元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
自由、平等、友愛
2015/11/19(木)
さて、競馬の話に移りましょう。フランスの横にあるイギリス王国の王女をモチーフに設立されたエリザベス女王杯が京都競馬場で行われました。今回で40回を迎えた当レースでは、なんと私が勝利した第1回以来の関東馬によるワンツーフィニッシュによる結果となりましたね。イタリア国旗の色の勝負服をしたマリアライトが蛯名君の完璧なエスコートに導かれ見事、初挑戦で初のG1 制覇をしました。イタリア国旗もフランス国旗と同じ意味を持つだけに、何かマリア様とイタリアカラーというのが凄く印象深いレースになりました。
レースは予想されていた雨が上がったものの、それでも降り続いた影響で重くなった馬場をマリア様は得意と言うのもありましたが、何よりも蛯名君が本当に完璧でしたね。最近まで2015年での重賞を勝つことができず、ストレスを感じていたでしょうが、返ってきたダノンプラチナと共に重賞を制してからは本来の勝負強さが戻ってきたようでしたね。スタート直後から自然と出たなりのポジションで馬を運び、外に膨らみ易い京都の4コーナーを最高の技術で回すと、罰金にはなってしまいましたが、それでもあの鬼のムチと鬼の追いで、見事1着でゴールイン、そしてゴール後のジワジワと上がってきた感情から出たガッツポーズは会心の騎乗だった事を物語っていたと思います。
2着には2年連続でヌーヴォレコルトが入りましたね。今回は流れが少し向かなかった、そして相手が自分よりも完璧に乗ったとしか言い様のないレースでしたね。牝馬同士ならばと岩田君も思っていたでしょうし、悔しい敗戦となってしまいましたね。そして、ここ2走で見せていたレースを見せられずに、敗戦となったスマートレイアーとリメインサイレントに関しては、ここをマイナスとせず、次の戦いに期待したいと思います。競馬は速いものが強い。それをルールの元で競い合うから美しい。今回のレースは正に、素晴らしい牝馬の競い合いでした!
今週も秋のG1シリーズが続きます。毎回毎回同じことを書きますが、絶対的王者不在のマイル界に新スター登場を願いたいマイルCSが行われます。今回は本当に複雑ですね。春のマイル王モーリスが注目を集めそうですが、腰の不安により、前走予定していた毎日王冠を経由できず、春からのぶっつけ本番になってしまいます。そこを、どうムーアがこなすのかには注目したいですね。そして、重賞未勝利ながらもフィエロも注目を集めそうです。さらに皐月賞馬イスラボニータや鬼脚サトノアラジンと続いていきそうですね。
その中でも私の注目はフィエロですね。2週間休んだイタリアから来た侍がここら辺で火を吹くのではないでしょうか。前走では試運転とばかりにムチを余り使わず、ダメージも少なかったことから本番に向けて準備万端だと思いますからね。荒れてきた京都の馬場にも合う気がしてなりません。そして、2番手にはイスラボニータを挙げたいです。鞍上はノリに乗っている蛯名君ですし、豹の様な走りは驚異を感じます。その他に、ダノンシャークやロゴタイプも怖いところがあるなと感じています。枠順もかなり重要になる京都マイル。運を手にし、そこから最高の技術で勝利を手にするのは、どの馬か!今年最後の京都で行われるG1は是非、淀で観ましょう!青帽、白帽、赤帽からも目が離せませんよ!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。