元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
故郷に錦
2016/7/20(水)
それでは相撲の小錦関ではなく、故郷に錦を飾った函館記念の話をしましょう。見事、函館記念を制したのは、函館出身の丹内君騎乗のマイネルミラノでしたね。惜敗続きの当馬を見事なレースで重賞初制覇に導きました。レースは、やや重のコンディションになり、絡みつくような洋芝の上をスタート直後から、ハナを奪いに行く展開に。2番手のオツウが控えたため、マイネルミラノのペースでレースを運ぶことができましたね。本当に競馬にとって、枠順が大きな要素を決めるなぁと言ったレースでした。
あの展開になれば、人気となっていたバイガエシやレッドレイヴンにとっては厳しいレースだったと思います。そして、レース後にはG3では異例のウイニングランには痺れましたね!多くの友人や家族が地元の丹内君の応援に来ていて、そこで結果を出した。こんなに嬉しい勝利はなかったのではないでしょうか。チーム北海道の勝利には、私もチーム北海道として、本当に嬉しくなりました。まさに故郷に錦を飾った思い出に残るレースとなりました。
そして、月曜日には盛岡でスーパージョッキーカップが行われましたね。JRAからはキャプテンの内田君、戸崎君、ミルコと川田君が参加しました。この大会では、ファンの方がデザインした勝負服を着るとのことで楽しみにしていましたが、結果はチームWESTが見事優勝をしましたね。この様に、地方や中央関係なく、野球のオールスターの様なレースは、本当に楽しくなりますね。盛岡競馬場の発展にも繋がるでしょうしね。毎年、一回だけではなく、25歳以下騎手オールスターや若手リーグ12R連続戦なども面白いのになぁと個人的には思ってしまいました。勿論、競馬は皆様が馬券を買ってくれるおかげで成り立つスポーツですが、ギャンブルを忘れさせてくれる、このような大会は非常に見ているこちらも楽しくなりました。
さて、開催最後の函館と中京では、今週も重賞が行われます。まず中京ではサマーマイルシリーズの第一戦の中京記念が行われます。今年もまた、メンバーやハンデを見ると荒れそうな予感がしますね。その中で、1番人気に推奨されるのはダッシングブレイズと夏休み明けのルメールになるのではないでしょうか。色々と話題の当馬は、ここでも話題を持ってくる気がしています。そして、2番手にはトウショウドラフタが選ばれるでしょうね。天才肌 の田辺君は盛岡マーキュリーCでの勝利でノッていますから余計に怖い存在になりそうです。その他にも、今回の中京ではダート経験した馬が芝で勝つ傾向が多いため、ダノンリバティも怖い存在になるでしょうね。ハンデ戦だけに、どの馬にもチャンスがあるレース。この暑さを味方につけた馬が勝利に近づくと思います。
函館では同世代の中で、一番早い重賞馬を選ぶ函館2歳Sが行われます。こちらも、毎年、荒れるレースと個人的には思っています。なぜなら、この時期の2歳は成長ひとつで馬がガラッと変わるため、前走強かった!という下馬評になっていても、周りが更に強くなっている!というのも良くあることですからね。その中でも、注目を集めるのはモンドキャンノでしょうね。血統的な魅力に距離も適性にピッタリですからね。鞍上にリーディング騎手の戸崎君を迎えたのも、大きな要因となりそうです。しかし、私の一番の注目はロイヤルメジャーになります。騎乗予定の加藤君にとっては重賞制覇に向けて、最大のチャンスがきたと個人的には思っています。厩舎は当レースで最多勝利をし、今年好調な山内厩舎だけに目が離せない馬だと思っています。今週が終われば小倉、新潟、札幌の開催。皆様、思い残すことがないように中京、函館、福島競馬場へ!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。