元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
謹賀新年
2016/1/7(木)
さて、昨年末のグランプリ有馬記念から振り返りましょう。ファンの皆様による投票で優先出走権が得られるレースで、見事1位に輝いたゴールドシップや2015年の主役といっても過言ではないラブリーデイ、祭りだ祭りだキタサンブラックなど豪華なメンバーが揃ったレースは、スタート直後からキタサンブラックがハナを奪うと、ゆったりとしたペースになりました。そして、落ち着いたホームストレッチを超え、注目していた向正面では、下り坂を利用してゴールドシップが一気に捲りを見せました。その時、多くのファンの歓声がなる中、じっと逃げる2頭の後ろにつけていたゴールドアクターと吉田隼人君が直線で抜け出すと、追随するサウンズオブアースを振り切り見事、人馬共に初のG1制覇を達成しました。以前、吉田隼人君は自信を持って乗ればG1を勝てる!と書かせて頂きましたが、本当に素晴らしい騎乗だったと思います。
何よりも今回の騎乗で素晴らしかったのは、スタート直後、折り合いに心配がある馬ということもありますが、積極的に馬を押していき、自分の欲しいポジションを取ったことにありますね。その後、前に2頭を置けたこともよかったです。その事によりロスなく、馬も落ち着けて走れましたしね。あの走りをラブリーデイがしたかったですね。しかし、本当に見事でしたよ。ミルコとサウンズオブアースも、いい競馬をしましたね。4コーナーではリアファルが故障で下がってき、尚且つ、ゴールドシップの捲りと重なって、行きたいタイミングで出れなかったにも関わらずの2着は立派です。3着には人気投票3位のキタ3ブラックが入り、まさにトリプルスリーを達成しましたしね。世の中のニュースが結果に繋がることの多いレースで、SWの話題からC-3POで3がある金の俳優ゴールドアクターに3ルコ、そしてキタ3と3が結果を出したレースとなりました!
金といえば、新年早々、金杯が東西で行われましたね。そちらも一緒に振り返りましょう!まず中山金杯では、去年の京都金杯覇者・池添謙一君騎乗のヤマカツエースが、見事重賞連勝で年の始まりは池添謙一!という感じでしたね。予想外の縦長スローのペースにも、厩舎陣営が万全の仕上げで上げてきた当馬は焦ることなく、自在性豊かな競馬を行い、楽々と逃げるマイネルフロストを捕らえ見事に優勝を飾りました。1番人気と5週連続重賞を期待されていたミルコとフルーキーに少し可愛そうな展開でしたね。マイルから初めての2000m挑戦となり、斤量も最大の57.5キロを背負っての戦いとなりましたしね。慎重に乗らざるを得なかったと思います。例えるならば800mの陸上選手が1500mに初めて挑戦するときに、いきなり先頭に立って走ったりできないのと同じような形ですね。結果から見ても、中山でタメにタメてあの走りですから、少し一級戦では2000mは厳しいように見えました。
京都金杯では熟女が初の重賞制覇をしましたね。勝利したウインプリメーラは重賞でもいいところを見せるも、勝ちきれないレースが続いていましたが、今回の騎乗は見事の一言ですね。川田君が得意とする好位抜け出しが馬にも合っていましたしね。そして、2着には京都で結果が出にくかったテイエムタイホーが入り、2016年の馬券を早速騒がしてくれました。そんな金杯が終了しましたが、今週末には3日間開催が待っています。仕上げる方も乗る方も、お正月が終わって直ぐのレースから調教、そして3日間開催となるだけに、体調管理にいつも以上に集中しなくてはいけない週となります。
京都では日曜にシンザン記念、中山では月曜にフェアリーSが行われます。最近「競馬ラボさんのコラム見てます!すごい当たってますよね」と言われることが多くなってきましたので、ここも集中していきたいところです(笑)。私が採り上げるシンザン記念の注目はラルクですね。豊ちゃんが好きで馬主になり、馬を買ったオーナーの思いに得意の京都で持ってる男が黙っているはずはありませんからね。まだ、1走しかしていないだけに未知の部分はありますが、少し寂しい牝馬組に明るい話題を振りまいて欲しいですね。その次に注目したいのはピースマインドとジュエラーです。違う道を通ってきた2頭ですが、戦ってきた相手や血統からも注目したいですね。その他にもアストラエンブレムなども怖い存在になりそうです。
今年初めの金杯から直ぐの3日間競馬!遅れてきたお年玉をみんなでゲットしましょう!今年も宜しくお願い致します!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。