元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
2016総決算
2016/12/21(水)
皆様、こんにちは!今年も残りわずかになってきました。我が家でもお節の準備、年末に向けての買い出しを行い始めました。あとは怪我なく、この年を終わることができればと思って、今日も定位置のマッサージチェアで体をほぐしています(笑)。さて、競馬も最終週をとうとう迎えますね。2016年はドゥラメンテの引退やキタサンブラックの圧勝劇、モーリスの香港勝利や里見オーナーの初G1など話題がたくさんありましたね。
個人的に、今年の一番のニュースは、やはりドゥラメンテの引退でしたね。速すぎるが故の故障とはいえ、あの怪我を見た時、海外競馬のように馬場が荒れた時は出馬を取りやめる制度があればと、どれだけ思ったことでしょうか。今後の競馬会の課題になるべきことだと、私は思っています。そして、来年はルール改正でムチがパッド付のものに変更や大阪杯がG1昇格、競馬施工最終日が12月28日になるなどの変更が多くある改変の年になりそうです。いったい、どのような形になっていくのか、今年の終わりから非常に楽しみになっています。
一足早い、来年の話よりも、先週の競馬に戻りましょう。先週は阪神競馬場で、2歳チャンピオン決定戦 朝日杯フューチュリティSが行われました。今年は牝馬の挑戦もあり、非常に見応えがあるレースとなりましたが、勝利したのは2歳牝馬でも優勝した藤沢厩舎と里見オーナーのコンビでサトノアレスが勝利しました。着実にクラスを上げ、今回から騎乗に迎えた四位君の決め打ちした騎乗がバッチリとはまりましたね。
レースはスタートから渋る馬場を考えて松山君騎乗のボンセルヴィーソがハナに行く展開に。その後、外からトラストがかぶせるように入り、配列が決まりました。しかし、ここは危なかったですよ。スタート良く出たクリアザトラックが経験の無さからか、かなりの勢いで引っかかっている中、前にジリジリとポジションを入れた柴田君の騎乗は、ヘタをすれば大事故になる可能性もあったと思います。もちろんG1ですし、ポジションは狭くなるのは当然ですが、あそこで外に出さなければ、他頭数の落馬の可能性もあったと思います。そうして、少しバタつく中、ジッと後ろで構えていた四位君とサトノアレスが外に回すと、一気の脚で全てを抜き去り優勝となりました。
サトノアレスをジッと見ていたモンドキャンノが②着に入りましたね。こちらは距離への不安もある中で、良いレースになりましたね。乗り方ひとつでは着順も変わっていたとも思います。しかし、本質はやはりスプリンターなのかなという印象も受けました。一番人気に推奨された牝馬ミスエルテは、気性が非常に難しくなっていましたね。レースを勝ち上がる度に、傲慢な性格になってきたのかも知れません。馬も生き物だけに、体が出来上がっていてもメンタルひとつで走らなくなるものですからね。こちらは、体や走りよりもメンタルの立て直しが必要になってくると思います。
では、今週の競馬施工最終日にある有馬記念について話していきましょう!今年も出走メンバーが豪華になる中、ファン投票1位に選ばれたキタサンブラックに対し、他の陣営が、彼の競馬をささず、且つ、勝ちきるレースをしなくてはいけない難しいレースとなりそうですね。そして、注目のもうひとつとしては3歳馬サトノダイヤモンドがどうなるのか非常に楽しみです。しかし、圧勝した菊花賞は相手としては、ここよりも1つも2つも落ちる気がしています。そのため、前回の圧勝も、ここではどうか?と言う疑問も残っています。
そして、そんな注目馬2頭を退け、私の本命はゴールドアクターになります。決して今年の漢字が金だからと言うわけではなく、前回はどう見ても仕上がり途中のように見えましたし、中山の2500mを単純に走らせることが出来れば、一番強いのはこの馬だと思っていますからね。しかし、こちらは鞍上の吉田隼人君が肩痛で、先週の騎乗も取りやめていたことが気がかりとなっています。その他にも鞍上が、怪我という面ではシュヴァルグランもありますね。今回は祐一君も待っていてくれた陣営に対し、男気で返事をするようなレースとなればと思っています。
その他には銀メダリストを返上してゴールドメダリストになりたいサウンズオブアースもいますし、前走復活したデニムアンドルビーの仕上がりが気になっています。2016年の総決算グランプリ。皆様の2016の答え合わせを是非、有馬記念でしてみてください!今年もありがとうございました!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。