元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
まだまだ続くハンデ重賞
2015/7/9(木)
さて、先週の競馬の話をしましょう。重荷ではなく、定められた斤量を馬の実績や力からハンディキャッパーが設定し、接戦が楽しめるハンデキャップ戦が行われました。CBC賞は残念ながら悪天候に見舞われ、馬場がとても悪い中、牝馬で55.5キロを背負いながら安定感が出てきたウリウリが見事、内側窮追で勝利しましたね。前半が速い流れになり、前が止まる展開に合わせ、更に馬場が悪くなっても尚、内の良いルートを事前に見ていた岩田君の絶妙なコース取りには感服しました。夏は牝馬と呼ばれる格言が今年も活用され始めたな!と一人、妙にこの勝利に納得してしまいましたね(笑)。
福島では初参戦のルメール騎手がやってくれましたね。土日合わせて6勝の固め打ちで、本番のラジオNIKKEI賞では最重量のアンビシャスを、内ラチを見るように誘導しながら馬群に入れると、折り合いに問題にある馬を難なくと折り合わせ、迎えた4コーナーでは、フランスの貴公子がその技術を見せつけるかの様なコース取りで前へ出ると、後は力が違うと見せつけんばかりの末脚を見せ勝利しました。馬の力が抜けていたとはいえ、この圧倒的内容には騎乗技術があってこその勝利だったのではと思います。
そんなルメール騎手が水曜日には大井のジャパンDDでもやってくれました。父トワイニングが亡くなり、母のノンコだけでなく両親の夢を乗せたノンコノユメが悪天候の中、見事な末脚を爆発させ、見事に3連勝でG1制覇をしました。レースもクロスクリーガーが天候に合わせた抜群の逃げをしていたからにも関わらず負けたのは、相手が悪かったとしか言い様のない内容でした。この勝利で、ダート界のドゥラメンテは距離にもレース展開にも、対応できる天候にも幅が出たことで陣営は世界最高峰のドバイを目標に持てたと思います。亡き父と母の夢を紡いだノンコノユメのドリームはまだまだ続きます!
今週もハンデ戦が続きます。中京のプロキオンSで私の注目はレッドアルヴィスになります。前走でも圧倒的な勝利でしたし、ここ最近の成長力は見逃せない程、力をつけているからです。その他には怪我から復帰したエアハリファも、ここでは落としたくないという思いで来るでしょうし、夏は牝馬の格言が当てはまるならばコーリンベリーも気になるところではありますね。少し前から中京の馬場は荒れることが心配されますが、今回はダート!心配のいらない馬場状態に、力の差がそのまま出るレースになることを予想します。
七夕賞ではレコンダイトから目が離すことができません。前走の初重賞挑戦では斤量の差を活かし2着に食い込みましたが、距離も少し長かったこともあり最後は少しバテていたことを見ると、今回の距離短縮はプラスに働きますし、今回も斤量が55キロと変更されていない点も強みになるのではと思います。鞍乗のミルコとも非常に相性の良い馬なので、小回りの福島を克服できることができるならば、圧勝も見えてくるのではないでしょうか。その他に挙げるとすれば、夏馬メイショウナルトの復活が今年もこのレースで見えるのかにも注目しつつ、音無厩舎もう一頭の矢クランモンタナや才能あるグランデッツァも虎視眈々と彦星の座を狙っていることだと思います。今年の七夕は残念ながら雨となりましたが、七夕賞の後には皆様の晴れ晴れとした笑顔がありますよう、願っていますね。
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。