元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
レジェンド豊
2016/6/17(金)
そんな、レジェンド豊が挑んだロイヤルアスコットでは、世界レーティング一位に輝いたエイシンヒカリが出ましたが、残念ながら最下位で敗北してしまいましたね。レースを見ていると、やはり馬が少しノメリながら走っている点に加え、起伏の激しいコースだけに、スタミナが足りなくなってしまったように見えましたね。初のコースで上手く行った前走とは違い、今回はコースにやられたように見えました。しかし、世界一に選ばれただけに、これを言い訳にできないというのも辛いところだと思います。今後のローテーション選びも難しくなるでしょうが、力を発揮すれば圧勝できるポテンシャルを活かせるよう、じっくりと行ってもらいたいと思います。
先週に行われた日本の競馬の話に参りましょう。阪神ではマーメイドS、東京ではエプソムCが行われました。マーメイドSではオークス馬シンハライトのお姉さんリラバティが見事な勝利を収めましたね。騎乗した松若君は、図ったような位置につけると、直線で田辺君が早めに並んでくれたことで、更に、もうひと伸びしての勝利でした。若いのに色々なレースに挑戦し始め、本場でも結果を出し始めているだけに、今後の松若君にも注目して行かなくてはいけません。
東京で行われたエプソムCでは別次元の末脚でルージュバックが勝利しました。今回は、ハンデが重くなり、輸送もあるマーメイドSをさけ、敢えて、牡馬達との戦いを選びましたが、正にその判断が功を奏した結果でしたね。その上、騎乗した戸崎君は非常に腹の座った騎乗を見せてくれましたね。道中は落ち着かせることに専念すると、逃げるマイネルミラノを捉えるために、いつもよりも早めの仕掛けを見せました。本来であれば、あそこで仕掛けることはできないのですが、今回はハンデもあったことに加え、馬の能力を信じていたからこその騎乗でした。その好判断が見事復活勝利を見せた要因だったと私は思います。
2着に入ったフルーキーも最大ハンデの中で、あの末脚を見せたのは、さすがという一言につきましたね。4コーナーまでマークしていたルージュバックの真後ろにつけるポジションは完璧でしたが、仕掛けた後の末脚が今回は違いすぎましたからね。騎手のコメントを見ていても、勝ち馬の力が違いすぎたと言うのも納得の結果でした。
今週からは、競馬関係者は待ちに待った函館開催が始まります。 そんな開幕週には、恒例となった函館スプリントSが行われます。毎年と言っていい程、直線では混み合うような塊で走りきる迫力は、なんと言ってもたまらないものがあります。その中で、私の注目はローレルベローチェになります。鞍上の中井君も想い続けた愛馬とのコンビで初の重賞をここでという思いは強いと思います。そのためには、函館競馬場特有の4コーナーの入り方が非常に大事になると思います。しかし、そこを抑えることができれば、逃げ馬のこの馬にとってはチャンスのあるレースになるのではないでしょうか。
その他にはオデュッセウスが挙げられます。今回は騎乗する戸崎君が52キロでの挑戦となりますし、勝負を懸けてきているなと思いますからね。その他にも3歳馬ティソーナはスピードもパワーもあるタイプなので、函館の洋芝をも攻略できるのでは?と思います。電撃の北のスプリント戦。待ちに待った北のファンは是非、限られた北海道競馬を楽しんでください!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。