元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
競馬新年
2015/6/4(木)
まずは、誰にでも貰えるものではありませんね。優勝騎手の花!こちらはミルコにお借りして撮影させて頂きました。その他に、歴代ダービー馬の名前が入ったタンブラー!こちらには義父の管理したキーストンとロングエースの名前が刻まれています。そして、歴代ダービー馬トランプ!そして、最後にブックカバーと言ったものになっていました。この様な景品を選ばれた18名の騎手だけが受け取ることができるんですね。
それではレースの内容に入りましょう。夢見るレースを制し、見事2冠達成したのはミルコ騎乗のドゥラメンテでした!レースは1コーナーに入るタイミング、向こう正面の位置取りに折り合い、この2つで私は勝ちを確信した程に完璧でした。そして、その他にもレースのテンポの良さに、馬とのコミュニケーションを大事にするミルコだけに馬との意思疎通を計れていたこと、その全てが噛み合ったことによる勝利だったと思います。更に言えば、イタリア語で荒々しいという言葉の通り、皐月賞では大きな斜行してしまった馬を1ヶ月で立て直し、更に馬の良さを殺さずにやった堀厩舎のスタッフの技術には脱帽してしまいました。運の良い馬が勝つと称される日本ダービーですが、それは努力を最大限にやった者だけが掴むことのできる運だということを再度、思い返せるレースだったと思います。断トツの1番人気を当たり前の様に勝たせるのは、並大抵のプレッシャーではありません。
そのような中で、カメラの前ではオチャラけるミルコも、裏では大変苦しんでいたと思います。しかし、それを最高の結果として出した彼には心から拍手を送りたいです。2着に入ったサトノラーゼンは内枠の有利を活かし、こちらも見事な騎乗だったと思います。その他にも、ゲートでごちゃついてしまったサトノクラウンも勝利騎手が評価した通り、強さを感じさせられました。今回は血統的にも距離が長かった中、上がり最速を出せたのはルメールの力があったと私は思います。きっと、この馬は里見オーナーに初のG1勝利をプレゼントする馬だとも思いますね。
夢のダービーが終了すれば、春のG1も残り2つとなります。西、東ともに来年のダービーを狙う2歳戦が行われ、今週には府中で春最後のG1となる安田記念が行われます。カレンチャン、ロードカナロア以降、マイル戦線や短距離路線でスターホースがなかなか誕生しないことからも、今回こそは!という思いをファンの皆様同様、私も持っています。その中でも、まず注目を集めるのは、ドゥラメンテの勝利で波に乗る堀厩舎の刺客モーリスではないでしょうか。今回は相棒の戸崎君がフィエロの先約があったために川田君へと変更されていますが、前走で見せた脅威の脚はまさに勝ちを決めるだけの武器だと思います。しかし、不安もあります。それは、テン乗りに加え、前走のあまりの強さです。あれだけ強い競馬を見せられると、今回も!と思ってしまいますが、馬は非常に敏感なだけに注目を集めた中で、直線をぶった切れるかというとなかなか難しいものがあると思います。
その他に注目を集めそうなのが、海外で結果を出したリアルインパクトに、モーリスには絶対負けたくないであろう戸崎君騎乗のフィエロ、そして、5枠10番に入れば奇跡の3回連続ミッキー制覇なるかミッキーアイルとなりそうですね。私の注目はミッキーアイルになります。前走では、逃げる競馬に専念していた馬が控える競馬で、ある程度の結果を出したことで、レースの幅が広がったことに注目しているからです。やはり脅威のモーリスやフィエロ、そして豊ちゃんが逃げることがあればカレンブラックヒルも個人的には非常に気になります。例年に比べ、少し小粒だと感じるメンバーも、終わった後には衝撃のスターの誕生もあるかもしれません。春の府中最後のG1を是非、生で観てください!声援の地響きを是非!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。