元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
初+ミルコ
2015/8/6(木)
競馬も同じようなことが言えます。馬のことを考え、一度叩きたい、競馬勘を取り戻させるためにという意味でレースに使うことがあります。その時でも、馬券を買っている皆様からすれば、今回の東アジアカップは私が感じているモヤモヤを感じてしまうのだろうなと、今更になって実感させられています。どちらも練習試合ではなく、最高の能力の試し合い、それが試合であり、レースであるのだとサッカーから再度認識させられた週となりました。
そんな中、開幕した新潟では、またあの男がやってくれました!そうです、ミルコ騎乗のベルカントが見事、復活のVをアイビスサマーダッシュで決めてくれました。血統も父サクラバクシンオーが連続連対しているレースだけに期待していましたが、正に!の結果でしたね。日本では唯一の直線のみのレースとなり、見ている側からすれば、一瞬で終わってしまうだけに騎手の技術云々ではないでしょ?と言う方もいますが、今回のミルコの騎乗は本当に完璧だったと言わざるを得ないでしょう。
レースはスタート一番ベルカントが抜け出すと、2番人気セイコーライコウの前にスっと入り、すぐにヨレる癖のある馬だけに外ラチへと付けました。その後には、手綱をしっかりと持ち、あの一瞬の中で脚を溜め、そして追い出し、見事2馬身の差をつけての勝利は完勝でした。非常に荒々しい馬の性格をなだめ、力を発揮させた手腕には脱帽させられましたね。2週連続の重賞勝利を初の距離挑戦となった馬と制したミルコは、サマージョッキーシリーズで首位となりました。初の夏参戦で初めてのシリーズ制覇となるのかにも注目して行きたいと思います。初+ミルコのコンビはこれからも注目ですね!!
期待の大地も舞台を変え、函館から札幌に替わった舞台のクイーンSでは、涙の初重賞制覇から波に乗る松田大作騎手騎乗のメイショウスザンナがやってくれました!レースもゆったりとした流れの中、レッドリヴェールが追い出すのをしっかりと確認し、奇襲と言わないばかりにゴール前で交わし、見事勝利へと導きました。以前までの松田君ならば、そこまでの余裕が感じられなかったところが、一度重賞を制覇したことや精神面での成長で落ち着きが出たことも今回の勝利の一つの要因となったと思います。期待していたフーラブライドはレース後、鼻血だったことが判明しました。引退を引き伸ばし、結果を求められるところだっただけに、この結果は非常に心配であります。再度立て直し、秋の女王争いに出てきてくれることを願っています。
今週は小倉と新潟で重賞競走が行われます。まず新潟では3歳ダート重賞レパードSが行われます。近年のダート界で活躍する馬は、このレースで活躍しているだけに、どの馬がダート界の新星となるのか非常に楽しみなレースとなっています。まずは絶対王者となっているノンコノユメに好勝負をしたクロスクリーガーが推奨されるのではないでしょうか。前走では大雨の中、王者に次ぐ2着という結果は確かな実力を見せてくれたと思いますしね。その他ではドバイ帰りで疲れが出ていた前走を除くと安定しているゴールデンバローズでしょうね。そして、2週連続「初」とミルコのコンビが活躍しているだけに、初コンビとなるライドオンウインドや初ダートのダノンリバティにも注目したいです。
小倉で行われる小倉記念では夏男メイショウナルトに注目しています。例年以上の暑さだけに、ここで夏男の実力を発揮できるか楽しみにしています。そして、秋のためにも負けられないベルーフ、ここでも「初」が輝くか初コンビで初重賞挑戦となる小シャークこと鮫島克駿騎手のダガノグランパにも注目していきたいと思います。小回りを活かし、夏の小倉を制するのはどの馬か、こちらも非常に楽しみなレースとなっています。馬券が荒れ、皆様の初億馬券ゲットは今週かもしれませんよ!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。