元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
あってはならないミス
2016/8/11(木)
さて、絶対にミスを犯せないのは競馬も同じ。そんな競馬でパーフェクトな騎乗を戸崎君がしたレパードSを振り返りましょう。レースはスタート直後、1番人気に推奨された豊ちゃん騎乗のケイティブレイヴが、いつも通りハナを奪いにいきました。それに続くと思われたネクストムーヴはヨシオに進路をカットされるような形で狭くなり行くことができませんでした。あの行き脚でカットされれば引くしかできませんからね。それを余所目に、戸崎君騎乗のグレンツェントは外からマイペースな形で良いポジションを取ることができましたね。今まで直線一気の競馬を見せていた馬でしたが、展開を読みきり前目にポジションを取ると、ゴール寸前で逃げるケイティブレイヴを捉えて、見事1着でゴールインしました。これが、リーディングの余裕と言うべき騎乗で、見事な勝利だったと思います。
そして、2着に入ったケイティブレイヴも、やはり力があるところを見せてくれたと思います。近2走ともに戸崎君にやられたのだけが、少しひっかかるポイントだったと思います。③着にはレガーロが入り、園田で行われたレースの着順通りにグレンツェントが更に上に入ったというような形でした。ダート路線を占うためにも重要な一戦だっただけに、ここでの勝利は大きな意味合いを持つ勝利だったと思います。
もうひとつの重賞小倉記念では、エアトゥーレの子クランモンタナを和田君が気迫の騎乗で勝利へと導きましたね。4コーナー手前から馬を動かし始めると、直線の短い小倉を知り尽くしたような騎乗での勝利はお見事の一言でした。1番人気に推奨されたダコールは直線の不利が影響し、敗れてしまいましたね。この不利が無ければ③着入戦はあったのではないかと個人的には思っています。そして、不利への制裁内容にも少し疑問が残りましたね。4日間の騎乗停止をもらった豊ちゃんと比べても、同じような内容になるのかと思っていましたが、実際は罰金だけだったのはなぜなのか私には理解できません。制裁というのも人が決めるものですが、明確な理由が分からない判決となった気がします。
夏競馬も中間地点へと入る今週は、新潟で関屋記念、そして北海道ではエルムSが行われます。なんと言っても関屋記念で注目を集めるのがマジックタイムではないでしょうか。左回りの相性の良さに加えて、斤量も軽く、更に直線の長い競馬場ということもあり、まさにうってつけな気がしています。その他には、前走では完璧な競馬で勝った!と思わせたピークトラムからも目が離せません。そして、リーディング騎手、戸崎君とのコンビ2戦目で更なる高みが見えるかヤングマンパワーに距離が少し不安ですがロサギガンティアなどに注目したいです。
エルムSはモンドクラッセ一択ではないでしょうか?相性抜群の北海道で、再度強さを見せ付けてくれる気がしています。その他に選ぶとすればリッカルドにロワジャルダン、クリノスターオーと続くと思います。まだまだ暑い気候が続きますが、オリンピックのように熱いレースを観にいきましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。