![松田幸春](/img/column/judge/tit_judge.jpg?=v1)
元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
メンタル
2016/5/26(木)
そんな強靭なメンタルを持ち、日本、いや、世界のトップジョッキー豊ちゃんが、またやってくれました。フランスで行われた1800mのG1イスパーン賞、エイシンヒカリとのコンビで、圧巻の10馬身差をつけて勝利しました。レース前は雨の影響により、重く、悪くなった馬場に少し心配しましたが、落ち着いて2番手につけ、すぐさま、馬の気持ちを考え半頭分外に出すと、頭が低いフォームで、少しのめりながら走る馬の気持ちを尊重させるようなエスコートは見事でした。この馬は本当にメンタルの強い馬ですね。海外へ行っても慎重に様子見することはあっても、決して物怖じすることなく自分の走りをしてくれますからね。海外の馬場への適応能力も素晴らしいですからね。次はイギリスで行われるプリンスオブウェールズSに出走予定ですし、無事に走ってくれることを再度、願います!!
![エイシンヒカリ](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/topics/201605/160525_ashinhikari.jpg?1464161200)
日本でも、何度もやられ、メンタルを壊されても立ち上がってきた謙一君がやってくれましたね。この春のG1、 ②着3回に ③着1回という実績を上げ、数センチで負けたことも2回と悔しい思いをしてきた謙一君がシンハライトとのコンビで、見事オークスを制しました。レースは、内枠を活かすように内ラチを背負うと、直線では行き場がなくなる中、強引にコースを作りだし、直線で抜け出していたビッシュを捉え、見事に勝利を手にしました。シンハライトはコースができてからの末脚は恐ろしいものがありましたね。その後、強引な進路を作ったとして、2日間の騎乗停止が言い渡されました。しかし、それは1番人気を背負うメンタルとしては、あそこで行かないと!と駆り立てられたのだと私は思います。何万人、何十万人が自分を勝つと予想しての1番人気。そのプレッシャーは本当に想像を絶します。その中で、強引だったとはいえ、結果を出した謙一君は本当に凄かったです。
![シンハライト](https://www-f.keibalab.jp/img/upload/topics/201605/160522_sinhalite.jpg?1463901626)
そして、勝ち馬との差はコース取りだったチェッキーノも力があるところを見せてくれたと思います。その他に③着に入ったビッシュのミルコは本当に勝負掛かった満点の騎乗をしましたね。見ていると、騎乗停止後、なかなかリズムに乗れず、馬も休み明けの馬ばかりとローテーションにも恵まれていませんでしたが、ここ一番は本当に頼りになる男ですね。4角では少し早い!と思いましたが、それも今、考えてみれば、410キロの馬が直線で揉まれないようにと考えた結果だったのではと思います。
さて、熱いオークスの後には、全てのホースマンの夢、日本ダービーが行われます。今年は異常というほどにメンバーが揃い、どの馬が勝ってもおかしくない年となっていますね。その中で、1番人気に推奨されそうなのは、マカヒキではないでしょうか。前走は展開の利もありましたが、切れる脚を活かし②着に入着しましたからね。そして、2番手には安定感のサトノダイヤモンドが選ばれそうです。それに続くようにディーマジェスティ、リオンディーズと続くでしょうね。
その中で、私の注目はリオンディーズです。あの漆黒の輝く馬体に、荒々しい性格は乗る方は大変ですが、それを凌駕する楽しみがあります。ここ一番でのメンタルの強さを誇るミルコが前回の失敗を活かし、今回は見せてくれるのでは?と思っています。そして、2番手にはディーマジェスティをやはり推薦したいですね。皐月賞では展開もありましたが、あの風の中、あのタイムで走るのですからね。能力は本物では?と思っています。その他にはヴァンキッシュランやサトノダイヤモンドも見逃せません。全てのプレッシャーを耐えるメンタルを持つ馬と人が制する、日本ダービー。強いだけでは勝てない、このレースの勝者はどの馬か。間違いなく、歴代1位のダービーになることは間違いありません。是非、そんなダービーは生観戦で!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。