ」と言ってくれたんですけど、嫁はんに言ったら「ジーパンで行かれへんやん」と一言。「そうやな」と。口取りはお客さんの方で見ていました。ある意味、お父ちゃんの参観日みたいな感じやって。でも、「良かった」と言っていました。子供の前で、飲んだくれているだけの親父やないんやぞ、というとこを見せられて、ホッとしました。

-:表彰台に上がっているお父さんを見せられたんですね。
塩:でも、1日ぐらいですよ、持ち上げられたのは(笑)。何日か経ったら、いつもの文句を言われるんです。
-:それも幸せなことですよね。
塩:そうですね。全くその通りです。ここがピークやなと。あとは定年まで、マンボの思い出話を十何年間します。若い子に「また言うてんで、あの親父」と言われながら定年を迎えるなと、ハハハ(笑)。それはちゃんと自覚をしとかんと、あとで酷い目に遭いますね。
-:秋華賞を勝った後はちゃんと(メイショウマンボの母である)メイショウモモカにお礼をしましたか?
塩:桜花賞前から家に写真を貼ってあって、そこが絶対に通り道になっているのでね。オークスのときは花をもらえたので、その写真のところにつけたんですよ。秋華賞前は“ここにもう1個付けたい”と思っていました。でも、秋華賞ではもらえなかったんです。あれは使い回しなんですね。てっきり、どこかに置いてきたか、捨てられたんかなと思ってたんですけど、今ちゃん(今村康成調教助手)に聞いたら「僕もそう言えばもらってませんわ」と。ローズSの時に、胸に飾って下さいみたいなのをもらえたので、代わりにそれをピュッと掛けてあるんですけどね。
1~2日で変わってくるのがG1馬
-:最後に、ファンにエリザベス女王杯への意気込みをお願いします。
塩:当然、お姉ちゃん達は強いんですけど、3歳の女の子の代表として結果を残したい。一緒に戦ってきた同期たちの評価が「弱い世代」と言われるのは、本意ではないので、3歳代表として良いレースがしたいなと思います。
-:秋3戦目になりますけど、マンボの体格から言ったら、そこもこなして我慢をしてくれると思いますか?
塩:秋華賞の状態に持っていくのが僕らの仕事なんで、あれ以上はないかもしれませんけど、同じレベルには持っていきたいし、持っていけば無様なことにはならないと思ってます。
-:オークスの時の1週前もそうですし、秋華賞の時の1週前もそうですけど、マンボは1週間でグッと気合も乗ってレースモードになる馬じゃないですか。
塩:本当にここからの1週間は、最終追い切りをして3日目とか、秋華賞の時は、土曜日に良くなったなと思いました。“それに期待”というのはおかしな話やけども、体調さえちゃんと持っていってやれれば、自然に馬が良くなって応えてはくれるので、そこは頑張らないとな、という思いはあります。
-:秋華賞の時の見栄えの良い体をまた再現して下さい。
塩:再現したいですね。あの時は本当に最高の体で良かったですね。
-:この馬は、結構体に出ますからね。多分、一般の人が見ても分かると思いますよ。
塩:それぐらい良い時はグンと良くなって、本当に1~2日で変わってきますね。それがG1馬なのかなと思います。今までは重賞を勝つ馬をやったことがなかったから分からなかったんですけど、こういうのがG1馬なんやなというのを勉強させてもらっています。
-:素晴らしい馬ですね、メイショウマンボは。
塩:いや、ホンマに。この経験を次に活かせる馬に出会えるかというのはわかりませんが。多分、出会えないなと思うんですけど。
-:エリザベス女王杯、応援しています。
塩:はい、ありがとうございます。
←メイショウマンボの塩見覚調教助手インタビュー(前半)はコチラ
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●秋華賞前・メイショウマンボについてのインタビューはコチラ⇒

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