元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
秋競馬開幕&マカヒキ出陣
2016/9/8(木)
皆様、こんにちは!とうとう夏競馬が終わり、秋のG1を迎える季節に変わりましたね。競馬界では札幌競馬の終わりは夏の終わりと昔から体になじんでいるため、まだまだ暑い外に出る勇気はないのですが、そろそろ秋支度を始めた今日この頃です。そんな中、タイでは日本代表がやってくれましたね!アウェイの中で、絶対に落とせない戦いを見事に制したのは、相手がどこであれ、素晴らしかったと思います。
ハリル監督も前回の敗戦を踏まえ、非常に柔軟性のある選手を使用したと思います。特に浅野選手に関しては、前回の幻のゴールを含めると、2戦連続のゴールということもあり、結果を出せば、監督が使ってくれるということで選手本人のモチベーションアップにも繋がっていると思います。次は10月にホームでの戦いという短い期間ではありますが、選手にはコンディションを整え、更なる強い侍ブルーを見せていただけたらと思います。そして、今週は侍ブルーではなく青い目をした侍、ルメール騎手とマカヒキが凱旋門賞の前哨戦ニエル賞に出馬します。アウェイの中で、どれだけ日本ダービー馬の力を見せ付けることができるか、こちらも侍ブルー同様にドキドキと楽しみにして待っています。
それでは、先週の競馬を振り返りましょう。土曜日には札幌2歳S、日曜日には新潟記念に小倉2歳Sと重賞盛りだくさんの週となりました。その中でも、やはり、私の目を引いたのは小倉2歳Sのレーヌミノルでしたね。道中から抜群の手応えのまま、圧倒で圧逃の6馬身差の勝利は、去年のメジャーエンブレムを彷彿させられました。騎乗した浜中君も普通に走れれば勝てると言っていたほどの自信が結果に繋がりましたね。相手が小倉デビューの馬でまだまだ分かりませんが、阪神での本番に向けて、視界良好となった結果だったと思います。
新潟記念では典ちゃんが見事に全10場重賞制覇をしましたね。もともと期待されていたアデイインザライフですが、今回の勝利は今後にも繋がる勝利だったのではないでしょうか。レースも心を決めた最後方待機から、新潟といえば外ラチといわんばかりの懸けに勝ったレースだったと思います。単純に外を回せばいいじゃない!?とファンの方は思うかもしれませんが、そこまで行くロスを考えたり、馬の脚質にとっては外に行くのも不利に働くこともありますからね。その中で、典ちゃんは外を回した方がこの馬は活きると踏んで、まさに読みきった勝利だったと思います。天才のアッと驚かす騎乗に、元騎手としても武者震いがするようなレースでした。
続いて秋競馬本番、今週の重賞の話に参りましょう!どちらのレースもサマージョッキーシリーズの優勝を握る一戦だけに、注目は騎手にも集まりますが、中山で行われる京成杯AHでは現在トップの戸崎君、阪神では現在2位のミルコが騎乗するセントウルSが行われます。ミルコが優勝するには戸崎君が惨敗し、尚且つ勝利しかないですが、追い詰められた彼には注目かも知れません。京成杯AHの私の注目はダノンプラチナになります。今回は爪の影響もあり、またもや期間を空けての出馬になりますが、それでも持っている才能は本物ですからね。クラシック挑戦の時から言い続けていたロードクエストのマイル戦にも注目です。NHKマイルCでも力を見せ付けてくれましたし、今回は堅いと読んでもいいかも知れません。逆転サマーマイルチャンピオンを狙うダノンリバティも怖い一頭です。
そして、セントウルSにはG1級のメンバーが集まりました。なんといっても悲願の重賞初制覇をG1でしたビッグアーサーに注目が集まるでしょうね。休み明けも何のその、開幕週の高速馬場にもフィットしてくるのではないでしょうか。その他には、王者の位置を虎視眈々と狙うダンスディレクターに、前走でも良い動きを見せたネロと続くのではないでしょうか。その上、距離を得意のスプリントに戻し54キロの斤量を活かし、どこまで食い込めるかウリウリと楽しみな戦いになりそうです。さぁ、皆さん、阪神・中山競馬場に集合です!!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。