元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
まさに牝馬の年!?
2016/12/8(木)
皆様、こんにちは!プロ野球の世界では年棒更改の季節がやってきましたね。その中でも、注目は大谷翔平選手になりました。投手としても結果を出し、野手としても結果を出しと、一人二役をこなし、さらには日本一という結果を出しました。そして年棒は、ダルビッシュ選手にならぶ速さで2億7千万円と出ましたね。しかし、これが物議を読んでいるようです。確かに金額だけを聞けば、ものすごい額であることは間違いありませんが、大谷選手のように2つの役割を担っている場合、個人的には二人分に相当してもいいのではないかなと考えています。歴代の中でも、両立をここまで完璧にこなした選手は見たことがないですからね。勝つためには必要な選手として、正当な評価が出ることをファンの皆様同様、同行を楽しみにしています。
それでは、中京で行われたダートG1チャンピオンズカップの話に参りましょう。多様なメンバーが揃った今回は、どの馬にもチャンスがある戦いになると思っていましたが、その混戦を恐るべき末脚で勝ち切ったのがサウンドトゥルーと大野君でした。馬の脚を信じてそれしか勝つことができない、後は流れに身を任せるといった決め打ちが、まさにぴったりとハマった内容だったと思います。
レースはスタートから激しい戦いになりました。返し馬からテンションが高かったゴールドドリームが遅れる形となる中、コパノリッキーが控え、アウォーディーが控え、モンドクラッセが引っ張る形となりました。その矢先、スタートからダッシュが付かなかったブライトラインが促されるように先頭集団に加わりました。ここが今回のポイントです。いったん、ここで先行集団は息を入れるタイミングとなるのですが、逆に速くなったことで展開が流れる形となってしまいました。そして、1番人気のアウォーディーは、ふと止めそうになったため、騎乗の豊ちゃんは珍しく道中からおっつける形となっていました。
迎えた4コーナーでは、先行していた馬たちの脚が止まる中、先頭集団で唯一アスカノロマンが脚を伸ばし、アウォーディーが豊ちゃんのギリギリまで待った追い出しで交わすと思った矢先、内から一気に勢いをつけ外に回したサウンドトゥルーがゴボウ抜きで、初のJRAダートG1を手にしました。冬がいい馬であり、展開の助けもありましたが、この展開を待ちに待つことができ、信じて、この馬の競馬を負けても続けてきた陣営と大野騎手の粘りが、今回の勝利に結びついたのだと思います。
大興奮のダートG1の後には、来年のクラシックを賑わせてくれるであろう2歳牝馬の戦い、阪神ジュベナイルフィリーズが行われます。今年の世代は、まさに牝馬の年と言わんばかりに強い牝馬が目立つため、馬券を買う皆様にとっては難しいレースになるのではないでしょうか。しかし、逆に言えば、割れた人気を自分の信じた目で勝ち取れば大きな勝利を手にすることもできそうです。
かく言う私の注目はジョーヌエコールになりますね。強さだけではなく、どんな状況にも対応できる適応能力に期待しています。なんせデビュー戦では重馬場を差し切り、距離延長にも耐え、競馬場を変えても間違いない走りをしていまいますからね。そして、2番手には怪物の娘ソウルスターリングが挙げられます。こちらも、安定した走りをしていますし、何よりも馬が綺麗ですからね。そして、同じ社台ファームの馬でも個人的には一番応援したいヴゼットジュリーに、機能性は抜群のリスグラシュー、そして、小倉で見せつけた圧巻は本物レーヌミノルあたりまでが注目になるでしょうね。去年の圧巻のメジャーエンブレムの走りを再現できる馬は現れるのか、非常に楽しみな一戦です。
そして、同日に香港で行われるG1に参戦する日本馬の応援も忘れずに!今回は香港国際競走の馬券も買えるということなので、是非、楽しみは分けて楽しんでくださいね!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。