元騎手という視点から最新競馬ニュースを大胆解説。愛する競馬を良くするために、時には厳しく物申させていただきます。週末重賞の見所と注目馬もピックアップ!
2017
2017/1/11(水)
皆様、こんにちは!そして、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。我が家では、新年より嬉しい慌ただしさがありました。我が家の次男に女の子が誕生したんです。またひとつ、大切な命が誕生したことを嬉しくも、祖父としてしっかりしていかなくてはいけないなと緒を締め直す気持ちになれました。長男は息子でしたが、我が家に訪れた久しぶりの女の子に今から嫌われないように、どうしようか考えていきたいと思います。
それでは、開幕した2017競馬の話にまいりましょう。まずは、何と言っても金杯ですね!今年の金杯は東西共に豊が制する結果となりました。京都金杯では競馬界の生きる伝説こと武豊騎手が騎乗するエアスピネルが見事に結果を出しましたね。3000mを使った後で、折り合いがカギになるなと思っていましたが、道中行きたがる馬を上手く制御し、得意の京都で開幕週を味方にした完璧なレースだったと思います。やはりクラシック路線を選ぶよりもマイル路線が正解だったというレースでした。ここを勝ちきったことで、エアスピネルにとっては安田記念やマイルCS、そして天皇賞(秋)など楽しみになったことだと思います。②着にはブラックスピネルと、豊だけではないスピネルも重なる結果となりましたね。こちらは、内枠を活かし、騎乗の福永君も得意(複勝率45%程)の京都1600mで見事なレースだったと思います。これしかないというレースをしての結果でしたね。
中山金杯では吉田豊騎手騎乗のツクバアズマオーが見事な勝利を収めましたね。こちらも、重い斤量も何のそのという競馬で、力でねじ伏せたような結果となりました。この勝利で更なる高みへの挑戦権を得たレースとなりましたね。②着にはクラリティスカイが入り、復調を感じさせるレースでしたし、何より勝負師・江田君の騎乗には震えましたね。東で一番いい競馬をしたのではないでしょうか。
休憩をはさみ、行われた伝統の3歳重賞シンザン記念ではキョウヘイが得意の重馬場を味方に、素晴らしい末脚で勝利しましたね。どこかで読んだ話だと、若くして亡くなられた方の名前をオーナーが気持ちを汲み取り、馬に名付けてくれたとのことでした。しかも、その方が最後に訪れたレースこそがシンザン記念だったみたいですね。競馬は強い馬が勝つばかりが全てではありません。もちろん、名血統に夢を持つのもひとつのロマンです。しかし、この様な話を聞くと、本当の競馬の良さはこう言う人と人との繋がりと馬との関係性にあるのではないかと思いました。
このレースでは川田君が怪我により、人生で初めての重賞で乗り替わりとなった豊ちゃんが②着に入る健闘を見せてくれました。③着に敗れたとはいえ、負けて強しだったのはペルシアンナイトだったのではないでしょうか。走り方からも、あの様な馬場は向いていませんし、雨が得意な馬には能力から差し引いても難しい競馬になったと思いますが、まだまだトライアルと考えると、3歳マイル路線では有力に変わりなしと思わされたレースでした。ハービンジャーの置き土産が、国内での初G1制覇をするのも見えてきたかも知れません。
怒涛の3日間が終わっても、すぐに今週の競馬はやってきます!今週から始まる中京では伝統のハンデG3 愛知杯が、中山では京成杯、そして京都では日経新春杯が行われます。その中でも、私の注目は日経新春杯ですね。まずは何といってもカフジプリンスが気になります。前走でも岩田君の好騎乗が光っていましたが、もの凄い脚で差し切った馬ですし、ここを乗り越えればという一戦となりそうです。
その他にも故障明けでも力は間違いなく一番と思わされるのがクリプトグラム(※追い切り後に転倒して自重)ですね。こちらは、昨年の2冠騎手ルメール騎乗だけに、怖い一頭になります。その他にも、出遅れていた最後の大器シャケトラがどこまで戦えるのか非常に楽しみですし、ミッキーロケットも不気味です。あとは手の合いそうなミルコと新コンビを組むことになったレーヴミストラルもハマればといった感じになるのではないでしょうか。まだまだ、競馬からもらうお年玉は諦めないでくださいね!是非、競馬場でお会いしましょう!!
プロフィール
松田 幸春 - Yukiharu Matsuda
北海道生まれ(出身地は京都)。1969年騎手デビュー。通算成績は3908戦377勝で、その中にはディアマンテ(エリザベス女王杯)、リニアクイン(オークス)、ミヤマポピー(エリザベス女王杯)など伝説の名馬の勝利も含まれる。1987年にアイルランドの研修生として日本人騎手では始めて海外の騎乗を経験しており、知る人ぞ知る国際派のパイオニア。1992年2月の引退後は調教助手に転じ、解散まで伊藤修司厩舎の屋台骨を支え、その後は鮫島一歩厩舎で幾多の名馬を育て上げた。時代を渡り歩いた関西競馬界の証人であり、アドバイスを求めに来る後輩は後を絶たない。